May 2015 - 2nd Session
あいかわらずのクエンティン少年。こども農場を後にして、いったいどこに行ったのでしょうか?ちゃんとメロディ姉さんの言うことを聞いて、お手伝いに向かったのでしょうか?いえいえ、クエンティン君はそんなタマじゃあありません。まだまだ、遊びたい盛りです(^_^) では、クエンティンの冒険にしばしお付き合いを。
第2話 - クエンティンととうちゃん -
プルル…。
プルル…。
「おかしいな。。。」
プルル…。
プルル…。
「やあ、ロベルティーノさん、おはようございます。」
「ああ、ロバート、おはよう。きみ、うちの息子をみなかったかい?」
「…え?あ、、いいえ。」
バアア バアア。。。
「…えっと。
あ、ヤギたちがおなかをすかせてますネ。エサをやらないと。ホラホラ、ヨーシヨシヨシヨシ!」
「ん?なんだか様子がおかしくないか、ロバート。何かあったのか?」
「い、いいえ、ロベルティーノさん。特に、何も。。」
「ふーん?」
(クエンティン君、マズいよー。お父さん、探してるよー。そりゃおれは言わないよ。なんたって君が、あんなこと言うんだから…。
ボクがメロディさんを、ツイストコンテストに誘おうとしてることを、ロベルティーノさんにも、アンソニーにも、言うだなんて…(>_<)ダメダメダメ!ナイショだよ!)
「ま、いっか。じゃあ、アンソニーのところかな?」
プルル…。
プルル…。
「やあ、ロベルティーノさん。ごきげんよう。きょうもいい薪を割っておきましたよ。」
「ああ、アンソニー、元気そうだね。ところでキミ、うちのクエンティン…。」
「え?クエンティンぼっちゃん?いやいやいや…」
「まーったく見かけてないですな。昨夜夕食の時に会ったきりですよ、ええ。僕は朝からずっとここで巻き割りをしてますし。このネコと一緒に。ええ。」
「…アンソニー、なんだかわざとらしくない?様子がヘンだよ。」
「いえいえいえいえいえいえ!そんなめっそうもない!」
ミャオミャオ
ミャーオミャーオ
チュチュウチュウ
チュチュウチュウ
(くー、言えるかー!いくら農場主のロベルティーノさんに問い詰められたからと言って、言えるかー!だってクエンティン君、ボクがメロディちゃんをチャンバラ映画に誘おうとしてること、ロベルティーノさんにもロバートにもバラすって言うんだもの(T_T))
「ウソつくと、お給料減らすよ?」
「いやいやいや、それはイヤですが、いや、ウソだなんて!」
「あ、あれじゃないっすかね。ロバート君とこ。」
「…。いや、あっちにはいなかったよ。」
「そ、そっすか…。」
「うーん、二人とも、なんかヘンだなー。なんか隠してる感じがする。。。
それにしても問題はクエンティンだ。あいつめ、手伝いもしないで…。」
ゴトンっ
(こ、コラ!シーッ!)
バアア…
バアア…
(コラッ!静かにしないかー!とうちゃんがいるんだからっ!こら、アモン!鳴くなってばっ!)
バアアーーーー バアアーーーー (おなかすいたー!)
「ん?何か物音がしたような?
ん?ヤギの声がしたような?
いやいや、ヤギはロバートのところだよな。気のせいか…。」
「えー、もういい。クエンティンに頼ってられんわ。わしひとりでも片付けておかないと、ロバートやアンソニーにも示しがつかん。それに昼飯までにこいつを終わらせておかないと、メロディのやつがまたオーガー・メロディになっちまうしな。
さーてと、よっこらせっと…。」
ガゴン
ガゴン
「干し草を下ろしてっと…。」
ザザザーッ
ザザザーッ
「…。ん?なんだありゃ?…ヤギ?荷台に、ヤギが?」
バアーー
バアーー
「おっと、さっきのは聴きマツガイじゃなかったんだな。荷台にヤギが載ってたなんて、ぜんっぜん気付かなかったぞ。どこで乗ったんだ?ロバートのところか?
おーい、どうした、朝飯は喰ったのか?え?ヨーシヨシヨシヨシ!」
ガタンッ!
「ん??」
(うわー!うわー!あぶねー!バレるところだった!でもなんとかおれさまのワンリョクで、こうしてぶら下がってやったぜー!)
「…。」
「…。」
ソローリ
ソローリ
父さんのトラクターの荷台なんかで。」
「…。や、やあ、父ちゃん、おはよう。」
「コラッ!
おはようじゃないっ!
朝から一緒に仕事するって、
昨晩約束しただろー!?」
「テ、テヘッ。」「テヘじゃなーい!」
「このワルガキー!」
「あ!うわっ!落ちるっ!」
「うわー!」
「コラッ、あぶないぞ、あばれるな!父さんがこの鋤を持ってるから、早く荷台に戻れっ!
