2017年6月30日金曜日

Jun 2017 BLAME!? - Circuit Megastructure - Epilogue


二か月遅れでだだだっと慌てて投稿しました6月演目。動画バージョンは6月に完成していましたことを以て言い訳と為す。こちら"pax fantasica"版もよろしくお願いします。


あとがき


さてみなさん、映画はご覧になりましたか?この原稿を書いている8月1日からは、多数の配信サイトで31日までの期間限定配信がなされるそうですので、まだの方はぜひ。そして、またどこかで追加上映、特に東亜重音調整によるイベントが開催されましたら、ぜひ劇場に足を運んでみてはいかがでしょうか。



「外伝」としての『BLAME!』


geneは立川シネマシティの7.1ch極上爆音上映と、イオンシネマ幕張のDolby Atomos上映の両方を体験し、Netflix配信はDENONのサラウンドシステム(ただし数年前のビギナー用)で鑑賞しました。結論。一番よかったのはシネマシティ。極爆での重力子放射線射出装置の迫力は五臓六腑を駆け巡るほど!また、高音から低音までのバランスもよく没入感が最も高く感じました。

Dolby Atomosは、確かに天井にこれでもかと配置された多数のスピーカーからの音像は、駆除系の駆け回る様子や、電基漁師の銛が障害物にぶつかる金属音などを空間的に伝えてくれはしたのですが、単に慣れの問題なのか好みの問題なのか、どうにも音の動きが自然に聴こえないというか、ああ動かしてるんだなーという感じがぬぐえず。スピーカーの高音低音のバランスもシネマシティのほうが好みだったのかもしれません。ただし、比べれば、という話でして、実際のところはどちらもこれまでに映画で体験したことのない迫力の音響でした。音楽、効果音、声優さんたちの声がそれぞれにクオリティが高かったのも、音の技術面を安心して楽しめる要因だったかと思います。うーん、川崎チネチッタにも行けばよかった!

で、肝心の物語のほうの出来栄えは、というと。すでに二か月がたち、多くの方々が各方面やブログで感想を書かれているのをすでに読んだので、いろんな角度からの観方、賛否両論、いい点わるい点、さまざまに納得してしまいどうにも書くことが減ってきたのですが、ひとつだけ。鑑賞後にgeneが知人に伝えた感想は。「外伝、だった。とてもよくできた外伝。」ということでした。

映画というものは二時間少々という限られたフォーマットの中で、原作を知らない人にも愉しんでもらうという「ミッション」を持っています。『BLAME!』のような長編かつ難解な作品においてそんなミッションを達成しようとしたら。やはり、この「外伝」というスタイルを誰しもが考えるのではないでしょうか。そう、映画『BLAME!』は、電基漁師の村の末裔であるある少女が語る、曾祖母の若き日の思い出-わずか数日の思い出-としての、探索者霧亥のひとつのエピソードであり、それは霧亥そのものの物語でもなく、霧亥ともに探索を続けた原作読者の視点でもなく、あくまでも、ある少女(づる)が激動の数日間に体験した信じがたい体験としての物語、しかもそれを繰り返し繰り返し語ることで姿を変えて行ったであろう"昔話"としての物語、それを口伝えられた次世代の少女からの問わず語り、という意味でそれは、「外伝」だったと感じます。

ゆえに、幾つかのレビューで批判的に書かれていたように、今回の映画には残念ながら珪素生物は登場しません。なぜならづるもその子孫も、その存在を知らないからです。霧亥が探索した何千階層もの果てしなき旅のことも語られません。原作で感じられた無限につづく時間と空間という遠大さは十分には表現されません。なぜならこれは、づると村人たちの知る限りの世界に、来訪者として、客人として、すなわちまれびととしてやってきたひとりの"旅人"についての、昔話だからです。

