Apr 2016 Reinheitsgebot 02
ハイ、戻ってきました、プロデューサーのgeneです。バイエルンのヴァイツェンとソーセージでおなかがパンパンです^_^;しかし、『PBC 地球伝説 LIVE』は終わりましたが、夜の本編ということでまだまだ続きます。"ビール純粋令"500年演目。
ファラウェイさんによれば、何やら純粋令もムツかしい面もあったようで。そう、公国、王国、帝国、共和国と続いてきたこの希有な法令に転機が訪れたのはいまから30年ほど前。1987年のことでした。はたして、純粋令を取り巻く現代の状況とは!?
そう、"ビール純粋令"。ドイツ人に敬意を表され、いまなお続くと言われるこの法制ですが、ここ、Wikipedia英語版のヴィルヘルム4世の項目をご覧いただくとわかるように…
This regulation remained in force until it was abolished as a binding obligation in 1986 by Paneuropean regulations of the European Union.
そう!1986年ですでに終わっているという見解もあるのです!
えーーーーーー!じゃあ500年祭はどうなるんだーーーーーー!
そう、おまえはもうシんでいる…
と言ったかどうかわかりませんが、純粋令はあくまでドイツの法制。いまや時代は、EU!すなわち、統一ヨーロッパの時代。そこではもはやこの法律は、排除されるべき存在!
…という意見もあるわけですね。
こ、これは、、、まさか、ベルギービール?
こちらはネーデルラントの国王夫妻 |
そうね。ベルギービールです。1830年にネーデルラント連合王国から独立したベルギー王国は、いわゆる南ネーデルラントに成立した国家で、いわゆるオランダと違って長らく神聖ローマ帝国の支配から脱却できなかったものの、ナポレオン戦争、その後のベルギー独立戦争を経て、現在の姿になりました。カトリックを信ずるヒトの多い点ではバイエルンと共通だけれども、バイエルン王国でもドイツ帝国でもなかったこの地には、純粋令を守るいわれはないッ!!…というわけで、よく知られるベルギービールはいろんな香草やらなにやらをふんだんに使って、芳香な香りと独特の味わいを持つ世界で人気のビールとなっています。
ちなみにこれは、VEDETTとDuvel。VEDETTのExtra Whiteは典型的なベルジャンホワイトだけど、麦芽やホップに加えてコリアンダーとオレンジピールが使われているわ。このまぜもののせいで、ニッポンの酒税法上もビールではなくて発泡酒ってことになるらしいけれど、まさに、"純粋じゃない"わけね。
そ、それがいったいどうしたと…。
だから、これ、みんな好きでしょ?
う、、、
わたしたちも好き(かもしれない) |
ベルギーだけじゃないわ。これはアメリカのクラフトビール。少し前からクラフトビールの雄として知られるようになった、コロラドのBlue Moonだけど、これもまた、コリアンダーとオレンジピールを使ってさわやかなシトラスフレーバーとスパイシーさを再現しているわね。
(ボクもこれ好きです!トウキョウに行った時に飲んでファンになりました~)
Colorado Pride!!
(だ、誰だっ?でもこの冒険ヤローとオオカミ、なんとなく、月夜のコロラドっぽいかもっ)
アメリカのクラフトビール、マイクロブルワリーといえばわたしは10年ほど前に飲んだこの、オレゴン州のBendにあるDESCHUTES BREWERYが一番好きだけど、、、
確かこのMirror Pond Pale Aleもシトラス系だったわね。原料はわからないけど。
Oregon!
(うわっ、また意味不明な人が…)
彼女はわたしたちウォルフェン・ブルーイングのアメリカ代表を務める、キャシー・スミス。この格好は…趣味がハンティングらしいのよ。
ちょっと社長!やめてよね。わたしの狩りのモットーは、食べる分だけしか獲らないてこと。喰わんがためのハンティングなのよ。趣味だなんて。
いや、お給料ははずんでるんだから、Whole Foodsで買いなさいよ。。。
ハンティングの後のビールは最高!オレゴンビール、最高!ドイツビール?ハッ!
(あ、アブナイからそのイカツいライフルをこっちに向けないでください(>_<))
ちょっとお姉ちゃん、またまた話が長いわよ。しかもせっかくの500年祭に、なんだか純粋じゃない話ばっかりっ。ここらでわたしと変わってっ!いま、ビールと言えば、そう、あの、India Pale Ale、つまり、IPAよっ!オレンジピールに頼らずとも、ホップのチカラでシトラスフレーバーを醸し出している、IPA!!
(い、いや、それじゃまた話が純粋ビールに戻っちゃうじゃないのっ…)
例えばこれっ。おなじくシトラスフレーバーで大人気を博しているのは、UKの超新星、スコットランド発のブルワリー、Brewdog!!
