2016年2月28日日曜日

Feb 2016 Botacl’s Trading Post 


あっ!というまに2月は終わり、geneのプレモ棚は1月演目のスペース西遊記をのせたまま、暦の彼方に…。そして2月29日。4年に一度の貴重な日。ようやく、2016年2月演目が登場しました。

題して…『BOTACL'S TRADING POST』

このタイトルにピンと来た方、そう、懐かしいですよね。ここでは、アドオンセット7855と。かのゲームの某商店を素材に、とあるファンタジー文庫の味付けでお届けします。



ふー、きょうもヒマだな。エールでも飲むか。

狂王の時代も過ぎ、杖も、ダイヤモンドの騎士も、災厄の渦さえも忘れ去られて久しいいま、こうして店を開いていてもヒマヒマ。そこでワシ、酒場をはじめることにしました!その名も…Botacl's Tavern!!

…って、いうのはどうかな。。


お!!あれは!?もしや、客か!?




お客さん、お客さんですかい?いらっしゃい!ようこそこの、Botacl's Trading Postへ!

おう、おやじ、店主か。ちょうどいい、ちと訊ねたいのだが。

はいはい、なんなりと。近頃は戦士やら侍やらはめっきり減ってしまったようでして、品物は売れないから数々取り揃えておりますよ~

…それはビミョーだな。それよりおやじ、そこのGAUNTLET/ガントレット(籠手)だが…

はいはい?

なかなかの品のようだが、別な色やデザインのものはないのか?ほれ、このオレのしているのと同じ、黒の魚鱗の。

はあ。そういえばお客さん、かたっぽだけGAUNTLETを?

ああ、何やらバッタリ出会ったGREATER DAEMONが奪っていきおったのよ。確か、虚空の王Zizとか名乗っていたな…


はあ、左様で。。お客さん、それ、魔神に盗られるだなんて、呪われたアイテムだったんじゃあありやせんか?ただザンネンなことに、GAUNTLETはあれしかございませんな。うちは、もう長いこと、フツウのGAUNTLETも、もちろん+1もEVIL'Sもおいてありません。ただ、あれは、あれはあの伝説の…



いや、それならいい。

あれはオレにあわせて仕立てさせたお気に入りのオーダーメイドだったからな。そうか、ないのも当然だな。いや、テマを取らせたな、おやじ。また来る。

…は、はあ。。よろしいんで。


まいどあり~

(って、ベツなもんでもいいからなんか買ってくれよ(T_T))


あー、また売れないっ!


近頃の戦士どもは、デザインだなんだと…。

特にあのfi?uresとかいう世代のやつらはチャラチャラして好かんな。。

漢ならもっとこう、シャキっとしてっ。機能重視!スペック重視!強力なアイテムとか魔法のアイテムとか探してだなあ。

それにそもそも、あのGAUNTLETはなあ!


…って言ってもダメか。。最近はミラノとやらの武器屋に押されてここらで武器を買う輩なんていやしないか。。

ふう…。

まあ仕方ないな。もはや誰も、迷宮になど赴かんのじゃからな。

いまやワシもこうして、暮らしの道具だの、装いのための道具だの、こういったものを商わないことには暮らしていけん。

機織り道具、糸紡ぎの道具。


炊事道具に皿、椀、マグカップ。それに粉ひきの道具。

昔はこうしたものも、戦士たちの一団や、冒険者たちが買って行ったものだが、いまではワシ、街の何でも屋ってところじゃわい。



いやいや、世が定まり平和になったのは善きことか。。ワシもここらでホンキで、酒場でもはじめて…。





…それでも、、、


あの男がいた頃は、


熱かったなあ。。。









そう、男の名は、ルーカス

元剣闘士にして、解放されて後は地下迷宮や荒野をさすらう冒険者として名を馳せた男。

どこのパーティにも属さず、メンバーの欠けたパーティに入ってはまたたくまに荒稼ぎをしていく戦士として、そして後にはレンジャー顔負けのサバイバル知識と賢者も舌を巻く博識とで、あちこちの古代遺跡を探検する冒険者として。

この街のものはルーカスの武勇伝を聴くのが何より好きだった。かくいうワシも、時折冒険から帰ってくると店に立ち寄ってくれるルーカスから、珍しい品を買い取り、その由来や、怪しげな力について聴くのが、何より楽しみだった。それに、酒が入るとたまに話してくれた、剣闘士時代や迷宮戦士時代の彼の思い出話を。。。

しかし彼が砂漠地方へ旅立って早2年。

…皆、口にはしないが、彼はもう…。









…ヒヒヒーン!
ヒヒヒーンン!!

