2015年4月12日日曜日

Apr 2015 - making of - 


さて。一夜城のごとく一気に配信しました、4月演目『P - ポリスストーリー - featuring "S - 最後の警官 -"』。プレモポリスたちの勢揃いで描いた近未来アジアの動乱と、"コロさず"の志。最後に、おきまりのあとがき、またまた長いですがお時間ある方、お楽しみください。ザシュァッ!!


あらあら、
 ランボウモノね。。。

やっぱり彼、あの、

ウィンダム・苺。


ボクサーね。

タイプだわ




あとがき


制作背景


昨年からずっと、ポリスストーリーを構想していました(^_^) 2014年1月から放送されたTBSドラマ『S -最後の警官-』、第9話までと短い構成でしたがgeneはこれを観まして、ツッコミ所は多いながらになかなかよくできたお話だと、気に入ったのでした。この後で放送された『MOZU』とも併せ、警察ドラマ、ひさびさに楽しんだわけです。

で、『S』、映画化されるんだなと。あ、MOZUもでしたね。

当初、『S』の映画はこの5月に劇場公開されるもんだと思っていました。が、いま見たら、公開、8月29日なんですって?^_^;あらら。4月を春らしく牧場牧歌物語にしないでポリスにしたのになあ^_^; でもまあ、しばらく現代モノを演っていなかったので、よしとしましょう。あ!しかも…ホンモノも海上なんですって!?まじかー。かぶったー(>_<)

公開予定、geneのカンチガイでした?それとも公開が延びた?調べてませんがそれもそのはず、この映画は、出来上がるまで内容について一切耳に入れないようにしようと努めていたのです。なぜなら、知っちゃうとここでポリスストーリーをやるのに影響が出ちゃうから。まだ映画を観てない人もいるわけで、ここはあくまで、『S』をフィーチャーした独自のお話。映画とは別。というわけで、映画のティザーも、原作漫画も、触れないようにしておきました。そして、映画の公開前に、ここではgeneのお話を出そうと。というわけで、4月演目となりました。

皆さんも、ホンモノの映画のほう、ぜひぜひ観てみてくださいね!

向井君、綾野郷君、大森さん、活躍期待しています\(^o^)/


プレモの警察


で、この物語を作ろうと、4693、5186、5515、5565などを着々と揃えていったわけです。着々と、といいましても、当初は品薄で、あれそれさんやプレモランドさんでも入荷即売り切れ状態で、正直焦りました。焦ったがゆえに、最初から狙っていた5186や5565以外にも、アドオンの「6287 三人の警察官[制服緑]」を購入したり、プレモマガジンに手を出したり。。。

そして、制作直前になって思い立ったのは…。2014年7月のツグマ・フォース『サカの神酒』との接続。そう、当初はイチゴ君の役をやるのは、ツグマのグレイソソを演じた彼にしようと思っていたのですが、いや待てチガウなと。イチゴ君はもっと街の警官ぽい雰囲気を出して、あまり武装させないで(というか本来は拳銃すら携帯していないのです。)、でも防御力は高めに設定して、できればボクサーらしさ、パンチャーらしさを出して…

というわけで眼を付けたのが、「キーチェーン 国際警察官」。しかーし。キーチェーンの取り扱いが豊富なプレモランドさんでも、この方だけは品切れ^_^; やはり、カバンや自転車のお守りにと警察官を購入する人は多かったのでしょうか?うーん、ザンネン。もっと早く思いついていれば。

調べたところ、どうももうひとつのアドオン「7385 Police Officers Addons」に、近いキャラがいました。しかもよく見ると半袖で、ますます良いではないですか!ちょっと出費になりますが思い切って購入しよう。これ、不思議なもんで、以前に制服緑を購入した時にはこちらは気にならなかったのです。たぶん、青い制服の2人がいかにも交番の人っぽいからかな?でも、ちゃんとボディーアーマーを装着してヘルメットを着けるなど、特殊部隊の装備十分です。それに、深緑色の制服のスナイパー氏は、ほかの特殊部隊たちと違ってスナイパーライフルを装備していて(いやだからスナイパーなんですが…)、これまた蘇我伊織的キャラにぴったり!女子は原作のイルマが同じくスナイパーなのですがそこは割愛しつつ、この三人が主役的なチームの主役的なキャラに抜擢されました。