だからといって、原作ファンのわれわれはがっかりすることもおびえることもありません。これは、新しい『BLAME!』。原作における無機的で超人的な空気とは異なる、村社会と外部との接触、それにより崩れゆく共同体の秩序、運命を狂わせていく捨造たち。霧亥が来なければきっと、あの村の予定調和としては、あの子とこの子が…とか、霧亥という存在に対してさまざまな立場の村人が感じたであろう何かとか。どこか映画版『風の谷のナウシカ』におけるクシャナと風の谷のような。そしてアニメ版『シドニアの騎士』が、これまた別の形態での(しかしこれまたとても日本的な)閉じた共同体、閉鎖的なムラとしての、「学校と転校生」のメタファー -変人だと思ったのに人気者になっていく転校生と嫉妬と屈辱の中で転落する生徒会長という完全なるスクールドラマ- であったのと対になるかのような、「村と旅人」という物語。


原作と映画。どちらの『BLAME!』も旅の物語であり、どちらの霧亥も、ネット端末遺伝子を持つ人間を探している旅人なのでした。

(でもシボさんと塊都はもうちょっと盛ってほしかったかな!(笑))



プレモとしての『BLAME!?』


あ、そうそう。あとがき、でしたね。映画の感想ばかり書いてしまいました。

今回、黒装束、PDW的衣装のプレモを中心に、新たにプレモランドさんで購入しましたゴーストバスターズシリーズからマシュマロマン!、そして駆除系ならぬクモ系(特に美しいグーティ・サファイア・オーナメンタル!)、加えてコトブキヤオリジナルシリーズのフレームアームズより輝鎚の兵装換装バージョンを二体、ミックスしてみました。映画版に登場できなかった珪素生物に敬意を表しつつ、サナカンは羽根のはえたところまで描きつつ、霧亥役の彼には光彩に浮かぶ文字の代わりにスカウター風のスマートグラスを装備したあのプレモ。そして電基漁師には装備を身に付けたあのプレモ。珪素生物はダフィネ=ル=リンベガ(♀)をイメージしつつ。。。でも結局シボさんがどれなのかははっきりさせられないままに撮影を終え、上位セーフガードの代理構成体役を演じた輝鎚もどっちかというと建設者だなーとか思いつつ^^;


楽曲『Circuit Megastructure』


YouTubeにアップした動画の楽曲は、UKのシンセサイザー/ドラムマシンメーカーNovationNovation Circuitというグルーヴボックスで制作。ゆえに動画や演目のタイトルが「Circuit Megastructure」となっています。延々と続く軌道というのも含めて。(ところで超構造体メガストラクチャーって、以前『BLAME!』を読んだときには建造物のことを指していると思ってしまっていたのですが、『人形の国』ほか弐瓶作品を改めて通して読んでみると超構造体とのは素材、材質の事であって、できあがった建造物のことではないですね。誤解誤解^^;)

4つのドラムパートはステップシーケンサーによる打ち込み、ベースラインほかメロディーはパッド演奏のリアルタイム録音で制作しています。この機材を使って初日、初の作品でしたが、とてもシンプルでわかりやすく使いやすい機材でしたので楽しく自然につくれました。

これまで作っていたAbleton Liveやこの後にハマることとなるNative Instruments MASCHINEなどソフトウェアベースの制作環境と比べるとパート数もシンプルですし、シンセサイザー部分のパラメーターも標準状態ではそれほどいじれるわけでもありませんが、とてもいい音が出て、プリセットも使えるものが多く、価格の何倍も楽しめる機材でした。

重力子放射線射出装置の音を、重低音ではなく違う解釈で表現したらどうなるか?ということで映像を白飛びさせる前提で、楽曲の方ではフィルターやレゾナンスをぐりぐり回しまくっておきました^^


ではこのあたりで。みなさんごきげんよう。また次回、7月演目で(って、もう8月だからこれまた遅れてアップ予定です!!^^;)


P.S.


統治局役はホントはこっちのほうが似てたかな?


でも、マシュマロマン出したかったので、いいんです!

おしまい