Jun 2014 - p4/p5 -
MALTA GIRLS COLLECTIONにて、みごとクイーン・オブ・印象の座を射止めたシグリッド(以下略)。コミッショナーで大富豪のデザイナー、ソフィア・クローバーデールと、仕掛け人のスティール氏の協力を得て、ショートムービーを制作することに…。"One Step forward to South"
「ああ、わたしはわたしの考えを大事にしていきたいだけなのに。」
「古来よりみなが大切にしてきた、自然とともに暮らし、自然に感じ、自然に学び、そして自然に還っていく生き方を…。」
「なぜあの男は、わたしにあたらしい考えを押し付けようとするのだろう。」
「この棒切れや燭台は美しいのだけれど…。」
「…いや、やっぱりダメ。このわたしをブツなんて。なんて男。あんな男の国は、、、、わたしが滅ぼしてやるワ!プンプン!」
霜の巨人「シグリッド、何をそんなにオコっているんだい?それじゃあまるで激怒ぷんぷん丸じゃないか。」
ユキフクロウ「ジャナイカ。」
シグリッド「巨人よ。そうやってすぐに新しい言葉をおぼえて得意がるのはやめなさい。あなたの言葉ではないでしょう。もっとあなたらしく。」
霜の巨人「ほう。ではシグリッド。きみらしいとはどういうことかな?
君はわたしにわたしらしくあれというが、君らしいとはどういうことか、知っているのかい?
君があの男の求婚を断ったのは聞いている。では君は、いったいどうしたいんだい?
ノルウェー王妃はフマンなのかい?」
シグリッド「わたしは、、、王妃とかそういうことを望んでいるのではないの。
ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、、、そんな国は意味がないわ。(だいたいいま誰もそんな名で呼んでないし!)
わたしが大切にしたいものは…。もっと大きな...。
おや、おまえは?」
ユキクマ「暖かくなったからそろそろ北の海へ戻ろうかと思っていたら、なんだかきれいな足跡を見つけたからついてきたんだよ。
おねえさん、きれいな足跡をしているねえ。」
シグリッド「男どもはわたしの"脚"をほめるけれど、お前は"足跡"をほめるのかい?おもしろいねえ。」
ユキクマ「自然の中で生きていく僕らは、いろんなものの足跡をみつめているよ。きれいな足跡を残すものはその心も美しい。慌てていたり、怯えていたりすると、その歩みは歪み、足跡がキレイじゃなくなる。でもおねえさんの足跡は、美しいよ。すこし迷っているのに美しい、フシギな足跡だね。」
シグリッド「はっ!!わたし、そうなの。迷っているけど迷ってはいないのね。そう、これがわたし。
こうして、旧い考えを大切にしながら、同時に新しい考えの美しきところや良きところを採りいれていけるのがわたし。
そう、わたしは迷っていない。
いえ、迷っているのがわたし。それでいいんだ。」
シグリッド「この花も、この香水も、あの燭台も、あの棒切れも、わたしはみな美しいと思った。
旧き考えも、新しき智慧も、どれも美しいと思った。
それでいいんだ。
旧いからとか新しいからとか、誰が信じているからとかじゃない。わたしが信じるものが…。」
だってわたしここに立ってる! ここにいる!このまま! |
霜の巨人「ふっきれたみたいだね。」
シグリッド「髪も。みなが望む姿やしきたりじゃなくていい。わたしの好きな、わたしの美しいと思う姿に。
いえ、美しいと思えるものを、わたしが創りだすのね。」
シグリッド「♪♪♪~♪♪♪~」
少女「シグリッド、元気になったみたい。」
サーミの男「言ったろう?霜の巨人のところにいけば、いいことがある。いつもそうなんだ。僕は彼の言葉はわからないけれど、いつもそうなんだ。」
トナカイ「モーモー」
霜の巨人「永く生きているからね。少しだけ、運を引き寄せる方法を知っているのさ。」
フクロウ「ホーホー」
シグリッド「ありがとう。霜の巨人。」
霜の巨人「わたしは何もしていないよ。」
シグリッド「いいえ。あなた、わたしの来るのをみて、吹雪を止めたのね。だから、あのユキクマが北へ向かいはじめて、わたしの足跡を追ってきた。そうしてあの言葉をくれた。」
シグリッド「わたしらしくとか、旧いとか新しいとか、女とか男とか、そんなことで悩んでいたのがバカらしい。
美しいのだから、わたしは。
美しいのだから、わたしの前にひろがる世界は。」
♪♪♪ォ~ ♪♪♪ォ~ |
サーミの男「気を付けて。あなたの行く先にもよき巨人が訪れますように。」
シグリッド「ありがとう。息子たちのことは頼みましたよ。わたしは明日、海を渡って南に向かいます。
ただわたしが、そうしたいから。」
シグリッド「わたしのこの足跡が、ただ向かう先へ。」
"One Step forward to South"
End
観客一同「(うーん。。。。。絵的にはアレじゃないか、コレ!?)」