2015年7月19日日曜日

Jul 2015 - chapter 7 

いま語られる、事件の真相ッ!発見された宝箱にはいっていたのはいったい!?レムとアールが知る秘密とは!?そして、狼とは!?『海洋冒険譚 ~フェンリルの宝箱~』、堂々の完結!しかしそれは新たなる伝奇のはじまりにすぎなかった!


第七章 アメリカン・ベルセルク




うーん。

なぁるほどねぇ。。。

そうだったのか…。

"ノルドの狼"、そして『フェンリルの宝箱』の中身は…。


レム、いったい何がなるほどなんだ?

うーん、ジョナに説明するのかぁ?そいつはちと難儀だなぁ。

だいじょうぶだ。僕、計算はニガテだけど、英語は得意だ。

そうかぁ?
よーし、それじゃあ…




これは牽き上げられた箱に刻まれていた記録と中身の品々を解析したものだ。あいつぁ宝箱なんかじゃなかった。それどころか、あれは、柩だったんだヨ。

え?ひ、柩って、棺桶だろ?いったい誰の?

ま、まさかディ、、

…いやチガウぞ、ジョナ。。。


…箱に刻まれた記録、おそらくは墓碑銘によれば、だ。

かつて、まだこの新大陸が、ユーラシアのほとんどの人々に知られていなかった頃。

一隻の船がこの地にやってきた。船の名は「オルメン=ヴィン号」。乗っていた男の名はビョルンあるいはビャルニ。


…それ何語?

古ノルド語ってやつだな。

コボルド語?

…ちがうな。(犬頭の話が出てくるのが早くて焦ったゾ)

古ノルド語だ。旧い時代の北欧、スカンディナヴィア地域や現在のアイスランド、それからイングランドで使われた言葉だ。意味は「ヘビ、そして、葡萄」。恐らく、かの高名なノルウェー王オーラヴ・トリグヴァソン旗艦「オルメン・ランゲ号」の名と、この地、ニューファンドランド地方を彼らが呼んだ名、"ヴィンランド"にちなんだものだろう。と言ってもこの船はオリジナルのオルメン・ランゲほどの巨船ではなかったがな。
なんだかテキトウな名前だな。

…そうだな、だがこいつはちょっとした出来事だ。

??

オルメン=ヴィン号は明らかにヴァイキングの船。

かつて、この大陸がコロンブスにより"発見"よりも前にヴァインキングたちによって入植されていたという説(en/ja)は、トンデモ扱いされた時期もあったが、現代ではカナダのヴァイキング遺跡 - L'Anse aux Meadows - の存在が明らかになり、すでに定説となっている。しかし、この時代の彼らの船がはっきりとした形でこちら側の大陸で発見された例はない。

赤毛のエイリーク、そしてレイフ・エイリークソン、それにビャルニ。彼らやその一族がこの大陸に来た、明確な証となるわけだ。

そういうすごい遺物だから、鄭家のおじいさんは孫を遣って探させてたのか?

ああ、救出した鄭尊民の言うことを信じるなら、そんなところだ。例のダイバーによるナゾの沈没船の発見。その報せと不鮮明な写真を、鄭翁はどうにかして手に入れた。財団本部が手に入れたものと同じものをだ。

そして、その船影から、翁は気付いた。これは、ヴァイキングの船なんじゃないかと。

なんでも翁は、旧い時代の航海の歴史を研究していて、特にコロンブス以前の新大陸への航海に関心を持っているらしい。おおかた、少し前に流行った、鄭和の艦隊が新大陸を発見していたとかいうトンデモ本から辿り着いたんだろうさ。

だが、事はもっと重大だった。


ネーレイデス号の船上で確認したあの箱。

財団はビョルン博士やDARPAの協力も得て、あの箱の中身をつぶさに検証した。すると驚くべきことがわかったんだ。

まずあの弓と矢だが…。

…わかった!あれでヒトを撃つと、そのヒトの精神的な力を引き出して…

いやいやいや、そうじゃないぞ、ジョナ。。。そうじゃなくて、あれは普通の弓矢なんだが、その様式、そして材質が問題だった。なんとあれは、中世のヴェンド、つまり、いまでいうポーランド地域の弓矢だったのだ。

???