物部伊織。もちろん、蘇我氏物部氏のあれです。藤原伊織と迷いましたが、ニヒルなところがなんとなく物部氏(笑)geneは、蘇我vs物部の場合は、物部ひいきです。

ところでこの三人、、写真両端が金髪ですよね。そして真ん中のイチゴ君は下町キャラ。これって…勘吉さんと麗華と中川も演れちゃうってこと??(笑) イチゴ君にしてカンキチ君。イチゴなのかトマトなのか、不明すぎる。。いやたぶん、ここでこち亀やることはないでしょう^_^;

geneはもともと、警察はあまり好きではありません。ゆえにプレモも、消防やアーミーっぽいのはともかく、ポリスシリーズは敬遠してきました。国家権力が市民に銃を向けるってのが好きじゃなかったんですよね。そう、geneはイチオウ法学部で、専攻(って特にはっきりしてなかったけど気持ち的には)の一つが憲法。国家を制限する法、それが、憲法。でも、『S』を観て、『MOZU』を観て、ちょっとだけポリスに興味を持ったので、こうして、集めてみました^_^;たんじゅーん^_^;

で、結局、集めていたものからは、5515が隊長とSATにそれぞれ1体ずつ。5186はその他の隊員に。5565は、さらに強力な近代的装備に身を包んだヤバげなやつらなので、欧州から来た特殊部隊という設定を追加しました。スマートグラス、サーモスコープ、すげー。EURUPOL、カンゼンにgeneの創作の機関です。

リーダーのカール・デァ・シュトルムは、『銀河英雄伝説』のミッターマイヤー、ロイエンタール、ミュラーなどの合成から。アンドリューの設定に出てくるグルカ兵は、『孔雀王』で初めて知って、最近現代のアフガンにも展開していたと知り、まだホントにいるんかいと驚き。80年代!


偶然ですが、隊長を輩出(笑)した5515、"ゴーゴー イチゴ!"です\(^o^)/

また、エンドロールを書くために調べていてわかったのですが、5186には、なんと、文字換えバージョンの5181というのが存在していました。胸の表記が5181はドイツ語で"POLIZEI"、5186は英語で"POLICE"となっているのです。そういえば前にもこういうのあったなー。細かいです、プレモ。独、英、米の市場には手厚い。これ、もしドイツ語だったらちょっとこの物語にそぐわなかったので、UK/USバージョンの5186が手に入っていてよかったよかった(T_T)

プレモの大道具、小道具


オープニングのブリーフィングルームと、エンディングのツグマの長官室として使っているセットは、アドオンの「7224 オフィスグッズ」。机、椅子3脚、書棚と本、デスクトップPC(なんとちゃんとキーボード別!)、ビジネスホン(受話器とコードも再現!)、ごみ箱、観葉植物などが入ったかなーりお得なセットですが、プレモランドさんにてとても良心的な値段で入手できました。実はこれ、fi?ures series 8 ガールズの中のオフィスガールを入手できること前提で事前に購入していたのですが^_^;最近、どうもPLAZAでもfi?uresがいまだ6で止まっている状況で、無事にオフィスガールが手に入るかどうか不明だったため、ここで使っておきました。結果、フィールドだけでは殺伐としすぎたであろうこの物語に、いいアクセントを添えられました\(^o^)/

普段、フィギュア中心、小道具中心に集めているgeneなので、この手のセットはあまり持っていなく、5332とこの7224くらいですが、小さな品がテーマに沿ってまとめられているのはとてもいいですね!ドールハウスシリーズを集めてらっしゃる方の気持ち、よくわかりました(^_^)

なお、ピザ屋は何種かあるはずですが、所蔵してませんので到着せず^_^;

それはともかくとして、この物語の最大のセットとも言えるのが…

アドオン?なのかな?