うわっ。びっくりしたっ。遠く思いを馳せてる間に、お客さんが…

何やらボーっとしていらっしゃるようだが、よいかな、店主どの?ちとお伺いするが。

ハイハイ!なんでございましょう!?





拙者のこのLANCEとPLATE MAILなんだが…

先日の馬上試合の折に、ミラノやウィーンのやつらから何やらあかぬけないとからかわれてな…。最近の流行はこういうのではないのか?店主よ、そなた何かしらんか…

またかっ!いかめしそうにみえてあんたもオシャレめあてかいっ!ほかあたってくれいっ。うちは落ちぶれてもれっきとした、武器屋なんだよっ。ブティックじゃねーんだっ。

ヒヒヒーン・・・
う。。。そんな眼で見るなよ、馬よ。そもそもうちは、馬上武器は扱ってねえんだ。ワルいが、帰んな。あんた、どっから来たんだい?

うむ、拙者はヘルヴェティカの山奥から来た、田舎侍。ハプスブルク城の冴えない騎士だよ。店主どの、ジャマしたな。そうか、馬上武器は扱ってないかっと。

あ、いや、何でもござれなBotacl's Trading Postだが、ルールはルールなんでな…

???



たのもーう。

おや、また客だ。きょうは賑やかだなあ。ハイハイ、こんどは何の御用で?

おやじ、このCLAYMOREと同じものを探してるんだが…

あー、、、またか(T_T) すまんね、うちはtwo-handed swordは扱ってないんだよ。そういう制度ないだろ?Wizには…いや、待てよ、途中でそういうのが導入されたっけ…


???そうか、ザンネンだ。

って、あんた、もうすでに2本も持ってるじゃないかいっ。それ以上担いでどうすんだいっ。三面六臂ってか?

ハッハッハ!おっさん、おもしろいな。また来るぜ。

冷やかしお断りだよっ、まったく…。





やーれやれ…なんだか変な客が多いなあ…
Wizardry!、、D&D、、やっぱ時代遅れなのか??



おう、何をぶつくさ言ってるんだ?ぼーっとしているが、店はまだやってんのか?

次は何だいっ!?お客さん、何かお探しで?

お、おう、威勢がいいな。いやなに、FLAILいや、正確にはMORNING STARがな、使っていたのがどこかへ行ってしまってな、代わりをひとつと思ってきたのだが。おや?あんたはまさか…ディオニュソスどのではないか??

はあ?


はいはい、MORNING STARですね。ちょうどよいのが2本ほどございますよ。ぜひ手に取ってごらんくださいませ。あ、あとMACEもありますよ。

うむ、これはいい品だな。さすがは、ディオニュソスどの!気に入った!これをもらおう。ついては、ディオニュソスどの、これを受け取ってくれい。



は?こ、これは?

知らんのか?ニクだよ。鶏の肉。うまいぞ。

い、いえ、それは知ってますが…

おれは無一文だから、これでそのFLAILを買おう。あんたの造る葡萄酒とやらには、きっとあうぜ?



なーにー!!なんだと!ワインがどうしたって!?うちは、酒屋をやろうかとは思っているがまだ酒屋じゃないぞ!それにGOLDもないのに店に来るんじゃないっ、このヒジョウシキもんめ~ さては冷やかしか!冷やかしだな?えーい、とっとと帰れ、この蛮族めっ。

うおっ、ど、どうしたというのだ、ディオニュソスどの。悪酔いか?二日酔いか?こ、このヘラクレス、このような仕打ちを受けたことはかつてないぞ…。ま、まあ仕方ない。ではよそをあたる…。ジャマしたな。。



…いったいなんだったんだ…




ごめん!

うぉ!?また客??賑やかなのはいいが、こんどこそちゃんとしたやつか?

い、いらっしゃい。お客さん、何をお探しで?