それだけじゃない。この写真はヘタクソだから写っていないが、この箱の底にあった棍棒。

それもポーランドの?

いや、誰もがそう思ったわけだがなんとこっちは、ヨーロッパ産ではなくアメリカ産の樫の木で作られたモノだった。粗雑なつくりだから様式まではわからんがな。


そして最後に、あの遺骨だ。

幸い、海中にあって骨そのものの保存状態はよかった。財団がその骨髄を採取してゲノム分析にかけたところ、、、

なんだよ、もったいぶるなよ、レム。眠くなってきたぞ。レム睡眠ってやつかな…。

…ジョナ、おまえ…
おれはLemだ。REMじゃないんだ。LとRは区別しろぉ。


もとい、Y染色体ミトコンドリアハプロタイプ分析結果によればだな。なんと白骨の主は、ポーランドのさらに東。現在のリトアニアやラトヴィアのある地域、つまり、東バルト海沿岸の系統に父系で属し、そして母系でポーランド地域の系統と交じり合った人物であることがわかったんだ。

そして、極めつけはこの、箱の中でも最も保存状態の良かったケガワの"頭巾"。



ちょっとレム、ジョナだけじゃなくてわたしもわからなくなってきたワ。それにやっぱり眠いし。もったいぶらずに、とっとと説明してヨ。

なんだなんだ、おまえらぁ、情緒ってものを知らないなぁ。せっかくの大発見、もったいぶらせてくれよなぁ。まったく。。。

まあいいさ。ほれ、これをみてみろ。

これは?

そいつぁな、例のビョルン・マグヌースソン博士がまとめたオーラヴ・トリグヴァソンの生涯とその後の北欧、そしてイングランドの歴史を描いた書籍、それを元に昨年末映画化された『星霜』って作品のシーンだ。

下の写真は、オーラヴ・トリグヴァソンが罠にはめられ、旗艦オルメン・ランゲの上で裏切り者たちに襲われるシーン。それから上の写真は、オーラヴ亡き後ヴァインキングの覇者となってイングランドを平定したデンマークの王、クヌート大王、あるいはクヌート・スヴェンソンとその麾下の武将たちの集合写真だな。

え?これって?

そう。ほかにもこんなのがあるぜ。


やっぱりさっきのやつだ。

これはクヌートが父の急逝を受けてその部隊を引き継ぎ、抵抗していたロンドン城へ攻め行った時のものらしい。

城砦の上で棍棒を構えてるなんだかヤバそうなやつ、どうだ?


うーん、どうだ?って言ってもこれはお芝居、映画なんでしょ?


まあ、確かにそうだなぁ。しかしブックマン・ビョルンは、こいつを綿密な研究に基づいて執筆し、映画化にあたっても時代考証を相当に徹底したと言ってる。公開直後、こいつはなんだ、こんなのはヴァイキングにもイングランドにもいるはずないっていう批判がネットで続出したってんだが、実はこれ、ちゃんとサーガに基づいて考えたキャラクターで、こういうやつがいたはずなんだとさ。

サーガ?

ジョナ、ヴァイキングのことを歌った北欧の叙事詩のことよ。

へー。

ビョルンが言うには、だ。イングランドを平定したクヌート王の麾下には、ポーランドの兵がいたらしい。なんでもクヌートの母親がポーランド、いや、当時のヴェンドの公爵だか王様だかの娘で、その縁あって、クヌートの祖父だか叔父だかにあたるポーランドのトップが、イングランド攻めに兵を貸したっていうのさ。ま、詳しくは映画を観てくれ。

んで、別の記録には、オーラヴが父親だと信じていたハーラル美髪王っていうノルウェー王の親衛隊に、武器では傷つかないフシ者の兵がいたって書いてあるんだと。その名も、ベルセルク!つまり、英語で言うバーサーカー、狂戦士ってやつだな。


はっはっは!レムのことみたいだな!