「6282 Police Speedboat」!!

これ、ちょっと前にUSのプレモ公式ショップを観ていてセールになっているのを発見し、いいなー、ほしいなー、POLICEって書いてあるし、この物語にぴったりだなー、と思っていたのですが、3月にみたら消えてました(T_T)

そうですよね。。。DiscontinuedだからSaleだったんですよね。

というわけで諦めかけていましたが、無事eBayで、しかも手頃な価格で発見!即買いしました\(^o^)/

珍しい横長の段ボールの箱に入って届いたのですが、例のプレモロゴの顔と"playmobil"の表記が青でプリントされた段ボールは、ちょっとしたレアアイテム!?

エンドロールに書きましたが、こちら、色替えバージョンである船が最近追加されました。ゆえにこちらは廃盤となったのでしょうね。新しいバージョンは、オレンジベースのレスキュー船です。アドオンではなくて通常のパッケージなので、人もいます。このオレンジの新レスキューシリーズ(5539、5540、5541、5542、5543、5544、5545)は既に一部プレモランドさんに入荷されはじめていますので国内でも手に入りやすくなるかと思います。基本的に過去に出たポリスシリーズの色替えが多いですが、レスキューはまた別の話が作れそうなのでいいですよね。あ、"Orange Peace"とかはゼッタイにやりませんよ(キッパリ)。geneは、Green Peaceもgreen peasも、どっちもキラいです。あれはもうテ〇同然。恐〇同然。寄付金目当てのパフォーマンス(ってそれはSeaなんちゃらのほうか…。)オレはヒヨコ豆派だ!レンズ豆派だ!

このほか、過去にも登場しているスピードボートやセグウェイ的なバランスレーサーも登場。THI製としたのは、『ENGINE』を介して、例の財団ネタ、ジョースター家ネタと接続していくための伏線となっています。あ、THIって、トウホウ重工です。ヒガシカタじゃあないんだよ。でもって、ジョジョであると同時に、featuring 弐瓶勉さんなんだよ。\(^o^)/ 来週4月23日には『BLAM!』新装版が出ますね!


プレモの武装


さて。話戻って。えーと、プレモの小道具、大道具、でしたね。

『ポリスストーリー』は、"不殺"のモットーをもった部隊(原作ではNPSという名称)の活躍を描いていますが、物語の都合上、かなーりの数の銃器が登場します。これは実際の『S』でも同じですね。まあ、『ヨルムンガンド』ほどではないのですが、ここではプレモの銃器について解説しておきます。

その前に、こども向けのおもちゃであるプレモで、ここまでの銃器ってどうなの?^_^;という意見もあると思います。まあ、そもそもモデルガン、トイガンというものがあるわけですが、それにしてもプレモは、太古、古代、中世、近世、現代、未来、どのプレモであってもかなーり武装をしています。

人類は初めに棍棒を持ち、それがやがて…という『2001年 宇宙の旅』を意識しているのか、geneと同様の「人類、特にその雄性体は、は本能的に棒を持つ。それは、楽器であり、工具であり、スポーツのギアであり、しかし時に、武器である。」という理論を持っているのか、それは定かではありませんがとにかくプレモ。武装満載。ボウリョク的なシーンは描かない!って旧代理店さんのチラシに書かれてましたが、残念ながらそれはウソ。いや、最終的にはこどもの想像力に委ねられているわけですが、それでも、十分な殺傷能力のある武器のカタログ。武器マニア、武器歴史マニアに育てようってのかええ!?ってことで敬遠する親の方がいても仕方ないでしょう。

H&K G36らしき銃
さすが欧州…
まあ、LEGOもScheleichもPapoも、武装した戦士や騎士はいっぱいいるわけですし、選ぶ側が選べばいいわけですがそれにしても、ここまで近代兵器が増えてきたということは、そろそろ批判も強まっているんじゃあないだろうかなと思います^_^;

そんなわけで、この物語では、"不殺"を掲げ、銃を使わず活躍するイチゴちゃんと登場させました。結局、本作では誰もシんでないしね。

ついでに、"不殺"といえば、あれ。『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』。これまたgeneのツボですから!