ああ、ホントだ!ディオニュソスどのじゃあないかっ!武器屋始めたってホントだったんだね。あのさあ、この弓のための矢なんだけどさ。


はいはい!何だかわからんが、矢ならこちらにっ。ついでにその弓も新しくなさってはいかが?それからワシはBotaclですヨ?

何言ってんだい、ディオニュソスさん。で、これ、太陽を射ぬけるかい?


そ、そりゃもう、ええ…

…って、、、ハ、ハイ!?

いや、知ってるだろ?ちょっとばっかし、太陽の、いやアポロンのやつに貸しがあってね。ここらでひとつ、ギャフンと言わせておこうかと思ったんだけど、普段使ってる矢じゃあ焼け焦げちゃうんだ。いっそあっちのBOW-GUNにしたほうがいいのかなあ…ブツブツ…



(なんだなんだ??またおかしな客が来たぞ!?きょうはいったい何なんだ!?エイプリルフールでもあるまいしっ。)



ワンワンワン!

こらっ!シリウス!お店の中なんだから静かにしないかっ。



ワルいね、ディオニュソスさん、また来るよ。太陽を射落とせる矢。もし入荷したら教えておくれよ。おっと忘れるところだった。ボクはオリオン。ダイアナのカレシさ。また来年の冬には来てみるけど、それまでに手に入ったら、ヨロシクね。

…は、はあ。。。まいどあり…(…って、誰??)




な、何だかヘンな日だ。。。白昼夢か???

…えいっ!もう…何でも来いっ!!







パッカパッカ…

ヒヒーン!!


おっと、馬からの、イヌ、イヌと続いたと思ったらまたウマだな…。もうどんな客でも驚かないぞ…


え!?あ、あれはっ!?

つ、翼ある馬、、、

ペガサス!?


なーんだ、似てるけど違うじゃあないか。ディオニュソスどのじゃないよな。おい、おっさん、あんたが有名なBotaclさんかい?迷宮や荒野でみつけたものを何でも買い取ってくれるって聞いてやってきたんだが、、

おお、ワシをご存じか?

ああ?おう、それでさっそくだけどな。このクビ、もういらねーんで、カネに換えたいんだが…

わわっ!そりゃMEDUSAのクビ!?ちょちょちょ、こっちにむけんなって!あ、あんたもしかして…

ん?おれさまはペルセウスだが、それがどうした??


誰だーーー!世界を混ぜたのはっ!
ここはギリシアじゃないぞ!!
ワシはディオニュソスじゃない、Botaclだああ!


はあはあ…


…だいたい、Wizの世界じゃGORGONといえばウシなんだよっ。三姉妹じゃないんだ。まったく。。。ブツブツブツブツ。。。


あのー。。

次は誰だっ!



ボクはアキレウスっ。なんだかスゴい槍を手に入れたんだけど、、鑑定とか買取とかお願いできる?これ、こうやって、投げると結構飛ぶんだよっ!

だーかーらー!


ポールウェポンはともかく、投擲武器は扱ってないんだよ!(あれ?一時扱ってたっけ???)

ウワーー!なんでオコるんだよーっ。せっかくいい商売話持ってきたってのにーー。

やかましいっ。とっとと帰っておくれっ。


おーい…


ややや。またおかしな客が… おわっ。あ、あの緑の肌に三つ又の槍は…ま、まさか、、、、


あ、お主、いまポセイドンだ!とか思ったろう?ザーンネン。わしは海神ポントゥス。ポセイドンよりもずっと先輩じゃよ。

…い、いや、そこですかね…


なんなんだ…


ごめんっ。店主どのよ、ここらで狼の頭巾を被った男をみかけなかったか?

は??

うむ、われらがあるじ、隻眼のネウロどのなんだが、昨日から姿が見えぬ。おおかたどこぞで居眠りでもしているのだろうが。。。

うちは交番じゃないぞっ!聞きたいことがあるなら何か買って行っとくれっ!

う、うむ、いや何もそのようにムキにならずとも。そうか、そなた武器屋か。しかしオレにはすでにこのペルキューナスの斧がな…

知るかーー!!