なにぃ、ジョナぁ、言うねぇ。

まあとにかく、だ。ビョルンは、この二つの話を結びつけた。こういうフシ者の兵士が当時の北欧に居た。で、フシ者であるからには長らく生き延び、ハーラルの兵、オーラヴの兵、そしてクヌートの兵として、ポーランドからノルウェー、そしてイングランドを駆け抜けた、と考えたんだと。

うーん、なんだかおとぎ話だねえ。で、なんでケモノのアタマみたいなの被ってるの?

おう、"ベルセルク"ってのはなあ、ber、つまり、BerlinとかBernとかの語源と同じで、「クマ」を意味するんだそうだ。ちなみにビョルンって名前もおんなじさ。だからあの博士は、じぶんの名前と"Berserk"の名にちなんで、「半分ニンゲンで半分クマァ」の狂戦士を描き出したわけよ。実際、ポーランド、バルト、そして東ヨーロッパ全域、それから北欧地域には、そういう半人半獣の超戦士の伝承はたくさんあるんだと。

へー、ビョルン博士って、小説家の才能があるね。違うブックマンになれるよ。

まあな。なにせ博士は、あの映画に登場した"獣化兵ビョルン"ってやつを、自身の祖先だと信じてるらしいぜ。しかし、その中二病まがいのブックマン・ビョルンが思いついたバケモノみたいな人物の描写にそっくりなやつが、こうして実際に、出てきちまったから、大問題なわけだ。

しかも、イングランドやノルウェーからじゃなく、ここアメリカ、ニューファンドランド島沖で出たのね。棍棒の材質が北アメリカ産のオークだったってことは、この船は、沈んだ後に大西洋の向こうから海流で流されてきたわけじゃない。もっともそもそも海流は逆向きだしね。

この船は、、いったん新大陸に上陸し、そこでこの"ベルセルク"は新たな棍棒を手に入れた後、この世を去り、柩に納められ、いや、この船そのものを柩とするかのように、海底に沈められた。きっと、尊敬される兵士だったのね。フジミの兵士だなんてのは単なる伝説、荒武者に対する尊称なんでしょうけど、その武者の伝統は、こうして遠く新大陸まで伝えられ、た。。。

んー、そうそう、フツウは誰でもそう考える。だがなぁ、ベルマー。そうじゃないんだなぁ、これが。

え?

こいつ、いったいいつシんだと思う?

え?確か、新大陸本土のヴァイキング入植地は長くは続かなかったはずだから…、11世紀か、せいぜい12世紀の初頭。オーラヴやクヌートの時代のすぐ後でしょう?

いーや。違った。

え?

棍棒に使われた木材、それから宝箱の様式を確認したところ、こいつは少なくとも、18世紀前半まで生きていたらしい。この宝箱の写真、よーく見てみな。ほれ、こいつぁカリブの海賊たちがよく使うあれよ。

…そ、そんな… あ、もしかして、グリーンランドからふらりとやってきたのでは?それなら…

それだけじゃあないよ。カリブの海賊が、そいつの墓をあばいて遺体をこの箱に入れたのかもしれないし。そいつが18世紀までいたってことには、ならないよ、レム。

ああ、ジョナ、おまえ、才能あるな。だがな。

ついでに宝箱にはこうも書いてあったのさ。



"偉大なるクヌート大王に仕えし狂戦士ビョルン

ここにみずからの生涯を終えんとす ガ、ガウガウ"


な、なんですって!!