思うに、こどもって、特に男の子って、ちいさいうちに必ず、銃とか刃物とか武器に興味を持つ時期あるんですよ。たぶん。弱い子ほどたぶんそう。そしてそれが社会的に仕向けられてるにしても、いまや避けられない。geneだってそうでした。最初に買ってもらったのは、夜店で売ってるトイガンのコルトガバメント。祖父のプレゼントでした。

でもいいじゃないですか。こうして、『S』や『るろ剣』で、銃器や刀剣振り回すキャラみて、シンプルにカッケー!って思いながら、ちょこっとだけ、いやでも、"不殺"、もっとカッケーよな。やっぱ丸腰勝負、逆刃刀だな、って思ったら。プレモの刀も刃はないし、銃も弾は出ない(あ、大砲はたまに弾が出るけど^_^;)。空想の世界で、ゲームや漫画やドラマや映画で思う存分暴れてみて、でもそうじゃない主人公を観て、ちょっとだけ考えれば。

そうすれば、"少年はポケットにナイフ忍ばせて"って気持ちになったときにも、"汚れたシャツの襟元""いつもの朝のいつもの苛立ち"を感じたときにも、相手が立ち上がってくるのがコワくてめちゃくちゃなことしたりしないで、ちゃんとホントウの強さを発揮できるんじゃないかな。たとえそれが20世紀的な楽観論でも、その気持ちをもっていればだいじょうぶ。

LOVE&PEACE!

非武装、
戦争放棄、
愛と、平和。

それこそが、
   "pax fantasica"!!


\(^o^)/

ただ、ちょっと思うに、相次ぐにくしみの連鎖、ボウリョクの連鎖の中、欧州市民はちょっとだけ、治安のためのボウリョク、治安のための武器には寛容になっているのかなとも思います。。

作中で、欧州市民は国家の強権的な機関にはアレルギーがあるって書きましたがそれはもはや20世紀のことかもしれません。

いまは、国家からのボウリョクを恐れる以上に、"他者"と設定したものからのテロを警戒している。かも。もしかしたら。うん。

うーん、それって完全に負の連鎖なので、まずいよーな。。。


さて、ムズカシイ話はこのくらいで、気を取り直して!


肝心のプレモの銃器ですが、現代編ではたぶん三種類あります。ひとつがGLOCK的な拳銃。四角いデザインで、それゆえ腰のホルスターにカチっとはまるようになっているのですが、最近入手したパッケージではゆるゆるのもありました(>_<) ふたつめは上の写真でも出した、H&K G36、特にその民生モデルのSL8に酷似したアサルトライフル。さすがドイツです。みっつめは、物部伊織君やジャッキー・ユンさんが所持していた、スコープとマグライトを恐らくはレールシステムで装着したスナイパーライフル。メーカー不明。『ヨルムンガンド』と違って、FN SCARとか、MUGPUL関係のアイテムやサンドベージュの色合の銃器はまだ出ていません。そりゃそうだ。プレモには、明確に現代軍人なキャラはいないから。それでもホントのおこさまにはまだちょっと早い情報なので、英語でリンクしておきます^_^;


ヴラジーミルとは?