ニーハオ。王の斧を求めて…

知らんっ!いつの時代、どこの世界から来おったっ(T_T)




お、あそこによい斧があるではないか。

こらこら、それはダメだぞ。そのHALBERDやGLAIVEは、迷宮では天井につかえてしまうから、使用禁止なんじゃ。

お主、何やら頭が固いのお。

やかましいっ!ヒガシヘ帰れっ。はあはあはあ…(T_T)



ヒュオー
ヒュオー

コオー

コオー


ん?こんどは何だ?何やら寒いな…北東、東ときたら次は北からか??




おっ、おまえはっ!UNDEAD WARRIORの、リンチ!?た、確かにおまえは世界観的にはあってるけど…来店!?

ウ、ウ、ワ、ワタシノ、EVIL AX+3ヲ ミガケルヤツハ イナイカ…

い、いや、ワシ、呪われたアイテムは基本的に扱わない主義なんで…さ、最近はネ…



イナイカア!


ひ、ひーー(T_T)
たすけてー(T_T)





ううう、もうイヤ…(T_T)




よお、Botaclよ、何を騒いでるんだ?あいかわらず冒険者どもからぼったくってるかあ?ワハハ。いいBATTLE AX +3/戦斧+3が出来たから持ってきてやったぞーい。


おお!あんたはドワーフの鍛冶屋の!懐かしいなあ。(ホッ…なんか安らぐよ…。やっぱRPGはこっちだな。。)

そうじゃろそうじゃろ。ではまずはエールで…


乾杯!!


…は、おいといて、いやかくかくしかじかでだな、あんたら長命種は気付かないだろうが時代が変わってな…


ほれみろ、言ったろう、オーディンよ。見ろ、前に持ってきたあの槍も、まだ売れておらん。


いやいや、トール、お前さんだってここらでひとつ稼ぎ時とか言ってそのTHOR HAMMERをふるってたじゃあないか。


う、うむ。そうだな。。ザンネンだが無駄骨、無駄足だったようだな。



う、、、、そう露骨に言わなくても(T_T)



もし、そこの御仁よ。そなた、武器屋か?

ややっ。またまた古ゲルマン語っ。これは期待できるぞっ。ようやくまともな客か??ハイハイハイ!武器屋ですよー。武器屋の、Botaclですよー。御用は何でございましょう?




はあっ!あ、あなたは…


か、硬めの、、、いやチガッタ、片眼の老人、、、まさか…

ホンモノの、
オーディン!?


うむ。何やらちと読書に耽っているあいだにな、槍が盗まれたのよ。あの、ローマから運ばれたという、神槍グングニルがな。そこで、グングニル Mk IIをこしらえようかと思ってな。



お!仕立てるまでもなかったかっ!あそこに良き槍があるではないか。Botaclとやら、そなたなかなかの腕前じゃな。よし、あれをいただこうか。

ホ、ホントですか!?あれはドワーフの鍛えし妖槍、魔槍、いや、神槍でございます。いやあ、さすが大神オーディン、お眼が高いっ!!(やったー!\(^o^)/ついに、ついに売れたーー!)




ビュンビュンっ!

うむ、確かによい槍じゃ。して、幾らじゃ?む。おや、あれ?うむ、、、ま、ちと待たれい。あれ?おっかしいなあ。財布が、財布がないぞ。むむむ。まさかフギンとムニンのやつらめ金貨に気付いて持って行ったか?さすがはカラス…ヒカリモノには眼がないか…。お、おやじ、、、、ツケにはできんかな…

いつもニコニコ現金決済でお願いします!!(T_T)

むむむ、では、またいずれ来る。うーむ、よき槍。ザンネンじゃ。

(ワシのほうがザンネンだよっ!!(T_T))






ひゃー。。。

いったいぜんたい、きょうは何だってんだ。。魔界、妖界、神界との扉が開いたのか?あ、まさか、きょうって、四年に一度のあの日か?



ガチャリ


よう、何やら賑やかだな。城の向こうからでも聴こえたぞ。

え?そ、その声は??

よう、久しいな、Botaclよ。どうだい、商売繁盛か?