ハハハ!ガウガウだって(笑)
こどもみたいだなあ。


…。。。



…ベルマー、それにジョナ。

こいつぁもう、のっぴきならないことになってきた。おれもいままでは半信半疑だったんだが、もう疑ってはいられん。財団が、なぜおれたち"チーム・ココ・マイアミ"を創設したか。いや、それだけじゃなく、彼らがなぜ、DARPAやTHIと行動を共にするか。

おれとアール、ふたりだけが聴かされていた話を、いまおまえたちにも話す時がきたみたいだなぁ。




…ほれ、こいつをみてみなぁ。


カチャカチャ…
クリック!

ボワンっ




これは?

こらぁ、壁画だ。正確には、洞窟壁画を元に再現したCGだ。発見された場所はアリゾナ。写真の右に写っている男が持っている盾、と、被り物。あれと一緒に発見された。

真ん中のケモノは…?

あー、そいつぁな、ジョナ。

狼だよ。

オオカミ?

そー。そして、ビョルン博士の仮説はここだけ、マツガってた。


発見されたあの箱に入っていた被り物、ありゃクマじゃなかった。あらぁ、の頭部さ。
アリゾナから出たそいつも、同じ。

オオカミだ。


中央にいる金色の頭巾の男、そいつの正体はわからねぇし、黄金のオオカミなのか、それとも作りものなのかはわからねぇ。まだ見つかってないしな。

まだ?

ああ。



そ!そういうことなの!?

ここに描かれている3つの"オオカミ"の頭巾、うちすでに2つが実在した。そして、うち1つを被っていた男は、少なくとも800年近く、この世に生きていた。ということはッ!!


そーゆーこと。
さっすがDr.ベルマー、察しがいいねぇ。


ア、アール!あなたいったい?


オレの名は、R。ジャイロ・アントニオ・ロッソ("R"osso)。イタリアに続く我がロッソ家にはちょいとばかし、この"lupo(オオカミ)"どもとは因縁があってねぇ。北極から南極まで、探し回っていたのヨ。

RとLとの、鬼ごっこ、ってな。マンマミア~♪


ジャイロの兄
シーザー・グッリェルモ・ロッソ



その同僚ストレイトさん



ビョルン博士



その同僚ジョー・ジョースター

ジョースター家の人々

アール!あ、あなた、財団の!?



.. To Be Continued.

End roll


新レスキューシリーズ

  • 5540 Boat with Water Hose 
    • ジョナ隊員
    • レム隊長
    • ベルマー副隊長
    • オーケアニデス級快速艇弐號艦ネーレイデス
  • 5542 Fire Fighting Helicopter
    • カズト隊員(KAZTO TOHO、カーズ)
    • ニキータさん(リザリザ)
    • 救難ヘリコプター TH 64 Emishi
  • 5545 Life Lift
    • 鄭尊民(ジョン・ジョンミン、ジョニー)
    • 鄭華蓮(ジョン・ファリャン、カレン)
    • 鄭少浄(ジョン・シャオジャン)
    • "R"(アール、ジャイロ・アントニオ・ロッソ)
    • 救命艇
ブリーフィングルーム
  • 7224 オフィスグッズ(add-on)
     4月、6月と立て続けに出ていながら初の紹介!?
予告編
  • 6202 タコと赤ちゃん(add-on)
  • 4786 ダイバーと深海の宝(special plus)
  • 4816 海の魔女 より タツノオトシゴ、ウツボ、ワルい魚
  • 7363 イルカの親子(add-on)
  • 3326 ジェットスキーレーサー
  • 4910 polar expedition ジャンク品
  • 7770 三人のファイヤードラゴン騎士団(add-on)
    • オオカミ頭巾の戦士(弓と矢と棍棒含む)
  • 白骨
  • 白い宝箱

あとがき


めずらしく、オリジナルかつ統一シリーズでの上演となった『海洋冒険譚~フェンリルの宝箱~』。いかがだったでしょうか?

