2015年4月11日土曜日

Apr 2015 - p4/p5 - 


いよいよ上陸した隊員たち。島に待ち受けるはずのトラたちはどこに?チに飢えた獰猛な猛獣たちが、群れをなして隊員たちを襲う!?そして集結した各国の精鋭たちは、どう出る?会談は成功するのか、それとも地下世界全面戦争のはじまりとなるのか?この国、そして極東のカタチを決める、緊迫の時は近づいていた。



第四章 境遇


「…。」

「…。」



(…。)



(こいつ、ホントウに独りで来たのか?なかなか見上げたやつだな。)




(さすがに丸腰ではないようだが、独り、か。性根が座っているようじゃあないか。)


(しかしおれはきさまほど呑気ではない。このコンテナの中には、遼東山東山西河北からかき集めた梁山泊並みの精鋭たちが…。さすがだ、物音ひとつ立てていないな。よしよし。)

フフフッ。



(しかしおれはそこまで愚かではない。このコンテナの中には、ウラジオストクからチェチェンまでから選りすぐったわが軍の精鋭が…。息をコロしているな。よしよし。やつは気付いていまい。)

ハハハッ。

シーフー「おまえが"アムールの虎"、ヴラジミールか。どんな悪党面かと思えば、意外とかわいい面をしてるじゃあないか。え?

いや、これは失礼を言ったかな。会談早々、暴言を吐くは、礼の道に反するかな?だがすまんな、わしは仏道は信仰していても、あの儒教というやつには疎くてな。

だがみやげは大事だろう。いや、そこは伝統に倣って"下賜品"と言っておこうかな。ハッハッハ。このコンテナの中は、白いあれだ。まあ、納めてくれ。」

ヴラジーミル「きさまが"遼東の虎"、シーフーか。どんな悪党面かと思えば、実際ヒドい悪党面じゃあないか。

ガキの頃からワルさばかりしてきたというウワサはホントウのようだな。漢人世界の教養や礼節はなくとも、こっちの世界の作法はわきまえてるってことか。

いいだろう、おれも手土産なら持ってきた。山ほどのカラシニコフだ。受け取れ。しかしわれらはきさまらに貢いだことは一度もない。ゆえにわれらは対等。三跪九叩頭の礼とやらはやらんぞ。むしろシーフーよ、われに従えっ。」


シーフー「なにっ!おのれ、ナメるなっ!」

ヴラジーミル「やるかっ!」

ヴラジーミル&シーフー
「ハッハッハッハッハ!!」


ヴラジーミル「シーフーよ、きさま、皇帝気取りどころか、むしろ持たざる者だな。わたしにはわかる。」

シーフー「??」

ヴラジーミル「いやいま現在のことではない。そなた、苦労して来たろう。わたしにはわかる。遠くくそったれ帝政の時代に、農奴と呼ばれ、土地に縛られ、税金、徴兵、さんざんこきつかわれた者たちを祖に持つわれわれには、わかる。革命も、資本主義も、どちらもわれわれを元の自由な姿には戻してくれなかった…。そこに、われらthieves in lawがあるっ。」

シーフー「…。おれは、叔父とおれはいまは忘れ去られた民族の出でな。かつての体制も、滅びたと思ったかあの56の民族とやらに数えなかったほどの小さな小さな存在よ。歴史の闇に葬られ、馬賊どもに奴隷同然に扱われ、おれたちが産まれたときには飢饉で散り散り。中央で権力争いを繰り広げるバカどものせいで治安が乱れに乱れた頃、おれたちはあろうことか八委員のひとりの弟に捉えられて奴隷として売られたんだ。その後の混乱の激化の中、なんとか逃げ出し、群盗まがいのことや、軍閥どもの兵をやるようになった。いつかは、あいつらを見返してやる。奪い取ってやる。そう思って叔父とおれは、戦いを繰り返し、叔父は、かつての主人や雇い主を滅ぼして、華北に強大な勢力を築いた。叔父は皆に尊敬されていた。華北に、秩序と繁栄を取り戻した。しかし、南のやつらは、そんなおれたちをケダモノのように言う。世界も、はじめは叔父に敬意を表していたが、やがて、より豊かで、よりおのれに利のある南と接近した。おれたちは再び孤立し、、、奪わなければ生きていけなくなった。おれは奪った。色、欲、力、罪、それこそがおれを満足させ、安心させ、心の平穏をもたらしてくれる。そうだろう!!奪え、奪え、いや、取り戻すんだ!」


ヴラジーミル(フッ。たやすいな。)

シーフー(策を弄する者は策に、言を弄する者は言に。信じやすいな、この男は。

こんな話、漢籍を読み解けばいくらでも例がある。これは石勒は石勒でも、大昔の羯族の石勒、五胡十六国時代の英雄、高祖明皇帝石勒の話よ。たまたま、おじもおれも、石勒・石虎で同姓同名なんだよな。おれに学がないとあなどったのがきさまのミスさ、ヴラジーミル。)


ヴラジーミル「シーフー、わかる。わかるぞ。われわれは虐げられし者。歴史に捨てられしもの。いまこそ手を結び、世界をこの手に、奪い返そうではないか!!」

シーフー「おう、ヴラジーミル、わが同志、わが兄弟よ!(T_T)(なんちゃって)」


「フフっ、茶番ね。」

ヴラジーミル&シーフー「誰だっ!?」

シュタタッ


シーフー「誰だっ!おまえは?どっからきやがった?