あ、あんたは…あんたは…

ブワッ(T_T)


る、ルーカスじゃないかーー(T_T)


おう、ひさしぶりだな、Botacl。あいかわらずアクドイ商売してるのか?(笑)

バカ言えっ。ワシはいつでも正直商売だよっ。そんなことよりルーカス、どうしたんだ。二年も行方不明で。てっきりワシはおまえさんはもう…。いや、あれか?ものすごい冒険でもしてきたのか?何かオオモノを手に入れたのか?ぜひ、ぜひともワシに鑑定させてくれっ。

ハッハッハ、気が早いなあ。まあ、待て待て。少し座らせてくれ。


………



…ホレ、みろよ。おまえさんが見つけてきたアイテムはこれこうしてここに。

懐かしいなー。って、おい、おまえさんちゃんと売らないとダメだろーが。

ワハハ。イタイとこ突くねえ(笑)。

でもな、ほれ、例えばあれ、あんなもの高くて誰も買えやしないんだよ。そりゃあんたが一番わかってるだろ、あいつの価値を…

ああ…。



Knight of Diamonds…。

通称、KOD'S Item、だったな。

…懐かしいな。

…ああ。

それからあれだ。あの黄金色に輝くLONG SWORD +5。

そんなのあったか?

じゃああれは覚えてるか?

BLADE CUSINART。おや?先端の回転刃はどうした?

それよりおれはあのDAGGERが懐かしいよ。

ん?戦士だったおまえさんがDAGGERかい?

いや、あれはまだおれが剣闘士だった頃な…

ふむふむ?


…というわけで、DAGGERってのは意外と使えるもんさ。Wizの迷宮じゃあめっきり、THIEFの武器ってことになってるけどな。

おう、THIEFと言えばな。その隣のKNIFEっぽいの。あれなんだったと思う?

お!その言い方は、やっぱりあれは、DAGGER OF THIEVES だったのか!?


そうそう。おまえさんあいつを幾らでワシに売ったっけな?

おいおいおい、いまからでも払ってくれていいんだぜー。

いやいやルーカスのダンナ、ご冗談を(笑)

ワッハッハ! ワッハッハ!




で、突然こうして現れたのは、またどうしてだい?

…ああ。

??

Botacl、おれは、別れを告げに来たんだ。

???


そんな顔をするな。ワルい話じゃない。前に話したろう。おれはいつかおれの…

…星を探しに?

そうだ。ようやく、その決心がついた。明日、南へ向かう船に乗るよ。

み、南へだって!?あ、あの呪われた島へか!?




そう。呪われた島。マルタ…。

しかしおれにとっての、運命の島…。

おれはそこで、、、おれの王国を手に入れたい。


おれは、剣闘士として、戦士として、冒険者として、もうじゅうぶんに暴れてきたかもしれない。だがそれでもまだ、どこか渇きを感じる。この大地を、このみずからの脚で踏みしめ、ここがおれの王国だと、実感できるその日まで、この渇きは癒されぬかもしれぬ。そう砂漠で悟った。そう、おれは、、、乾いた大地そのものなんだよ。


…そうかい。そりゃ、またさみしくなるな。

おう、さすがはBotacl。笑って見送ってくれるんだな。寄った甲斐があったぜ。

いつか王になったら、店に、、いや、国にワシを呼んで、うまい商売、ボロい商売をさせてくれよな、ルーカスのダンナ。


…Botacl。。。

そうだな。よし、そうしよう。だがその時は、ルーカスではなく、別な名を追ってきてくれ。

??


前に言ったろう。おれのこの名は仮の名。おれの部族では、ホントウに夢をかなえるまでは、ホントウに信じた者以外には名を明かしてはならぬというしきたりがあるのさ。

ああ、確かそんな話を聞いたな。

おれのホントウの名は…

おいおい、いいのかよっ。

ハッハッハ。Botacl。おまえさんとおれのあいだじゃないか。おれは、おまえさんに知っていてほしいのさ。

いつか、南の島で、ウォールという王が国を建てたというウワサを聞いたら、駆けつけてくれ。市場の一番いい場所でおまえさんに店を開かせてやろう。

…ウォールか。良い名だな。

ありがとう、Botacl。



達者でな…。 ああ、おまえさんもな…。









…数年後…

ここアレクラフト大陸に拡がるウワサがあった。呪われた南の島、マルタ。魔物や蛮族の割拠するそこで、破竹の勢いで領土を広げるひとりの英雄王がいると。

王の名は、ウォール・アルナッツ一世。

ウワサではその王は、大陸からやってきた流れ者だという…



エピローグ


トントン…

もし、店主どの。POTIONとSCROLLを探しておるんじゃが、お取り扱いはござらんか?特に、PORTION of LATUMOFISなんぞがよいのお。この老体、ひさしぶりに地下迷宮に降りてみようかと思ってな。なに、近頃の若者の元気の良さにあてられたというところかな。それにあの魔導士のことじゃ、また性懲りもなく復活してVAMPIRE LORDと酒でも酌み交わしておるころじゃろ…



ヘイ、
いらっしゃい!