写真的には同じようなものが並び、、かつ、4月演目の『P 最後の警官』とも被る感じの絵になってしまい、ちょっと反省を遺しましたm(_ _)m まあそれもそのはず、メインの大道具である船は、かつて登場した6282 Police Speedboatの色替えバージョンです。この夏、欧米、そして並行輸入でこの国でも、新シリーズとして登場した’レスキュー隊 a.k.a. Coast Guardの目玉商品です。

すでに船舶を所有していたのになぜ5540を購入したか?それはオレンジ色!そして、同じカラーリングのヘリコプターの存在!

geneはプレモの航空機はあまり好きではありませんが、ヘリは前々からほしいと思っていました。フォルム、プロポーションが実際のものに近いですよね。しかも5542は、給水タンクを使って浮かせて飾ることができるスグレモノ(…と購入後に発見^_^;)。ただし長時間はワイヤー役のプラスチックに負担をかけると思われます。

このテーマはほか、コンボイのトレーラー、救急車両、そして海上の砦なども揃ったひさびさの本格的なプレモらしいテーマでした。


基本設定


登場人物の名前はもう言うまでもありません。そう、あの『ヨルムンガンド』から。そればかりか、設定の多く、セリフ回しなども『ヨルムンガンド』ベースとなりました。それもそのはず、制作中、録画したこの作品をずっと観ていたからです!\(^o^)/ヨナ、かわいい!レーム、渋い!

まだの方、DVD/Blue-Rayもありますのでぜひ観てみてください。AKシリーズから、M4A1、GLOCK17、MP5、MP5K Kurts、P90、それにMUGPUL MASADAまで、目白押し…いやいや。

この演目では、あえて、この作品を題材に採りながらも、普段の"pax fantasica"と違って一切の銃火器、武器を配して上演しました。例外は、5540に標準装備となっている流体加速装置。それでもこれも、リーサル・ウェポンではありません。

実は、『ヨルムンガンド』となったのは、5540購入前からの決定事項。パッケージを見たときにgeneは眼を見開いたのです。このセットに含まれる青いニット帽の少年、浅黒い肌に銀(グレー)の髪。そして勇ましき出で立ち。まさに、ヨナそのものじゃないですか!これは買わずにはいられない!!(酒、飲まずにはいられないッ! by ディオ)

かくして、『ヨルムンガンド』を観ながらの制作となったこの一篇。

ただし、タイトルにもあるように、"オオカミ"をめぐる奇妙な冒険、そして財団とジョースター家をとりまく伝奇にまとめるべく、さまざまな個所でJOJOとの接続を敢行。

私設救難隊"チーム・ココ・マイアミ"


演者のうち、まずレームは、オリジナルの作品上も、デルタフォース時代の描写で"レームブリック大尉(後に昇進して少佐)"として登場しています。この演目上は、ビョルン同様、北欧の出身としたかったので、レムブリック・ロキ・レームソンと、怪しげな名前に設定。


ベルマー副隊長は、HCLIの女傑、バルメの本名であるベルマーと、フィンランド出身という設定そのまま。geneは、北欧というとノルウェー、スウェーデン、デンマーク、そしてアイスランドという定義を厳密に守りたいので、フィンランドは北欧(とは言えるかもしれないけど少なくともノルディック)ではありません。ここのベルマー副隊長も、黒いストレートの髪でアジアっぽさを演出。もっともフィンランドは、言語的にはアジアでも人種的にはCaucasianですが…


そして肝心のジョナ。原作ではヨナ。本名、ジョナサン・マル。西アジア某国の山岳地帯の出身と言いながら、ジョナサンの名、そして英語に堪能。ミックスなんですかね?ただ、ジョナサンという名はそもそも、聖書などセム語派の文献に出てくる"ヨナ"が元になっています。ジョナサン、ヨナ、ジョナ。いずれにせよ、こどもの頃からこういった場面に慣れたツワモノ。

そしてッ!新たなるトランシーバー!\(^o^)/


一方、メンバーとの絡みは少ないものの、作中味のある雰囲気を出してくれたのは"R/アール"こと、ジャイロ・アントニオ・ロッソ。言わずと知れた、CIAのブックマンのスパイとしてHCLIに潜入していたアールであり、ロッソすなわちレッド・ツェッペリンからわかるようにツェペリ家フィーチャーであり、すなわち、ジャイロにしてウィル・A・ツェペリです。