お、女か?しかもエキゾチックなかなりの美女じゃあねえか!おれさまは女の子は大好きだぜ\(^o^)/」


ヴラジーミル「おい、シーフー、気を付けろ。」

シーフー「うるせーな、ボス気取りはやめてもらおーか、アムールの虎ちゃんよ。しかしこいつ、どこかで…。

あっ!?おまえは!?」


SATの突一「ちっ。なんだあの女は。トラもあいつらも油断させてサプライズ突入するつもりが、これじゃあだいなしじゃねーかっ。

ダメだ、もう待ってられねえ。隊長からのGOは出てないが、やるしかねえ。」


謎の女「ユーラシアの平和は、わたしが、、、守る!トラども、いや、ひとりはオオカミだな!」


ヴラジーミル「おまえ、丸腰なのか?」

シーフー「バカなやつだぜ。」

謎の女「フフフ。ええ、丸腰ね。わたしは。わたしは、ね。でも…。」

ヴラジーミル&シーフー「??」

「オラオラオラオラオラー!」


シーフー「な、なんだ!?」

ヴラジーミル「むむっ。こ、これは!?」

ヴラジーミル&シーフー
「か、囲まれている!?」

カール・デァ・シュトルム「EURUPOL精鋭部隊、LYNX、参上!ティーゲルども、いや、チーグルにラオフー、とっちゃん共。

おまえたちは、
はしゃぎすぎた!

パーリィはお終いだ!」

ユーリ「…わが国の恥め。」


アンドリュー「あれ?ユーリ、喋れたの?」

エマニュエル「飛び降りていい?ねえいい?」


ヴラジーミル「くっ。あれはスペツナズにいた"ウォーズマン"か?AKHKに持ち替えて、西になびいたかっ。このおれを、捕えるというのか!?」

シーフー「こ、こいつら、、、見覚えが…。そうだ、確か、ツグマ・フォースとか…。おれがまだ群盗だった頃、カスピの時の…。」

モソク「あれ?あの龍の刺青は…。」

グレイ「ああ、みたいだな。あの時の小物。あれが石勒の甥だったのか…。あの後も生き延びてアジアの各地で犯罪を繰り返してたってのは聞いてたが、堕ちるとこまで堕ちたな。にしても、竜なのか虎なのかわからん。オオカミなのかも
含めて…。」

モソク「え、じゃこっちが?」

グレイ「わからん。見極めろ。」

ちなみにヴラジーミルもあの時いた小物に似てますが、というか同じプレモですが、あれはセイチャソに倒されたので別人ということで^_^;^_^;^_^;


シーフー「ごちゃごちゃうるせー!おれはもうあの時のコソドロとは違うんだ!華北地下帝国の三代"皇帝"、キタイの実権者となったこのオレ様を、なめんな!」



冴羽「おれ、獠だから。遼じゃないから。ときどきマツガエられるけど。」

海坊主「何の話だ?」

冴羽「いや、華北の帝国、遼東って言えば、契丹族のかなーって。皮嚢壺、かわいいよな。」

海坊主「…。」

ユーリ「捕えて連れ帰ってもどのみちあれやこれやの脅迫で、超法規的措置による釈放になるのがオチ。

EURUPOL本部からも、殺害せよとの指令を受けている。西欧三か国は一致した。そして、わが国もな。


きさまの心臓、その熱が、おれには見えているぞっ!」




…ピピピーー!

待って!待ちなさいっ!

ピピピーー!

シーフー「な、なんだテメエ!」

謎の警官「ハイハイハイ、わたしは東京にtraveling for funの真っ最中のアメリカンでーす。普段は坂の街San Franciscoを巡回してるわ。好きな国は、タイ。でもこの国もわるくないわね。なぜって買い物天国だから!服がかわいいから!で、いまはこの島の散策中。いい島ね。浜辺でBBQも出来るし。」

ヴラジーミル「…こういう輩はわが国では好かれんな…。」

シーフー「だから何なんだ!」

謎の警官「あんたたち、この荷物、ちょっと見たところ…」

ヴラジーミル&シーフー(ハッ、マズイ!このヤロウ、何を言いだすんだ!)

謎の警官「…ちゃんと通関手続きしてないんじゃないの?ダメよ、ちゃんとその国のルールに従わないと。郷に入っては郷に従え。When in Rome, do as the Romans doヨ。じゃないとVandalsって言われちゃうわよ。さ、中身確認するから、開けなさい。」

ヴラジーミル&シーフー「フザけんな!ものども出あえーい!」

ヴラジーミル&シーフー(う!?やつも兵を、チクショウ、だまされたっ!)

シ~~~ン…

ヴラジーミル&シーフー「…あ、あれ?」


謎の女「ムダね。彼らは寝ているわ。さっきわたしがそのコンテナ三つに、強力な無力化ガスを充満させちゃったから。」


ヴラジーミル&シーフー「な、なーにー(T_T)」


物部「ふん。どいつもこいつも、甘いな。おれはあのユーリという男が気に入った。

悪・即・斬!

もとい

悪・即・射!

藁実、おまえたちの理想は、甘いんだよ!」


藁実「伊織、ヨーロッパの兄ちゃんたち、ダメだ!コロしちゃだめだーーーーーーー!!」

(あれ?イチゴが腰に
銃を携帯してる…。
マズイ^_^; 

設定と違う…。
ごめんなさい。)



(つづく)