2015年5月9日土曜日

May 2015 - 2nd Session 


あいかわらずのクエンティン少年。こども農場を後にして、いったいどこに行ったのでしょうか?ちゃんとメロディ姉さんの言うことを聞いて、お手伝いに向かったのでしょうか?いえいえ、クエンティン君はそんなタマじゃあありません。まだまだ、遊びたい盛りです(^_^) では、クエンティンの冒険にしばしお付き合いを。

第2話 - クエンティンととうちゃん - 






プルル…。

プルル…。

「おかしいな。。。」

プルル…。

プルル…。

「やあ、ロベルティーノさん、おはようございます。」

「ああ、ロバート、おはよう。きみ、うちの息子をみなかったかい?」

「…え?あ、、いいえ。」


バアア バアア。。。

「…えっと。

あ、ヤギたちがおなかをすかせてますネ。エサをやらないと。ホラホラ、ヨーシヨシヨシヨシ!」


「ん?なんだか様子がおかしくないか、ロバート。何かあったのか?」


「い、いいえ、ロベルティーノさん。特に、何も。。」

「ふーん?」

(クエンティン君、マズいよー。お父さん、探してるよー。そりゃおれは言わないよ。なんたって君が、あんなこと言うんだから…。

ボクがメロディさんを、ツイストコンテストに誘おうとしてることを、ロベルティーノさんにも、アンソニーにも、言うだなんて…(>_<)ダメダメダメ!ナイショだよ!)


「ま、いっか。じゃあ、アンソニーのところかな?」

プルル…。

プルル…。

「やあ、ロベルティーノさん。ごきげんよう。きょうもいい薪を割っておきましたよ。」

「ああ、アンソニー、元気そうだね。ところでキミ、うちのクエンティン…。」

「え?クエンティンぼっちゃん?いやいやいや…」

「まーったく見かけてないですな。昨夜夕食の時に会ったきりですよ、ええ。僕は朝からずっとここで巻き割りをしてますし。このネコと一緒に。ええ。」

「…アンソニー、なんだかわざとらしくない?様子がヘンだよ。」

「いえいえいえいえいえいえ!そんなめっそうもない!」

ミャオミャオ

ミャーオミャーオ

チュチュウチュウ

チュチュウチュウ

(くー、言えるかー!いくら農場主のロベルティーノさんに問い詰められたからと言って、言えるかー!だってクエンティン君、ボクがメロディちゃんをチャンバラ映画に誘おうとしてること、ロベルティーノさんにもロバートにもバラすって言うんだもの(T_T))

「ウソつくと、お給料減らすよ?」

「いやいやいや、それはイヤですが、いや、ウソだなんて!」

「あ、あれじゃないっすかね。ロバート君とこ。」

「…。いや、あっちにはいなかったよ。」

「そ、そっすか…。」


「うーん、二人とも、なんかヘンだなー。なんか隠してる感じがする。。。

それにしても問題はクエンティンだ。あいつめ、手伝いもしないで…。」





ゴトンっ


(こ、コラ!シーッ!)


バアア…

バアア…


(コラッ!静かにしないかー!とうちゃんがいるんだからっ!こら、アモン!鳴くなってばっ!)



バアアーーーー バアアーーーー (おなかすいたー!)

「ん?何か物音がしたような?

ん?ヤギの声がしたような?

いやいや、ヤギはロバートのところだよな。気のせいか…。」

「えー、もういい。クエンティンに頼ってられんわ。わしひとりでも片付けておかないと、ロバートやアンソニーにも示しがつかん。それに昼飯までにこいつを終わらせておかないと、メロディのやつがまたオーガー・メロディになっちまうしな。

さーてと、よっこらせっと…。」

ガゴン

ガゴン

「干し草を下ろしてっと…。」


ザザザーッ

ザザザーッ



「…。ん?なんだありゃ?…ヤギ?荷台に、ヤギが?」

バアーー
バアーー

「おっと、さっきのは聴きマツガイじゃなかったんだな。荷台にヤギが載ってたなんて、ぜんっぜん気付かなかったぞ。どこで乗ったんだ?ロバートのところか?

おーい、どうした、朝飯は喰ったのか?え?ヨーシヨシヨシヨシ!」

ガタンッ!

「ん??」


(うわー!うわー!あぶねー!バレるところだった!でもなんとかおれさまのワンリョクで、こうしてぶら下がってやったぜー!)

「…。」


「…。」

ソローリ

ソローリ


「…。何してんの、クエンティン、クン。

父さんのトラクターの荷台なんかで。」



「…。や、やあ、父ちゃん、おはよう。」

「コラッ!

おはようじゃないっ!

朝から一緒に仕事するって、

昨晩約束しただろー!?」


「テ、テヘッ。」「テヘじゃなーい!」

「このワルガキー!」

「あ!うわっ!落ちるっ!」


「うわー!」

「コラッ、あぶないぞ、あばれるな!父さんがこの鋤を持ってるから、早く荷台に戻れっ!

うわっ、コラッ、じたばたするなー」


「おーちーるー!」

「ク、クエンティン!」


ドッシーン!!!