そのほかの隊員としては、トージョにあたる人物として、カズト・トーホー、すなわちKAZTO TOHO。東方重工のオーナー一族と縁戚というからにはそれなりに裕福だったんでしょうが、なぜかこうした現場に身を置きます。カズトと呼んでほしいのにカーズと言われてしまうのはJOJOのせい。考えるのをやめたカズトは、カーズとして、隕石、彗星、もしくは千値練製の文鎮のごとく、静かに静かに飛びます。ウィンウィンウィン。

最後にニキータさん。これ、実はHCLI(…ではあるけどココ部隊)のメンバーではないチェキータさんがモデルです。当初、チナツ、チョコラーデ、Dr.マイアミ、などなど、他の女性キャラも考えたのですが、どうもしっくりこず、チェキータさんもといニキータさんに登場願いました。ニキータといえばフランス映画ですが、恐らくチェキータさんは、旧ソ連のチェーカー、そして、ヨナのことを"ミーシャ"とロシア語で呼ぶあたりからも、ロシア出身の人物として描かれていると思い、ここでも倣いました。途中、カーズとのかかわりを描くにあたって、エリザヴェータ・エリザヴェータ、通称リザリザという名前も登場。実はリサリサは既に、リサ・カニンガム教授で使ってしまっていたので…

ココ、そしてDr.マイアミこと天田南博士はキャラクターとしては登場しませんでしたが、チームの名称に採用。このチームはフロリダ州のマイアミ近辺を拠点としています。ということは、Green Dolphinのライブに行ったりしている??

鄭家の三人


さて。鄭尊民、華蓮、少浄の華僑ファミリー。みなさん、またしてもチウゴク人、悪役か?と思いましたか?いーえ。そういったマンネリ、ヘンケンを避けるためにもあえて登場した華僑の鄭一族。

鄭という姓は、ピンイン式では"Zheng"、Wade-Giles式では"Cheng"と表記され、ニッポンでは一般的には"チェン"、もしくは"ツェン"として読まれていると思います。geneも当初は、"ツェン"というカタカナ表記を考えていました。しかし、実際にWikipediaに収録された音声ファイルを聴いてみると…"ジョン(または韓国っぽく"ジェョン")と聴こえるじゃあないですか!それならば、ということで、思い切って"ジョン"と表記し、尊民のジョンミン(これ、ちょっと広東語っぽい音ですが…)とあわせて、チウゴクの"ジョジョ"ってことにしました。しかも、ジョニー!タスク(牙)!!

当初より、アールことジャイロ・アントニオ・ロッソと絡むことがパッケージ時点で確定していたため、ピッタリ。

ちなみに、この鄭一族の名ですが、『ヨルムンガンド』絡みでもあります。大星海公司(ターシンハイコンス)の専務にして人民解放軍少将である陳国明(チェン・グオメン)、通称"シャオジャン(少将)"。そしてその秘書兼ボディガードのカレン・ロウ中尉。ここから当初、ツェン・ジョンミン、ツェン・ファリャンという人物名、そしてその子のシャオジャンを考え出しました。なお、大星海は演目中では大青海という、近い音だが夏っぽい名前に変えてあります。どんな企業なのかは…未定^_^;

鄭成功と鄭和


祖父の鄭成公(ツェン/ジョン・ツェンゴン)の名は、歴史上著名なあの鄭成功より。そもそも海にちなんだチウゴク系の一族を鄭家としたのは、明朝初期の艦隊司令官鄭和と、同じく明朝末期から清朝初期の中華系台湾の祖、鄭成功から。鄭成功は近松門左衛門『国性爺合戦』でも知られるように、母が平戸のニッポン人という、国際派です。鄭という姓は韓国・朝鮮にもあり(その場合はチョンさん、もしくはジェォンさん的に発音)、ニッポンでもしばしば出会う苗字ですね。父の鄭芝竜は、武装商船団即ち海賊、後に官吏として、大陸から島嶼にかけて活躍した、まあ東アジアの海にはよくある存在。ここでも知られる海寇帝 王直のような存在ですね。。なんと、福建(閩南語)、南京、日本、オランダ、スペイン、ポルトガルの六ヶ国語を話したとか!!息子以上に国際派!!なお、忠誠度こそ息子より低かったものの、機を観るに敏な才においては息子を上回っていたことは、その後の二人の判断、そして去就を見るとわかります。