うわっ、コラッ、じたばたするなー」
「おーちーるー!」
「ク、クエンティン!」
ドッシーン!!!
「うわー、イタタタタ…。」
「ヒャッホーイ!
ぶら下がったままの姿勢で、ジャーンプッ!!!」
「ローリング…
「…サンダー…
「…ギャラクティカ…」
「…マグナム!」
「…ジャーンプ!!
「…そしてっ!
着地っ!」
ガタガタドシーン!
「うわーっ!イッテーーー!(T_T)
おーちーたー。。。」
「トウっ!
みたか、クエンティンさまの超絶アクション!これぞ、スーパーB級アクション、"Jumping Jack From Dusk Till Dawn"だっ!
夕暮れ時から明け方まで、一晩中空を駆け抜ける、コウモリ戦士だ!」
「…あ、あれ?父ちゃん、どうしたの?」
「ク、クエンティン、おまえ…ってやつは…(T_T)」
「クエンティン、おまえはまだまだこども。遊びたいのはよくわかる。だがな、"おれはこどもじゃなーい!明日からでも父ちゃんの手伝いをして、この農場をでっかくしてやるぜっ!"って言ったのは、おまえだろ?オトコは、一度言った言葉を守りなさい。早起きして、しっかり働いたら、メシはうまいぞ。」
「…。おれ、言ったっけ?」
「…。バカなフリをしても、ダメ。その顔は、ちゃんと覚えてる顔でしょ。さあ、こっちにお出で。」
「う、うん。」
ドドド ドドド ドドド
「うわー、父ちゃん、かっこいい!」
「どうだ、おれのMassey Fergusonは?力強いだろう?いずれ、おまえに譲るんだからな。しっかり操縦方法を見ておけよ?」
「えー、いつの話だよー(笑)」
「(笑)」
「よし、ではクエンティン、おまえにひとつ仕事を任せるぞ。」
「なになに?何をすればいいの?」
「この前買ってやった、こどもJohn Deereを持ってきなさい。あの、きれいな緑だったのにおまえが言うから赤く塗ってやったやつ。」
「はーい。」
ブロロロロロ…
「そいつで、この干し草をな、ロバートとヤギのところに持って行ってやりなさい。ついでにそのヤギも一緒にな。」
「えー、ヤダよ。アモンはボクのペットにするんだい!」
「…なんだ、アモンって。ヤギにオオゲサな名前を付けるんじゃないよ。ホラ、その子も、なかまと離れてさみしがっているだろ?ちゃんと戻しなさい。」
「いやいや、よくみなさい。そいつはな、大枚はたいて買った、電気トラクターだよ。この父さんの年代モノと違って、ホラ、煙突がないだろう?石油を燃やすんじゃなくって、バッテリーで動いているんだよ。しかも!太陽光発電で充電する!おまえと同じ、新世代だよっ」
「しかも、だ。おまえ、どうせそいつで遊んででホークにイヤミ言われたんだろ?いまは大事な仕事をするんだ、多少のエネルギー消費は仕方ない。それ以上に仕事すりゃいいんだ。
…って、おい、クエンティン、おまえその左手…」
「な、何を持っているんだい?クエンティン…。」
ティラリーラー♪
ティラリーラー♪
ティラリーラー♪
「…もしもし?はい、ええ、そうです、ロベルティーノ農場の、ロベルティーノですが。はい、ええ。」
「こ、コラ、クエンティン、出ちゃいかん!」
「ええっ!!?」
「…。はい、はい、わかりました。父ちゃんに伝えます。」
「…。クエンティン、どうした?誰だった?(マズいー!マズいー!)」
「…。父ちゃん…。電話、ティティー・ツイスター・トレーディングポストの、クルーニーさんから。」
(ああ(>_<)、やっぱり(T_T))
「お酒のツケ、そろそろ払えってさ。でなきゃ父ちゃんのトラクターをもらうって約束になってるって。ホント?それ、おいらにくれるんじゃなかったの?」
「あ、ああ、いや、もちろんだよ。ツケはすぐ払うし、だいじょうぶだよ。この前ちょっと、バーボンを飲み過ぎてな…。」
「おれ、ホークに聞いたから知ってるよ。ティティー・ツイスターって、村役場の向こうの、ブロードウェイにあるお店でしょ?キレイなお姉ちゃんがキワドい服着てはたらいてるお店だって。こんどのぞきにいこうって、ホークが言ってたもの。」
「…。いや、こどもはな、ああいうところ行っちゃいかんゾ。ホークも、元気があるのはいいが、困った子だなあ。」
「John Deere号!全速前進!メロディ姉ちゃんにホウコクだ!」
キュイーン!ドドドドドッ!
「よし、モーターのコイルもあったまって来たコロだゼ!」
「こ、コラー!クエンティン、待て、待ちなさい!
メロディに、メロディにだけは、言わないでくれー!頼む、頼むからーー!!(T_T)」
「おやじ、サラバだ!」
「ク、クエンティーン!(T_T)」
(つづく)