ほぼ勧善懲悪でシンプルに描いた、お気楽極楽楽観ポリスストーリーでしたが、その悪役を見事に(?)演じてくれたのは、わが劇団プレモ座でも有数のヴィランズである、この二人。

『サカの神酒』にも出てましたが、シーフーはその時と同一人物のその後、ヴラジーミルはソックリだがアカの他人、という設定でよろしくお願いします。

よろしくお願いします。よろしくお願いします。グレイソソとモソクの年齢は不問でお願いします^_^;

その名のとおりヴラジーミルは、ユーラシアの北部にあるあの巨大な国の出身という設定。仇名の"チーグレ"は、Tigerという語の変型ですよね。途中、ドイツ人のカールに"ティーゲル"ってドイツ語訛りで呼ばれてました。

この方は、噂が独り歩きしているようにも思えるかの国の犯罪組織をモチーフに描いています。

帝政時代の農奴(の一部でアウトロー化した人々)にまで起源が遡れるとも言われますが、実態は、緩やかな連合であり、一定のアウトロー文化を持った人々の疎な結合を、マフィアって呼んでるだけなような気がします。いわゆる西側諸国とは政治も経済も状況が違う訳で、どこからが犯罪的でどこからが合法的なのかも、結局われわれにはよくわかりません。

彼が罠にかけ、ここでも利用しようとした収監中のテロリストは、その名を、カフカス地方出身の著名な大物の姓と名をそれぞれ借りました。この地域も結局、宗教的、民族的にフクザツな歴史をたどっているわけで、彼らには彼らなりの事情があるのでしょう。そのあたりは、価値観が分かれるところなので特に加担することもなく、批判することもなく、第四章とラストのイチゴ君のつぶやきに、託しておきました。

あ、この写真はiPhoneのアプリ「Hipstamatic」で撮っています。

コラージュは、同じく「PhotoMess」ってアプリで編集しました。


石虎(シーフー)とは?


で、続いては石虎(シーフー)。

作中で本人が、デタラメだ、歴史の借り物だ、として語っている話ですが、あれがまさにこのキャラクターのモチーフです。

時は4世紀。三国志の時代が過ぎ、司馬氏のは、司馬懿の孫にして初代皇帝武帝司馬炎がから禅譲を受け、更にを滅ぼし、一時中原を統一したものの、一族たちが相争う政争"八王の乱"を経て再び戦乱の時代を招いてしまいます。

やがて晋は南へ拠点を移し、華北地域は北方からやってきた異民族、いわゆる"五胡十六国"の勢力が割拠する時代を迎えたのです。

おりしも三国時代の戦乱や飢饉により、中原は荒れ果て、人口は減少。田畑を耕す人もいなくなっていました。そこに南下してきたのが、北の遊牧騎馬民族たち。ローマ帝国末期のゲルマン、ケルト、スラヴ民族の大移動とも似ていますが、これもまた、決して侵略ではなかった、移住だった、とgeneは考えます。しかし、この遊牧騎馬民族を、八王たちは傭兵のように利用し、戦場に投入しました。弱体化する晋と、力を強める匈奴、鮮卑、羯、氐、羌。華北は様変わりしていきます。

次第に漢民族化したり中原の文化文物を採りいれた北方民族によって次々と作られる、匈奴の劉淵の"漢/趙"拓跋鮮卑の"代"(※通常十六国には数えられない)、慕容鮮卑の"燕"()、氐の苻健の"秦"羌の姚萇の"秦"、そして、羯の石勒の"趙"

※逸れますが。苻健の孫で秦の三代皇帝たる苻堅、いいですね!\(^o^)/

歴史上の石虎は、この「趙」を建てた羯族の石勒の甥で、その後継者のひとりとなる男です。ブリーフィング中に新橋が言っていた話も、この羯の石勒・石虎になぞらえた話で、デキた人物であったらしい開祖の石勒に比べて、石虎というのはヒジョウにヤバいやつとして記録されています。もっとも、石虎の王朝は、その没後、後継者たちが次々と争った挙句に、あろうことか石虎が拾ってきてた漢人の冉閔という男に国を奪われてしまいます。どころか、石虎の養孫だった冉閔(石閔)は、石氏の姓を返上し(つまり羯と決別し)、漢人優遇、羯族粛清の動きに出たわけですので、、、