たまたま、福建から東南アジアにかけて活躍した同じ鄭姓の二人ですが、そもそも鄭和は産まれたときは鄭姓ではなく、馬姓。雲南省あたりで実力を持っていた元朝(モンゴル政権)時代の地方領主サイード・アッジャル・シャムスッディーンSayyid Ajall Shams al-Din Omar賽典赤(おそらくはペルシア系)の末裔として産まれたムスリムであり、恐らく血縁関係はないものと思われます。

ただ、鄭和の艦隊は、マラッカ海峡、インドネシア、インド、スリランカ(セイロン)[なんと、当時のセイロン王が恭順しなかったために、鄭和の艦隊はセイロンに上陸し、国王夫妻を捕えて南京まで連行して明皇帝に詫びを入れさせているのだそうです!!]、ペルシア湾を経てその一部がアラビア半島のメッカにまで辿り着いたものの[そればかりか、アフリカの現ケニアのマリンディ、現ソマリアのモガディシュアデンにまで辿り着いてキリンやシマウマを貢物として運んだ!?]、直に明朝は海禁政策をとり、鄭和の艦隊をはじめとしたジャンク船は福建沖あたりで取り壊されます。しかーし、そんな政府の変節に、民間の人々が素直に従うものでしょうか??geneは、この時多くのジャンク船が、帳簿上は破壊(固定資産除却)されたと記録されたものの、実際には亡霊的なブツとして民間の船団に紛れ込んだとみています。船員などの技術者もまたしかり。だって、いきなり食い扶持なくされても、ヒトは生きていかなきゃですもの。

ゆえに、この後の時代に後期倭寇(チウゴク系を中心とした東アジアの海賊団)が盛んになり、また、明朝末期に至って、福建から台湾、ニッポンまでをまたにかける鄭芝竜や鄭成功のような海商団が存続しえたのではないでしょうか。鄭成功が剣道の達人だったり、ニッポンの鎧刀を身に着けた武装集団を率いていたりしたのも、ある意味、倭寇の末裔とも言えるでしょう。

JOJOの奇妙な世界


『ヨルムンガンド』を基本としながらも、財団エピソードに繋げるべく採りいれたJOJOの奇妙な世界。前述したジャイロ・アントニオ・ロッソ、鄭尊民(ジョン・ジョンミン/ジョニー)は、第七部から。ピーザ・モッツァレラ~♪ 座ったままの姿勢で…というのはツェペリ家の伝統芸能ですね\(^o^)/

ほか、KAZTO TOHOことカーズ、ニキータことリザリザ(エリザヴェータという名はエリザベスのロシア語形、例えばピョートル大帝とエカチェリーナ一世の娘であるロシア皇帝エリザヴェータ等)は第二部から。

また、ジョナ君ことジョナサンの名もまた、JOJO関連となっています。

『ジョジョの奇妙な冒険 第三部 スターダスト・クルセイダーズ』(前半)と『ヨルムンガンド』はほぼ同時にTVアニメ放映されていました。ジョジョとヨルムンガンド、どちらも主人公の名がジョナサン。

