2014年12月2日火曜日

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第二章 ノヴゴロドの青年    





はじめてのお使い


アロギアさまに頼まれたお花はこれでいいかな?

ん?あの声は?


…うー、どうもこのキエフだノヴゴロドだっつーところはメシも酒もマズいな。田舎はキライだ。もっとうまい酒はないのか!

おいクラーク、あまり暴れるな。ここは海の上とは違うぞ。

うるせーよ。おれはキゲンがわりーんだ。最近稼ぎがなくてよお。それもこれも、デーンのやつらの…

おい、お前、おれの顔を覚えてるか!

あー?知らんぞ、お前みたいなガキは。うせろっ

おいクラーク、こいつあの時の…

お!ああ、あの妄想コゾウか!どうした、じじいのとこから逃げ出したか?


妄想コゾウじゃないっ!オレは、オレの名はオーラヴ。ハーラル美髪王の末裔、オーラヴ・トリグヴァソンだっっっ!母アストリッドと養父ソロルフの仇、ゲロウ共、覚悟!



う、うぎゃーーー!


な、何しやがるコゾウ!斧なんかどっから持ってきやがった!


キャーキャー
キャーキャー




ノヴゴロドの剣


おや、オーラヴ、どうしました。花が散っていますよ。

アロギアさま、アロギアさま…。こわいよ、おれ、おれ、ヒトを…


こぞうを出せ!こぞうを出せ!乱暴モノのこぞうを出せ!


アロギアよ、何事だ。

で、殿下。じつはかくかくしかじかで。

うーむ、末恐ろしいこぞうだな。

しかし勇ましいことも義に熱いこともよきこと。ここはわたしが。

ブツブツ。アロギア公妃が後見とおっしゃるなら…。しっかり見張ってくださいよ。ぶっそうな。


…ア、アロギアさま。あ、ありがとう。


オーラヴよ、お前はもうこどもではない。親の仇を討つほどの血の気の多さ、わしの兵を預けるゆえ、奉公せよ。叔父シグルを見倣ってしっかり働け。




オーラヴどの!
オーラヴどの!

キャーキャー!
オーラヴさま!
こっち向いて!


オーラヴさまはイケメンね。兵士の信頼も厚いそうよ。

お父さまとお母さまを海賊にコロされ、ドレイに身を落としていたなんてのも、心惹かれるわ。

それに、何でもホントはノルウェーの王子さまだってウワサよ?ウワサだけどね。




確かに、短く刈り込んではいるけどあの美しく輝く髪とおひげは、話に聞くハーラル美髪王のような。

あの人はきっといつか、大業を成し遂げるわね。



うーむ。
やつめ。
モテ期か…。
これはいかんな…。





旅立ちの時


オーラヴよ。おまえはもう、この国にいてはなりません。すぐに立ち去りなさい。

ア、アロギアさま。な、なぜ?

夫が、ヴラジーミルがそなたを警戒しています。そなたはがんばりすぎた。兵や民の人気を集めすぎた。夫はあなたを恐れています。それに…。


アロギアさま、しかしわたしはあなたのお傍に…



なりませんっ!それ以上言ってはなりませんっ。わたしはあなたにもう会いたくない。すぐ、ここを去りなさい。



ア、アロギア、さ、ま…

..To be continued.