PORTION x2、
SCROLL x3、

毎度あり!!


さーて、これで最後のお客さんだ。閉店セール、終了!!

この大陸も名残惜しいが、約束は守らないとな。それに、あっちにいけばワシには一等地が用意されてるハズ。

よし、待ってろよ、ルーカス、いや、ウォール王!!


…やがて、戦士たちが競い合う呪われた南の島に、

ひとつの商店が知られるようになる。

…店の名は、Botacl's New Trading Post。

あまり芸のない名だと、店主は思っているらしい。





- 完 -




あとがき

というわけで、2月28日から29日(※このあとがき追記)にかけ、ぎりぎりで駆け込みました、新演目、『BOTACL'S TRADING POST』。いかがだったでしょうか?アメリカからのお取り寄せで入手した袋入りのadd-on、7855。ファンタジーファン、RPGファン、中世ヨーロッパファンのド真ん中をついてくる武器屋さんセットを中心に据えて展開してみました。単独セットをここまでフィーチャーしたのは初めて。え?手抜き???いやいやいや…^_^;

ボッタクル商店


BOTACLさんとは?これは、Wizardryファンならよーくご存じのBOLTAC’S TRADING POSTから。作中に登場する武器屋、道具屋。翻訳名『ボルタック商店』。ただし、特に1,2,3の時代はダンジョンすらも線画ですし、商店は品物とコマンドメニューが文字で表示されるだけ。当然、店主のボルタックさんがどんな人かは想像するしかありません。

ちなみに店のシステムは、アイテムの正体鑑定料と買い取り料がそれぞれ売値の半額。正体不明のアイテムは買い取ってくれない。つまり、ダンジョンで発見したアイテムはまずここで高額な鑑定料を支払わないことには換金すらできない…。というわけで実際には多くのプレイヤーは、BISHOP(司教)を育ててそのキャラクターに鑑定をさせるわけです。ただし、BISHOPがいない場合でも、この店の鑑定料のふっかけによって、それを倍にすれば売値になるわけだから…と、ある程度は正体の予測もついたり。

とまあ、こんな感じで、正直ボッタクリ商店だろ、と。マチガった日本文化に強い(?)Wizですから、名前の由来ももしかしてボッタクリなのでは??と思わせるお店でした。


英雄王ウォール・アルナッツ一世


演目中に登場するもうひとりの人物が、元剣闘士、元戦士、元冒険家にして後の英雄王ウォール・アルナッツ一世。こちらは『ロードス島戦記』のカシュー王、カシュー・アルナーグ一世がそのモデル(?)です。ええ、カシューナッツ→ウォールナッツ、です^_^;

カシュー王は『戦記』を通じて、伝説のプレイヤーキャラであり現在はNPCとして登場する、主人公たちのよき導き役なのですが、実はこの彼、『戦記』以前の姿がとある書籍に描かれている、のは当時も意外と知られていなかったかもしれません。それが、グループSNEによるソードワールドRPGの解説書のひとつだった、『アイテム・コレクション』。その名のとおり、RPGに登場する武器屋道具などのアイテムについて解説する(ゲームマスターに創作のための知識を与える)マニュアル本で、『モンスター・コレクション』『トラップ・コレクション』など姉妹本が多数出版されました。

この本では、とある商店の店主とそこを訪れる元剣闘士の冒険者ルーファスとのやりとりによって、アイテムが物語調で解説されるというちょっと気の利いた仕掛けが施されていました。剣闘士時代に使ったことのある武器、暗殺者に狙われた時の対処のエピソード、遺跡の冒険中に見つけた魔法のアイテム、などなど。実際にはTRPGをしたことがなかったgeneは、まるでゲームの中の一人になったかのような気持ちでワクワクしながら読んだことを思い出します。