「うわー、イタタタタ…。」

「ヒャッホーイ!

ぶら下がったままの姿勢で、ジャーンプッ!!!」


「ローリング…

「…サンダー…

「…ギャラクティカ…」


「…マグナム!」

「…ジャーンプ!!

「…そしてっ!

着地っ!」

ガタガタドシーン!

「うわーっ!イッテーーー!(T_T)

おーちーたー。。。」


「トウっ!

みたか、クエンティンさまの超絶アクション!これぞ、スーパーB級アクション、"Jumping Jack From Dusk Till Dawn"だっ!

夕暮れ時から明け方まで、一晩中空を駆け抜ける、コウモリ戦士だ!」


「…あ、あれ?父ちゃん、どうしたの?」

「ク、クエンティン、おまえ…ってやつは…(T_T)」



「クエンティン、おまえはまだまだこども。遊びたいのはよくわかる。だがな、"おれはこどもじゃなーい!明日からでも父ちゃんの手伝いをして、この農場をでっかくしてやるぜっ!"って言ったのは、おまえだろ?オトコは、一度言った言葉を守りなさい。早起きして、しっかり働いたら、メシはうまいぞ。」

「…。おれ、言ったっけ?」

「…。バカなフリをしても、ダメ。その顔は、ちゃんと覚えてる顔でしょ。さあ、こっちにお出で。」

「う、うん。」




ドドド ドドド ドドド

「うわー、父ちゃん、かっこいい!」

「どうだ、おれのMassey Fergusonは?力強いだろう?いずれ、おまえに譲るんだからな。しっかり操縦方法を見ておけよ?」

「えー、いつの話だよー(笑)」

「(笑)」


「よし、ではクエンティン、おまえにひとつ仕事を任せるぞ。」

「なになに?何をすればいいの?」

「この前買ってやった、こどもJohn Deereを持ってきなさい。あの、きれいな緑だったのにおまえが言うから赤く塗ってやったやつ。」

「はーい。」


ブロロロロロ…



「そいつで、この干し草をな、ロバートとヤギのところに持って行ってやりなさい。ついでにそのヤギも一緒にな。」

「えー、ヤダよ。アモンはボクのペットにするんだい!」


「…なんだ、アモンって。ヤギにオオゲサな名前を付けるんじゃないよ。ホラ、その子も、なかまと離れてさみしがっているだろ?ちゃんと戻しなさい。」



「うん、わかったよ。でも父ちゃん、このトラクター、ホークのやつが、チキュウに優しくないって言うんだ。ホントか?そんなんでアモンを運んでもダイジョウブか?」

「いやいや、よくみなさい。そいつはな、大枚はたいて買った、電気トラクターだよ。この父さんの年代モノと違って、ホラ、煙突がないだろう?石油を燃やすんじゃなくって、バッテリーで動いているんだよ。しかも!太陽光発電で充電する!おまえと同じ、新世代だよっ」


「しかも、だ。おまえ、どうせそいつで遊んででホークにイヤミ言われたんだろ?いまは大事な仕事をするんだ、多少のエネルギー消費は仕方ない。それ以上に仕事すりゃいいんだ。

…って、おい、クエンティン、おまえその左手…」


「な、何を持っているんだい?クエンティン…。」

ティラリーラー♪

ティラリーラー♪

ティラリーラー♪


「…もしもし?はい、ええ、そうです、ロベルティーノ農場の、ロベルティーノですが。はい、ええ。」

「こ、コラ、クエンティン、出ちゃいかん!」


「ええっ!!?」


「…。はい、はい、わかりました。父ちゃんに伝えます。」

「…。クエンティン、どうした?誰だった?(マズいー!マズいー!)」


「…。父ちゃん…。電話、ティティー・ツイスター・トレーディングポストの、クルーニーさんから。」

(ああ(>_<)、やっぱり(T_T))

「お酒のツケ、そろそろ払えってさ。でなきゃ父ちゃんのトラクターをもらうって約束になってるって。ホント?それ、おいらにくれるんじゃなかったの?」

「あ、ああ、いや、もちろんだよ。ツケはすぐ払うし、だいじょうぶだよ。この前ちょっと、バーボンを飲み過ぎてな…。」


「おれ、ホークに聞いたから知ってるよ。ティティー・ツイスターって、村役場の向こうの、ブロードウェイにあるお店でしょ?キレイなお姉ちゃんがキワドい服着てはたらいてるお店だって。こんどのぞきにいこうって、ホークが言ってたもの。」

「…。いや、こどもはな、ああいうところ行っちゃいかんゾ。ホークも、元気があるのはいいが、困った子だなあ。」


「John Deere号!全速前進!メロディ姉ちゃんにホウコクだ!」


キュイーン!ドドドドドッ!

「よし、モーターのコイルもあったまって来たコロだゼ!

「こ、コラー!クエンティン、待て、待ちなさい!

メロディに、メロディにだけは、言わないでくれー!頼む、頼むからーー!!(T_T)」


「おやじ、サラバだ!」

「ク、クエンティーン!(T_T)」


(つづく)