2015年5月9日土曜日

May 2015 - 1st Session 


春うらら。連休も好天に恵まれ(ってたったいま物凄い豪雨ありましたが…。)、最近はプレモの入荷も多く、みなさま幸せな春をお過ごしかと思います\(^o^)/ そしてここ"pax fantasica"にも、春、あるいは初夏が、やってきました。5月演目、『牧歌物語 - S.P.Q.R. - Spring Parade on Quentin's Rolling wheels -』あの(?)クエンティン少年の転がる車輪に乗ってどこまでも、春は先へ先へと進んでゆきます(^_^)

では、5月演目、3つのお話とあとがき、お楽しみください。

第1話 - ともだちができたよ -






そこは…。

こどもたちと

どうぶつたちが

集まる…


Boys 'n Girls Animal Farm!

モルモット

ヤギ、

ブタ、

ロバ、

そしてウシたち。

ヤギは高いところに登り。


ブタはエサをねだる。



ロレッタちゃん、かわいいよ~。あのにくたらしい、イタズラこぞうのクエンティン君の妹とは思えないよ!)


モルモットはニンジンを食べる?

(おにいちゃん、またロレッタちゃんのこと見てるわ。あー、やだやだ、お年頃の男の子なんて、大嫌い。)



ロバはニンジンを食べる。

うん。

(あ、ビル君、やっぱりロレッタちゃんのことが…。そうね、彼女、お嬢さまだし、かわいいし。わたしなんかとぜんぜん違うもの。。。)




マザー・ゴートも安心の、楽しい楽しい、Animal Farm...


「おーい、おまえら~」

ん?

「おい、おまえら、のんきに家畜の世話なんかしてないでさ、せっかく天気のいい春なんだから、狩りに出ようぜ!狩り!狩り!いやおれらはまだちっさいから、せめて、釣りにでもさ!ホラ、こんなでっかいトラウトがいるぜー!」



と、現れ出たのは、、

ジモトの連中?


「ホ、ホ、ホ、ホーク君。ダメだよ。いまはまだ、釣りをしていい季節じゃないじゃないか。そんな、トラウト獲ったりしたら、おこられるよ?」


ベエエベエエー(何やら、よろしくない空気がしますネ…これは、高みの見物と行きますか。)


ベエーーベエーー(あら、あの子は確か。。。あのやんちゃ坊主、面倒を起こさなければいいのだけど。)

モウーーモウーー(ヤギおばさん、心配いらんだろう。あの子はああ見えて。。。それに、ビル君、いや、ウィリアム・ヘンリー三世君なら、こんなピンチはきっと切り抜けるさ。)


(お、おにいちゃん、いくらロレッタちゃんの前だからって、いい格好しようとしたらイタイめみるよー。あいつは、ホークは、ケンカが強いので有名なんだから。)



「あー?おまえ、何言ってるんだ。おれたちはいいんだよ。ここはおれたちの土地だからな。好きな季節に、すきなだけ、サカナ採ったって、だーれもモンク言いやしないんだよ。なぜって?おまえたちには、ゲンザイがあるからさ。」

「ゲ、ゲンザイ?」

「それよりおまえ、このウシなあ、こいつはチキュウに優しくないんだぜ。わかってんのかあ?ニクよりもな、サカナだよ!これからは、サ・カ・ナ!フィッシュバーガーだよ!」

「???」



「おや?なんだかさわがしいな。ロレッタ、このあたりにいるって言ってたんだけど、なんだなんだ?何かあったのか?

おーい!ロレッタぁー!

ビルぅー!ベスぅー!ビアトリクスぅー!

あ!あれは!?」

「お、誰かと思えばここの農場のボッチャンじゃねーか。」

「あ、クエンティン君!」

「ビル君、それにホーク君。どうしたの?」

「どうしたのじゃねえんだよ、クエンティン。こいつらおまえのともだちか?こいつらよー。。。」


「…つーわけでな、おれがせっかく、気持ちいい小川のマス釣りに誘ってやろうって思ったのに、なんだかキソクだのホウリツだのレギュレーションだのって振りかざして、イチャモンつけるわけよ。まったく、つまんねーよ。おまえはチガウよな。おれらと一緒に、釣りに行くよな!」

「イクヨナ!」

「え、あ、うーん。」

「なんだよー、ノリわりぃーなあ。やーっぱ、おまえらはけっきょく、おれらとはつきあえねーとか思ってんだろー?お高くとまっちゃってよー!牧場主の、お坊ちゃん様がよー!」

「いや、ベツにボクはそういう訳じゃあ…。ただ、サカナを採っていいかどうかは、キミらもボクらも、おんなじじゃないかなーって。誰の土地かはさておき、さ。」

「さておくんじゃねーよ、おい!」

「なんだとー!ホーク、おまえもわからずやだな!!ボクのともだちや妹に絡むなヨ!それにな、いまはここは、ウチの土地なんだぞ!おいらたちの農場なんだぞ!」


「んだと!!よく見りゃおまえ、なんだその乗り物はっ!何にも運んでねーのにケムリモクモクと出すんじゃねーよ。大地をウヤマッてねーな!こいつめ!」

「なんだとー、このホークの…」


「コラーー!!

あんたたち、何やってんの!」

ん??

モモウモウ(おや、この声は…。)

ベベエベエ(あ、あれは…。)

(や、やばい!あの声は、、、)



「ハーイ、ちょっと待ったぁ!あんたたち、なにこんな天気のいい日にイザコザなんかやってんのよ、こどもの風上にも置けないわね!ばっかじゃないの?