主に、2010年代になってから急激にファンを増やしているブルワリーよ。
Scotland!
Scotland!
[本国はこちら]
定番のPunk IPAや5 a.m. Saints、それにDead Pony Clubもいいけど、季節ごとに、あるいは地域ごとのホップを使った限定品も豊富よ。
(あ、これも東京のRoppongiで飲んだぞ!)
大手企業のラガーや伝統だけをウリにするエールに飽き飽きしたという元法律家の若者たちが、クラウド・ファンディング、つまりビール好きたちからオカネを集めて作った、民衆の民衆による民衆のためのブルワリー。2016年、いまやその資金調達力は、£2.2Mにも達したわ。パンクね!それだけ、このニガさとシトラスフレーバーが、支持を集めてるってことでしょう。
ちなみにこのDEAD PONY CLUBは、アメリカのクラフトビールにヒントを得て造ったそうよ。
ほかにも、IPAブームは、ニュージーランドから極上のビールPARROTDOG IPAを送り出したり…
(うわ、これまたすごい名前だな~。)
Parrot!!
and
Dog!!!
…。
どうだっ!ベルジャンホワイト推しのお姉ちゃん!いま時代は、IPA!ウォルフェン・ブルーイングも、このBrewdogやParrotdogを超えるIPAを造るのよっ。オオカミが犬に負けちゃあダメなんだからっ!
(ちょ、ちょっと、あんた、オオカミの話しちゃダメでしょーーー)
あ、ところで、わたし最近、出張でロンドンに行ったんですが、そこで驚いたことに、ロンドンではあまり、伝統的なブリティッシュエールをみかけませんでした…。
London Prideはどこに~!?
いえ、あったにはあったのですが、それでもなんだか、PeroniだとかAmstel Lite、BECKSなどなど、ヨーロッパのほかの地域のビールに押されて伝統的なエールは減ってるように感じました。
5年前に来たときには、もっと飲めたような気が…。
もっともわたしのような外国人が行くところだからであって、実際のブリティッシュなジモティーは飲んでるのかな。。。
一方、5年前にもあったバイエルン風の居酒屋は健在でした…。
つまり、UKといえども、ビールは多様化してるんですね。
そうっ!わたしが言いたいのはそこっ!
ヨーロッパ共同体の発足に伴い、ビール純粋令はドイツの非関税障壁だとして槍玉にあげられたわ。そして1987年、欧州司法裁判所はこれをクロと裁定。以来、純粋令は、ドイツ国内の醸造所がドイツ国内向けに造るビールにのみ適用されることとなり、輸出用のドイツビールやドイツに輸入されるビールには適用されなくなった。
そう、ドイツがドイツであった時代は過ぎ、いまはヨーロッパがひとつの世界となった時代。バイエルンのヴィッテルスバッハ家でもなく、プロイセンとドイツ帝国のホーエンツォレルン家でもなく、かの大ドイツ主義を唱え、汎ヨーロッパ的思想をつらぬいたハプスブルク家の夢がふたたび返り咲き(?)、ヨーロッパはひとつになった!そこは、ドイツビール至上主義ではなく、もちろんブリティッシュの伝統エールだけでもなく、ベルギービールやIPAや、各国のラガーやピルスナーなんかが入り乱れる世界!さあ、いまこそ、オレンジピールとコリアンダーを受け入れなさ~い!
…。
ムッター、ごはんまだ~?おなかすいたよ~。
ハイハイ、そろそろソーセージを食べましょうかね。
ワーイワーイ
いいんだよ。ベルギービールもIPAもクラフトビールもうまいし人気だけれど、おれはこの、バイエルンの純粋ビールが大好きさっ。(大麦だけじゃないってきょう知ったけど…)
ハンナ、もう一杯いくぞー
ちょっとヨハン、そんなこと言ってそれで去年のOktoberfestの時も酔いつぶれたじゃないの。ダメです、飲み過ぎですよ!
イヤだー!くれ~!
ダメーーー!!!
おやおや、賑やかなバイエルンの家族ですねえ。なんだか、純粋でもそうじゃなくても、ビールがあればそれだけで楽しそうな(^_^)
そう、人々を笑顔にさせる。それがビールの魅力。わたしたちウォルフェン・ブルーイングも、伝統と創意工夫の両方を見倣って、世界に冠たるビールを造らなきゃねっ。
…というわけで、以上、『PBC 地球伝説』、ドイツの"ビール純粋令"から学ぶ、ビールの歴史と多様性、でした~
それではまたいずれお会いしましょう!
チャンチャカチャカチャカ♪
チャンチャカチャカチャカ♪
チャンチャカチャカチャカ♪
チャンチャカチャカチャカ♪
チャンチャカチャカチャカ♪
チャンチャカチャカチャカ♪
ジャジャーン♪
-おしまい-