あと、あまり関係ない話なんですが、、、いまau、Softbank、そしてペプシのCMがすべて桃太郎。これ集英社の週刊少年ジャンプでかつてあった出来事なんです。それは確か80年代。『魁!男塾』の主人公、剣桃太郎、『THE MOMOTAROH』の主人公、桃色筋肉のモモタロウ、『ゆうれい小僧がやってきた!』の百太郎、と、三人の"桃太郎"がジャンプ連載の主人公という異例の事態!?があったのです。…ムリヤリ繋げましたが、もしかすると、創作世界にいるプロの方々も、やっぱり近隣の作品が気になったり、一個人としてファンであったり、ということなのかもしれません。

北欧神話とギリシア神話


ところでこの演目は、タイトルからして北欧の香りを漂させています。『フェンリルの宝箱』フェンリル、あるいはフェンリル狼とは、北欧神話に登場する怪物で、レムさんのミドルネームでもあったロキの産んだ三匹の怪物(神獣、魔獣)の一柱。ちなみにほかの二柱はヨルムンガンド/ミドガルズオルムと魔女ヘル(地獄)です。なお、このHelという名は、隠す、という意味らしく、英語のHellと、そして恐らくはHermitとも同じ語源なんでしょう(LとRはさておき)。

そもそもが『ヨルムンガンド』が下敷きになっているのですから北欧ネタでいきたい。そこで、狼として登場するキャラクターを、例の大長編『星霜』に登場した獣化兵ビョルン、つまり、ビョルン・マグヌースソン博士の先祖としました。ゆえに予告編からすでにビョルン博士が登場。

北欧から北米に渡ったヴァイキングというモチーフはgeneの好むところ。『ヴィンランド・サガ』の世界ですね。既に『星霜』の時からそれを匂わせていましたがここに再登場\(^o^)/

ほか、財団とチーム・ココ・マイアミの秘密裏の衛星として、"プロジェクト・ワルキューレ"の名に北欧を忍ばせました。

しかーし。前作『P - ポリス・ストーリー - featuring "S - 最後の警官"』との絡みでどうしても登場してしまったのが、南欧のギリシア神話。そもそも、THI製のAI制御快速艇の初號艦としてオーケアニデスという名を使っていたために、弐號艦の名は購入時からネーレイデスと決まっていました。加えて、衛星の名にプレアデス、ヒュアデス、ヘスペリデスという夜空の女神群の名を採用。まあ、チームは北欧フィーチャーだけどTHIはニッポン人らしくギリシア神話好きってことで^_^;

オオカミの物語


さて。そして。オオカミです。




以前から示唆されていた、ナゾの"オオカミ"。たとえば、6月演目『PBC地球伝説 - ちいさなちいさないきもの』でも、登場したウォルフェン・ホールディングスを牛耳る女系一族の名が、Wolfen、すなわちWolfでした。祖母オーガスタをはじめ、一族はみな長命にして若き美魔女。いったい彼女たちに何が??



4月演目『P - ポリス・ストーリー - featuring "S - 最後の警官"』でも、北東アジアのヴィラン、"遼東の虎"こと石虎は、最後の最後でツグマのメンバーから、"オオカミ"と呼ばれていました。



トラなのにオオカミとはこれいかに?

古くは、ローマ帝国の滅亡を描いた『落日』でも、ナゾのオオカミ戦士が登場。あ、あれこそが黄金色のオオカミ頭巾なのか?


さすがに、『うろおぼえ BASTARD!~暗黒の破壊神~』の氷の至高王(ハイ・キング)カル=スや、



『Once Upon A Time』の赤ずきん



『七つの大罪』の主題歌を歌ったオオカミバンドこと"Man With The Mission"

それに『欧亜伝 -我が征くは草原の道、我が裂くは大海の波濤-』に登場した草原の蒼き狼たちは、関係ないと思いますが…

フシ者にして狂戦士。オオカミの頭巾を被ったこやつらはいったい何者なのか!?そして、オオカミ頭巾とジョースター家、ロッソ家、カニンガム家、カニンガム=ウォルフ家、そしてスピードワンコ財団の因縁とは!?

この続きは、2014-2015年演目の集大成となる作品で予定しています。

では、..To Be Continued.\(^o^)/