Mar 2018 The Return of Ten-Buyers vol. 4
三皇、いや、三媼/三嫗の登場にますます混迷を増した『The Return of Ten-Buyers』^_^; すでにMountains 12も七福神もおいてけぼりな感もありますが、10人と3人、そしてもう3人、この関係だけは繋げておきたいと思います。『The Return of Ten-Buyers』
十王とは?テン・バイヤーズとは?いま明かされる真実とは!?
三媼/三嫗と黄白三連星の出会い
蓮華皇の代理人:復帰の白き虎 ハミメロ・ティガー
ベイフー・リー(李白虎)はかつて、中古兵器のテンバイのため訪れたアフリカ、タンザニアでちょっと足を延ばしてタンガニーカ湖の見物に訪れた。そこで彼は水の事故に遭遇。湖底に沈みながら遠のく意識の中で、彼はナゾの魔女に出逢う。
それは、アフリカの魔女、蓮華皇ティプナタだった。彼女は云う。わたしは碧き睡蓮の精。白き睡蓮の精よ、わたしに仕えよ、と。わたしに魂を預け、わたしのために永久に働け、と。
眼を覚ますたベイフー・リーは、もとの湖のほとりにいた。たらふく水を飲んだにもかかわらず彼の身体は以前よりも元気だった。そう、リーは不シ者となっていたのだ。以後、彼はあししげくアフリカ大陸へと通うようになる。ただこの時すでに、リーとしての意識はほとんど残っていなかった。あるのはただ、蓮華皇の代理人としての使命感のみ…
祇園皇の代理人:柔和なジョーカー ゼノビア・オーガーグレイヴ
生き別れた弟を探していた彼女はある日、ドイツの黒い森の中で道に迷う。幼い頃からウソばかりついては友達を喪ってきた彼女。スマホを持っていても助けを呼ぶこともできない。ハラを空かせ疲れ果て、樹の根元で眠るゼノビア。ここでシぬのだと感じたその時、遠のく意識の中、彼女の前に、ナゾの妖精が現れる。
それはノルドの妖魔、祇園皇ラタトスクだった。彼女は云う。わたしは不和を運ぶ栗鼠。そなたにはわたしと同じものを感じる。わたしに仕えよ、わたしに魂を預け、わたしのために永久に働け、と。
眼を覚ましたゼノビアは、元の樹の根元にいた。しかしすでに空腹感はなく、森をさまよって擦り切れたはずの足には傷のひとつも残っていなかった。そう、ゼノビアは不シ者となっていたのだ。これ以後彼女は、これまでに増して饒舌になり、あることないこと吹いて回っては人々を喧嘩させることができるようになる。それは、民と民、国と国、国境を超える企業と企業、企業と国とをモメさせることができるほどに。
法界皇の代理人:シンノーショウモン ブリッツ・ローエンフォース
各国税関職員の国際会合のため南仏を訪れていたローエンフォースは、ホテルの近辺を散策しているうちに道に迷い、ナゾの古城に至る。古城を眺めていると急に眩暈がし、彼は前後不覚に陥ってしまう。足を踏み外して断崖を落ちたぼやけた視界の前に、ひとりの貴族めいた女がみえた。
それは、地中海の錬金術師、法界皇ラ・コンテス・プワゾンだった。彼女は云う。西の大陸の者よ。父なるアトランティスのその向こうから来たものよ。何やらこの数百年、そなたの国はなかなかに豊かになったそうではないか。わらわらはひとつ、このわらわが新たに調合したクスリを使って、そなたの国でひとつ実験を試みたいのだが、そなた、手助けをせぬか。
そなたは役人であろう?ここにわらわが旧き鉱石よりこしらえた特別なインクがある。これを使えばそなたは、すべての人を欺くことのできる文字を書くことができるようになる。イヌよ。木端役人よ。もう国に使われることはない。これからはそなたが記した文書が、正義、そなたが国家なのだ。代償はそうじゃな、そなたの魂がよかろう。さあ、わたしに仕えよ、わたしに魂を預け、わたしのために永久に働け。
そうそう、それからもうひとつ、覚えておくがよい…
眼を覚ますと、ローエンフォースのかたわらに、インクの壺とペンがあった。彼は会議の場に戻ると半信半疑のうちにも試しに大統領令を偽造してみた。今後、合衆国はフランスからの"革命資金"が国境を超えることを黙認する、と。歴史の授業で習ったラ・ファイエットのことを思い出しながらのつまらない冗談だった。しかし、会場の全員がこれを是認。彼は、夢が夢でなかったことを知る。そう、無学な下級官吏と言われてきた彼が、魔法の筆の力を手に入れた瞬間だった。
十王の誕生 ~ローエンフォースと魔法のインク~
