Aug 2017 Black Orpheus - Caribbean Gelato Mix
こうして。夏は終わり。夜ともなれば蟲の声も秋を感じさせる涼しげなこの頃。それでもなお、残暑と呼ばれし陽射しはやむことなく、夏の終わりをいっそう、感じさせるのであった。
ハイ!ようやく公開となりました8月演目。構想はなんと2年前から!?夏のためにと購入していたアイスクリーム屋さんを出すまもないままにここ数年。ついに、なんとかギリギリ、2017年の夏の終わりに間に合いましたザンショ。
YouTubeとpax fantasicaとほぼ同時公開。
『Black Orpheus - Caribbean Gelato Mix』
お楽しみください♪
おや?この、アイスクリームをすくいとるアレは?
5962 アイスクリーム屋さん?
いえいえ、こちらはAdd-onから。
ピザ屋のにーちゃんとも対になりそうなこのヒゲのにーちゃんは、アイスクリーム屋さん。あるいはジェラート屋さん。
geneの大好きな映画監督、ジム・ジャームッシュの映画をフィーチャーした、『Ghost Dog - the Way of the Samurai』を演れる!と思って即買いした一品です。
ジェラートスタンドはご覧のとおりの自転車!
『Ghost Dog』で自転車なんですよね。あと、店主もホントはカリビアンなおにーちゃん。髪の毛チリチリの。
ジェラートはおそらく、チョコレート味、バニラ味、マンゴー?オレンジ?そしてストロベリー!
陽気を避けるべく、パラソルも完備です。
そんな、イタリアーンなのに、カリビアーンを演じることになる彼。イタリア→地中海→フランス→カリブ→フランス領マルティニーク島ってことにしますか。
パラソルの色合が、夏の暑さをやわらげるかのような淡いパステルカラーなのが、優しいところ。
そしてやってきたのは!
当初のもくろみでは、店主になるはずだった、カリビアンな青年。パーカッショニスト。夏の常連です。
弟の、NBAに憧れるバスケットボーラーな彼もいつも一緒。
続いては、オルガニスト、ジミー・スミスをイメージ(?)した彼がご覧店。
チョコレートなジェラートをお買い上げ。
おや?次は?
こちらは、Green Dolphinのベーシストとしておなじみ(?)の、エンリケ。
名前の由来はエンリコ・プッチから。そして役割的には木根さん?でもなぜベーシスト?ってことで。しかも持ってるの、ネックの長さ的にギターだし^_^;
おーーーっと!
ここで登場!
DJ Z!!
新年からおなじみ、音楽ネタ、アフリカンネタといえば彼というほどおなじみの、DJ Z!!
Afro!!
ェアフロ!
アフリカン・ミュージシャンたち御用達のジェラート屋さんです。
そして…
宴の時も過ぎ…
やー、ボウズども、
またなー!
オ・ルボワール!