このあたりの話は、どっちが正しいことを言っているのか、どっちが正でどっちが邪なのか、まったくわかりません。正邪なんてそもそもない、というのが正解でしょう。

※たとえば、北から南への移動、移民と書きましたが、戦乱のせいで南から北へと流れた流民も多数いました。前燕を建てた慕容皝の父、慕容廆はこうした流民を積極的に受け入れることで、文物、技術、人材の確保に努めました。前秦の苻堅はみずから学問をよくし、漢人の部下を大切にし、民族融和策を執ったり格差に解消に努めたりと内政の安定に労を惜しみませんでした。このように、北方から来た"蛮族"だと言っても決してそれだけでランボウモノだったわけではなく、どの国が安定し、どの国が乱れ、どの君主が優れ、どの君主が暴虐だったのかは、出身部族によるものでもなく、歴史の記述の中では公平に記されているともいいきれず、単純には割り切れないと考えます。

しかしそれにしても、現代でいえば"民族浄化"的な犯罪にもあたるような部族同士の争いが、かつてはこのようにフツウに(?)行われていたのでしょうか。それでも、そのような行為を行ったことが歴史に悪として描かれていることから、人類は普遍的に、こうした行いを悪とみなすだけの理性と良心は持っているといっていいでしょう。ホッ。

さて。なぜここで、石虎を持ってきたのか?

それはこの生涯が、なんとなく、『ヨルムンガンド』の悪役バルドラのモデルとされたセルビア民兵首魁のジェリコ・ラジュナトヴィッチに、ソックリだ!と最近調べていて感じたからでした。しかも!偶然にも、ジェリコの組織の名前が"アルカン・タイガー"であるのに対して、"石虎"。おおー。

※『ヨルムンガンド』では、アルカン・タイガーにちなんで、バルカン・ドラゴン、通称バルドラ。はしゃいでるトッチャン。

※あと、余談の余談ですが、『水滸伝』に出てくる、華北を荒らしまわる盗賊の首領"田虎"ってのも、モデルは石勒&石虎な気がするなあ。『水滸伝』は、宋レヴォルヴ!から宋ロイヤル!に転じて契丹とか女真とかと闘うので、東晋と華北の趙との関係を思い起こさせるしなあ。

にしても、古代の4世紀と同じようなことを、現代にやんなよ…おい(-_-メ)


架空世界の近未来世界情勢


ま、てなわけで、ラオフウ/老虎、"遼東の虎"こと、シーフー(石虎)というキャラができあがりました。羯族であるとは明示していませんが、羯は、冉魏(冉閔の建てた魏)の政策によってホロボされてしまっていますので(T_T)、現代では生存していません。あえて実名を避けたのは、後の作品で、羯に関係するとある実在の民族を話題上登場させようという目論見があるからと、この争いはあくまで、荒廃して地下帝国のはびこる悪の巣窟になってしまった華北地域と、民族によらず善良な人々を中心に南へ転じた新中華との対立であって、民族の対立じゃないよって言いたかったからです。

近未来。現在のチウゴクにあたる地域をふたつにわけて描きました。

実際、長いことこの世界は、チウゴクという地域を二つの異なる世界だと認識してきたそうです。北はキタイ、カタイと呼ばれる地域で、ヨーロッパや中東からはシルクロードという陸の道で辿り着く世界。マルコ・ポーロがやってきた世界。他方、南はチン、シン、シナ、チャイナと呼ばれた地域で、開封・寧波の港からジャンク船やアラブ船で陶磁器を輸出する世界。ヨーロッパの人々がこの二つの地域をひとつだと認識するには、確かマテオ・リッチたちの時代を待たねばならなかったはず。(まあ、マルコ・ポーロは、ホントウに泉州からホルムズを経てヴェネツィアに還ったのなら両者一体を認識したはずですがそれでもあくまで、pax mongolicaのもとでの遊牧民系の華北と漢人系の華南って思ったかもなあ。)