ローエンフォースはアメリカへ戻るとすぐ、勤め先の税関であらゆる書類を片っ端から書き直した。手始めに、人事の書類をいじっては、みずからの意のままになる職員集団を組織。ついで、彼らが特例措置として、非合法物品を通過させられるよう、書類を偽造。特に、フランス国籍のプワゾン伯爵夫人からの品は無検査無検疫無関税の特権でスルーパスとするように、と。
こうして彼は、世界各地の法のルールを偽造し続け、巨大な闇の密輸マーケットを築いていく。
やがて、ふくれあがる組織を束ねるため、仲間が必要だと感じ始めた彼は、法界皇が最後に言った言葉を思い出す。
「それからもうひとつ覚えておくがよい。そなたはやがて、手が必要になる。その時にはそのインクで、そなたが慕う者の似姿を描き、名付けてやるが良い。さすればそれは、そうじゃな、そなたよりもわらわに近い人外の存在として、姿を成す。そう、そのインクで描いたことは真実になるのだからな。
むろん、それはわらわには遠く及ばぬし、そなたらの世界に直接に手を貸せるものでもない。そうじゃな、そなたらが言うところの、神に近しいものになるはずだ。何でもできるが、何もしてくれぬ。そうじゃろう?(笑)
だがそれはひとつだけ、わらわと同じ力を持っておるはずだ。そう、これからそなたにするのと同じ力を。すなわち、魂を預けさせ、預けた者に特別な力を与え、働かせる力を…」
ただ、、、長らく偏屈な小役人として働いてきたローエンフォースには、家族も恋人も友人もいない。頼りにする上司もかわいがっている部下もいなかった。そう、ローエンフォースには、慕う者と言っても思いつくものがなかったのだ…(T_T)。
そこで彼は、こどもの頃から大好きだった、ニッポンの漫画、アニメ、それにヨーロッパやチウゴクの伝承。そういった中に登場してくる者たち、彼がかつて思い憧れ慕った者たちの絵を描いてみることにした。
てはじめに彼が描いたのが、とある世紀末モノで剣と魔法モノのマンガ。
その中に登場する不シの鎧戦士を、古来より東洋に実在する闇の王"秦広王 Armor of the Widespread Qin"と名付けて、描いてみたのだ。
たちどころにあらわれる人外の存在…いや、それは誰の眼にも、もちろんローエンフォース自身の眼にもみえることはなかった。しかし、彼は確かに感じていた。
手ごたえを感じたローエンフォースは、記憶をたどりながら、次々と、愛すべきキャラクターたちに命を吹き込んでいった。
チウゴク古典『封神演義』、その和訳に着想を得たニッポンのマンガ。その中に登場する悪女にして妖怪仙人、妲己。
改め、"初江王 Lady of the 1st River"。
こどもの頃におもちゃ屋でおまけにもらったドラゴンの戦士。ブキミな盾とコウモリの翼を持つ、アクの戦士。
改め、"宋帝王 Emperor of Fire"。
ディ〇ニー・ヴィランの中でも一番のお気に入りだった、レジーナ…ではなく、、悪い女王。
改め、"五官王 Queen of Nail"。
むかしネットかどこかで読んだ、中世アジアの海賊王、倭寇の頭目、王直。
改め、"閻魔王 King of Underground"。
北欧の伝説からカリブの海賊モノまで、乱読した海洋冒険小説からヒロイックファンタジーまで、あちこちで出逢って愛着を感じていた、頭足類の怪物、クラーケン。
改め、"変成王 Stability through Transformation"。
少年時代のバイブルとも言っていい、ニッポンの拳法 martial arts モノ、世紀末モノのマンガから、拳王。
改め、"泰山王 Motion on the Throne"。
どこで読んだか定かでもない、少年海賊リコの白昼夢の中に登場する、古代の海の帝王にしてシせる海賊、ペリシテス=フェニキアヌス。
改め、"平等王 The Death is Equal to All"。
プレスクールの頃に熱狂した映画『Ghostbusters』からは、Stay Puft Marshmallow Man。
改め、"都市王 Ghost 'Urbanite Urbanite'"。
そして最後にもう一度、新刊の刊行が待ち遠しかったあのマンガから、地獄の皇太子、暗黒のアダム、爆炎の魔法使い。
改め、"五道転輪王 The Wizard of 'Well Re:incarnation?'"。
ローエンフォースにだけ、姿がみえ、声が聴こえる、
十柱の「神」。
魔神十王は、こうして誕生した。
彼らはやがて、現世(うつしよ)にその力を及ぼさんと、憑代となる10人のヒトを選び出す。
そう、それが、
テン・バイヤーズだった。
To be continued..