で、この本の最後の部分で、ルーファスのことが語られます。南の島、呪われた島へ旅立つ彼。その本名は、カシュー(と明言はされていなかったかな?)。そして、これから建てる王国には、彼の運命を示す炎を意味する、フレイムと名付ける、と。そう、ロードス島のフレイム王国国王カシューの前身だったんだ!とここで読者は気付く。かなりの感動。いまでも忘れません。

ここでは、ルーファス→ルーカス、カシュー→ウォール、ロードス島→(プレモと聖ヨハネ騎士団にちなんで)マルタ島、フレイム→…は明記していませんが彼の語る「大地そのもの」というセリフから恐らくはクレイとかロックとかアースとかそういう名の王国なのでしょう。

うるう年うるう日の珍客万来


さて。当初はこの二人だけで話を進めようかと思っていたのですが、ふと見渡すと、フィーチャーしたアドオンセット7855にピッタリのプレモがあちこちから顔をのぞかせ、それなら、と店に来店してもらいました。時代も世界もバラバラの彼らの来店。まあWizだから、TRPGだから、いいのです。

おしゃれさんめ!と叱られてしまう二人は、最新のfi?uresシリーズ10の戦士とスーパーセットの騎士。この騎士はヴァイキング時代の人物で、かつて『星霜』では神聖ローマ帝国の突撃隊長を演じました。スイスの、後のハプスブルク家に繋がる一族の出身です。スイスの彼に続いたのはスコットランドのハイランダー。手に持っていたのは大剣(GREAT SWORD)のカテゴリーに入るであろうtwo-handed sword、スコットランドの象徴、CLAYMOREでした。

続いてはギリシア神話からのゲストたち。ニクをもった勇者ヘラクレス。…といってもこれはもともとは確かバーバリアンと呼ばれるプレモ。うーん、ギリシアの英雄がゲルマンぽい世界観のBOTACLさんに蛮族!と言われてしまうこのヒニク^_^; 次にやってきたのは弓矢を持ったオリオン。彼の統治する冬の最後に、復活してきた太陽神アポロンに一矢報いようと画策中? 翼ある馬ペガサスに乗ってメデューサの首を売りにやってきたペルセウス。そう、ペガサスとかメデューサとかってわりとRPGにも登場しますよね。ギリシャといえばもうひとり、オルフェウスがいたのですが、そういえば『アイテム・コレクション』には楽器という章も立てられていたかな?吟遊詩人/BARDという職業がありますものね。オシイ。出せばよかった。。

ギリシャ編の最後を飾るのはアキレウス君と海神ポントトゥス。どちらもポールウェポンつながりですが、アキレウスの槍はいわゆるJAVELIN。投槍で、ローマではPilumというものが知られていました。対しポセイドンやポントゥスたち海の神には、三つ又の槍。三叉戟、TRIDENT。どちらもWizには出てこなかったと思いますが…。ところでこのジャベリン。どうやらこの冬の小ネタでオーディンの持っていた神槍グングニルは、これだったようで、いつのまにかアキレウス君の手元に戻っていました^_^; 

そしてそのオーディン。先触れ(?)としてやってきたのは自称オーディン、自称トールのドワーフ・ブラザーズ。THOR HAMMERは実は銀河英雄伝説ネタです^_^; そして、随分以前にトールが鍛えた槍が、ここで大神オーディンに渡り、神槍グングニル Mk IIとなる…と思いきやオーディンは財布を忘れて愉快なお神さん。。。

ドワーフやオーディンは、世界観的にRPGの世界にピッタリですが、Wizといえば世界各地の神話、伝説、幻獣、はては極東のSAMURAI、NINJA、DAIMYO、MIFUNE、SHURIKEN、MURAMASAなどが登場するリミックス世界。そこでここでは、古代の周王朝からは王の斧を求める穆天子、中世の東欧、バルト海地方からはプルーセンのペコルス、と、ギリシャ、ゲルマン以外からのお客さまも登場させました。

BOTACL'S NEW TRADING POST


そして数年後。夢をかなえ、ロードスならぬマルタの島で王国を建てたルーカス、いや、ウォール。彼の元を訪れたBOTACLは、平和なアレクラ「フ」ト大陸とは異なる、野心と力の世界で、荒くれ者たちに武装を売って、ひと財産を築いたとのことです。おしまい。