特に、刃物も登場しなければ、バトルもなかった、穏やかーな、穏やかーな、ぬるーい、"pax fantasica"版、『Ghost Dog』。SAMURAIも、主君も、gangもいなかった、暑くて、甘い、夏の日。
チャンチャン。
あとがき
『Ghost Dog』
さて。『Ghost Dog』。geneとしても予想もしない形での公開となりました、ジェラート屋さんとアフリカンのテーマ。
映画『Ghost Dog - the Way of the Samurai』は、ジム・ジャームッシュの作品の中でも、それほど高い評価を得ているわけではないのではないかと思わるひとつ。『Down by Low』や『Stranger than Paradise』、そしてジョニー・デップのおかげもあって有名な『Dead Man』に比べると、ちょっと異色な作品かもしれません。
モノクロではなく、むしろ碧いと言っていいフィルムで綴られる、ニッポンの武士道、というよりもアメリカ人にとっての武士道たる"Hagakure"をバイブルのように生きるアフリカ系のコロシ屋と、『羅生門』を読んでいたギャングのボスの娘、その『羅生門』を預けられるアフリカ系の読書家少女、ビルの屋上で伝書鳩を飼うネイティブ・アメリカン(ちなみに『Dead Man』と同一人物)、そして、カリブのフランス語圏、つまりおそらくはハイチからやってきたジェラートショップのにいちゃん、そこに、イタリア系とおぼしきギャングの一団-しかも時代の波にのまれてほぼきえつつある一団-の、言ってみれば誰しもがしっくりこない、本来の居場所じゃないところにいる、そんな空気感の中で紡がれる、硬派であればあるほど淋しさを感じさせないではいられない、そんな作品。
みどころは、お互いの言ってることが通じてねー!!というか、かみ合ってねー!!という言語や世代の壁を、うまい感じで描いているところかとgeneは思います。
まずはじめに、ギャングの一団が、コロシ屋のアフリカンについて語るところで、やつらはおかしな名前を付ける、ラッパーがそうだろ、とか言って、つまりはスヌープだとか50 centsだとかそのあたりを題材にしたイチャモン(ただし愛ある感じ)が言出され、それを受けて、ジジイのボスが、インディアン(ネイティブアメリカン)もそうじゃ!とか言って、正直、現行世代からは、いつの話だよ!昔話かよ!いまそこの話してねーよ!と突っ込まれるべきなんであろう昔話を、もうろく感出し出しで述べる。でも、それを言ってるイタリアンマフィアじたいが、わけのわからない仇名を付けてて、視聴者的にはおまえじゃ!と突っ込みをいれられるところを用意している。他者を客観的にみえていない、じぶんの世代の感覚からも抜けられていない、そんなディスコミュニケーションが描かれます。そしてそれは、いかにもズレた様子でラップを口ずさみながら、当のアフリカ系にコロされてしまう、北野武映画にでも出てきそうなマフィアの中堅幹部の愚かな姿で頂点に達します。
一方で、暖かく描かれるディスコミュニケーションは、ハイチ出身のジェラート屋さんがフランス語しかしゃべれず、主人公は英語しかしゃべれず、でもその二人が連れだって見に行く、屋上で船を建造しているナゾの人物はスペイン語しかしゃべれない、というくだり。そして、おそらくはその神髄を理解することはないのであろう中で、『羅生門』を読む、ヨーロッパ系とアフリカ系の二人の娘。
時代の流れの中で、しかし旧い流れに背を向けることもできず、言葉も文化もお互いに本当には受け入れられない中で不器用にも何かに真理を見出そうとする、主君と家来、友人たち。まさに、ゴースト。
アメリカという、いわばマッチョなアングロ・サクソンによるオモテの社会の片隅に生きることとなった、アフリカン、カリビアン、ムスリム、イタリアン、ヒスパニック、ネイティ・アメリカン、サムライ、そして女の子。名作とはいえないまでも秀作。その、どこか淋しげで、どこか達観した姿に、パーソナルでありつつも、時代の中でリズミカルな存在であるこうしたマイノリティたちの、小さな世界を感じた、そんな逸品でした。
Black Orpheus
で、楽曲"Black Orpheus"とは。YouTubeやproductionの解説にも書いた通り、実はこれは習作です。もともと、ヒップホップとタンゴを融合させた曲をつくろうとしていて途中でこりゃチガウなといったん中断。後に、"Tango Nu Yoricano"を作ったのですが、この"Black Orpheus"は、これはこれで気に入ったので後ほど仕上げた曲です。
だから、かなり短め。
ホントは、"Black Orpheus"という同名の超有名映画があるんですよね。でもここでは、その映画、音楽とは切り離して、アフリカ系のミュージシャンキャラ達と、語源となったギリシアのオルフェウスをフィーチャーして、ブロンズエイジの闘う竪琴弾きと、現代のアフロ・ミュージシャンたちを映像化してみました。
夏の楽曲の、一部ってことで。
ではまた!