ハイハイハイ、何があったのか、それぞれちゃんと、説明しなさいッ!」


「なんだなんだ、このおばさんは?」

「キィー!おばさんじゃないわヨ!わたしはメロディ。そこのトラクターに乗ったチビと、同じく雲の模様の服着た子の、、、」

「母親か?こどものケンカに親はクチ出すんじゃねーよ。。。」

「チッガーウ!姉よ、姉!お姉さんよ!わたしまだ、18だからね!」

「…。」

(ああ、ホーク君、あなた、まけたワ。マツガイなく。。。お姉に、歳のこと言わせたら、もうゼッタイまける。だってお姉いま、オニモードに入ったもの。。オーガー・メロディ、って我が家では有名だもの…。)


「で!いったい何があったの!言いなさい!」

「どうもこうもねえよ。こいつらな、おれがサカナ採ったの、イチャモンつけるんだよ。あんたオトナだから知ってるだろ、ここではおれたち、好きなことしていいんだって。だってここはおれたちの…。

それになっ!なんだあのトラクターはっ!こいつ、遊びに出るのにセキユぶちまけてんだぜ?いいのか、ねえちゃんっ!」


「…。あんた、ホークって子ね。うわさは聞いてるわ。腕っぷしも、頭も、いいそうじゃない。わたしたちの歴史についても、それに環境のことも、いっぱしにベンキョウしてるみたいだしね。」

「お、おう。」

「でもね、あんた、マチガってるわ。」

「な、なに?」


(あ、出るよ。メロディちゃんの、大自然お説教モードがっ。)

チュチュウ、チュチュウ(なんでもいいから、早くニンジンくださーい。)


ベエベエ(あ、キャベツが落ちてる。あの女の子も気付いてないし、いまのうちいまのうち…。)


「いいわ、話をしてあげる。わたしたちの、長くて、ちょっとカナシイお話と、でもそれよりももっともっと長い、もっともっと大事なお話を。みんな、座りなさい。」






………。


「…と、いうわけよ。わかる?」

「うーん、つっても、もともとおれらは、この大地を大事にしてたって、おやじたちは言ってたぜ?それをあんたらのセンゾが来てさあ。

それにそんな、ぐりぷとどんだとか、めがてりうむだとかの話されても、わかんねーし。」


「そうね、あんたの言うとおり。あんたたちのご先祖は、大地とともにやっていくことが、得意なほうだった。

それに比べてわたしたちの先祖は、ちょっとだけ、やりすぎちゃった。だから、ルールを作ったのよ。

あんたたちも、わたしたちも、もうこれ以上うしなわないようにって。」


「そ、それは、釣りのルールもだよねっ。」

「まあ、そうね。でもビル君、あんたもマツガエたわね。」

「え?」

「ここ、スピードワンコ財団の私設居留地、"The Reservation"では、ホーク君たちには特権があるの。」

「トッケン?」

「そう。伝統的な手法をもちいる限り、わたしたちよりも一足早く、それから少し長く、漁をしていいのよ。」

「???」


「おう、メロディねえさん、このおれのお手製の銛は、そのデントウテキなシュホウってのに入るのか?」

「もちろん。まさにそれね。だからあんたたちは、5月に入ったらもう、トラウトを獲ってもいいのよ。ただし、サイズ制限は守ってよね。その大きさなら、OKだけど。」

「ほーらみろ。」

「ホーラミロ。」



(ソローリ。ソローリ。)

(やばいなあ。たぶんそろそろ、ねえちゃんのホコサキはおれに向かうぞー。姉ちゃんトクイの、ゼツメツしたホニュウルイの話も、それにサカナの話も終わったし、あとは石油の話だけだ…。さすがにこのクルマを遊びに持ち出したのはしかられるゾ。とおちゃんに言いつけられたらマズい。。。ショウコインメツ!ここから立ち去るにかぎるナ!)

「で、クエンティン。」

(ギクッ)

「あんたはこんなところで、何してんの?そんな大げさなトラクター持ち出して。何か収穫してんの?」

「い、いやー。。。」


「お、そうだぜ、クエンティン。何か野菜、持ってきてくれたんだよナ。」

「…。」

シーン…。



「コラ、クエンティン!あんたまたお手伝いサボって、こんなところに遊びにきてっ!Noblesse Oblige、ってあれだけ言ってもまだわかんないの!」


「のぶれす、おぶりーじゅ?」


「ま、ベツに、Noblesseってのは言葉のあやだけどね。農場主たる父さんが尊敬されるためには、こどものクエンティンも、ちゃんとしなってことよ。

もちろん、あんたたちも、部族の誇りのために、ルールは守んなさいよっ。」


「おい、クエンティン、おまえまさか、、、野菜、、、ホントに持ってないのか…。」

「…。」

「サカナとヤサイ、コウカンしよー?」



(うー。サカナ、サカナ、サカナはキライなんだー!
それに、ヤサイ、ヤサイ、ヤサイは持ってないんだー!)

(クエンティン君、またサボってるんだ…。

ダメな子。

やっぱり、ビル君ね。)


「さあ、クエンティン君、いまからでもオソくないよ!これから一緒に、君のお父さんのところに行って、ノウギョウのお手伝いをしようよ!」

(くー、ビルのやつ、なんだよ、さっきまでホークにビビってたくせに、急にエラそうに!)


「あ、ああ、も、もちろんだよ。ボクは働くのは、大好きさ。きみたちもいつまでもコドモの遊びをしてないで、親の手伝いをしたほうがいいヨ。。。」


「…サカナ、食べないの?」

(う、なまぐさーい!)


チュチュウチュウチュウ(おまえ、何の話だか、わかった?ぐりぷとどんって何だ?)

チュウチュウチュウ(いーや、さっぱり。なんだかあのお姉ちゃん、コワいよな。)


「コラっ!クエンティン、待ちなさいっ!」

「姉ちゃん、サラバだー!」

「マチナサーイ!」


(つづく)