漢代、唐代、元代、明代、清代などなど、そして現代も、南北は統一されている時期もそれなりにあるわけですが、三国時代~五胡十六国時代~南北朝時代(南はいわゆる"六朝")、鼎立時代、明と元の抗争、などなど、北と南の宿命は、数々の歴史ドラマを産んできました。

これになぞらえ、ここでは法治国家で資本主義国家の南と、マフィアの巣的になってしまった華北を描きました。ただここ、難しくて、北をワルく描き過ぎてしまうと、じゃあ五胡十六国は悪だったのかよ、ボウギャクだったのかよ、ってことになり、南をワルく描いてしまうと、漢族批判かよ、ってなってしまう。ここはバランスよくいきたいし、うーん。結局、前回の『ツグマ』の時に、南系のの悪役が多かったので、ここでは少数民族側から悪役を出させてもらいました。(あ、でも、貴霜こと丘 黄淳は、クシャーナ朝の末裔を自称していて、つまり月氏か塞族の末裔ってことだったから、あれは北の少数派だった^_^;^_^;)

ちなみに、作中での石虎の勢力は遼東に拠点をおいていますが、歴史上の石氏の趙は遼東は押えていません。そこには慕容鮮卑による燕があり、趙と争っていたのです。作中では、石虎はさらに北にあるヴラジーミルの勢力と競り合っているわけですが、そう、ヴラジーミルの勢力を燕にみたててのことです。このあたり、華北地域から遼東半島にかけての混乱は、当然、半島や列島にも影響をあたえたはず。それゆえに、チウゴクの混乱のために文字記録の残っていないいわゆる"空白の四世紀"において、倭国大乱があったはず、だからこそ、倭国で出土する騎馬兵の武装が鮮卑様式に極似しているんだろうな、ってことはもしかして燕や趙の外貨獲得として武具の輸出ってあったの??騎馬民族は来なかったって言われてるけど、流珉とかはいたんじゃないの??ねえ、桃ちゃん、教えて!などなど妄想は尽きませんが、それはおいといて^_^;

南の世界は、華北から脱出してきた正統政府を南京に迎えた上で、上海、浙江省、江蘇省、香港、シンガポール、あるいはASEAN地域の華人社会を中心に、アメリカをもしのぐ勢いで繁栄し、徐々に民主化も進み、西側諸国とも融和している。ただ、北にある無法地帯、悪の巣窟に頭を悩ませている、って感じです。がんばれ、新中華!

そんな新中華の代表は、ジャッキー・ユン少佐。漢名 元令震。名前は、かのジャッキー・チェンとユンピョウから。


いや、船舶に乗っているのでどちらかというと、『プロジェクトA』かな?この映画、大好きなんですよ\(^o^)/「ボス、こいつ、チョウじゃありませんぜっ」「そうともおれはチョウじゃない。もう昔のチョウじゃあないんだ!!」

geneの中二時代の思い出のひとつです(笑)


そして物語はその先へ…


当初、フツウに4月演目として制作を計画していたこの作品。いざ作ろうと思い立つとなかなかネームが浮かばず、撮影前に数時間、収集したプレモの箱を前に思案思案思案^_^;

そうしているうちに、最近考えている、某財団ネタの集大成と話がつながってきました。

ツグマ・フォースと財団に繋がりがッ!?

あ、それは『ENGINE』でも繋がってたか…。

では"オオカミ"とはいったい!?

ペイソターとセイチャソは何を知っているのか?シーフーはいったい、ナニモノだったのか?え?頭に弾って、不シ者なの!?


続編、というよりも集大成編の制作がいつになるかはまったく決まっていませんが、気楽に気楽に、いこうと思います。







ではこのあたりで。

また来月\(^o^)/

次回はのほほん予定です(^_^)