2015年2月1日日曜日

Feb 2015 - p1/p5 -


オリンポス。それは神々の集う山。1月演目昨年の外伝を彩った英雄たちもまた、この山より出でし者たち。しかし、原初の頃、世界は異なる姿を見せていた。そしてまた、オリンポス12神に数えられぬ、偉大なる神も。

2月演目、開演!『大地の神』、5回+2回に渡ってお届けします!


第一章 原初の神




かつて世界には、天と地があった。
いや、天と地のみがあった。

※んー、それはギリシアではチガウんじゃ…


天を司るのはウラノス

後に天王と呼ばれ、太陽系第七惑星の名となった原初の天空神、それがウラノス。


地を司るのはガイア

この惑星そのものとも言える、原初の大地母神、それがガイア。






やがてウラノスとガイアは交わり、巨いなる神々を産み出した。

その名も…ティターン神族!!

オーケアノス、コイオス、クレイオス、ヒューペリオン、イーアペトス、クロノスの六兄弟、テイアー、レアー、テミス、ムネーモシュネー、ポイベー、テティス テーテュースの六姉妹。あわせて12人のティターンズは、父ウラノス、母ガイアと共に、原初の世界を統べた。



海洋と海流を司る神オーケアノス(右)。そしてその妻たる水の神テティス テーテュース(左)。

※オーケアノス。oceanの語源ですよね。

※テティス。マツガイでした。。。よく似た名前のテティスという女神は、このオーケアノスと「テーテュース」の娘たるオーケアニデスのさらに娘であるネーレイデスのひとり。つまり、テーテュースの孫娘がテティス。ややこしやー。



二人からは3,000の河の神と3,000の泉と湧水の女神が生まれ、この星を潤した。

※計6,000人の娘は、オーケアニデスと呼ばれます。



弟のコイオス(前)と妹のポイベー(奥)。





コイオスとポイベーからはレートー(左)、アステリア(右)の姉妹が産まれる。


アステリアは星座を司り、

レートーは後に太陽神アポロン(右)と月の女神アルテミス(左)を産むこととなる。すなわち、天体の一家だ。


アステリアは後にオリンポスのゼウスに求められるが鶉に姿を変えて逃げ切り(…なぜウズラ…)、両親の弟クレイオスの子たるペルセース(つまりイトコ。写真には不在…)とのあいだに魔女ヘカテ(前)をもうけた。




その、うわさの弟クレイオス





クレイオスは、ペルセースのほかにも、星空の男神たるアストライオスをもうける。後に、姪である暁の女神エオス(七枚先の写真)とのあいだに西風の神ゼピュロス、北風の神ボレアース、南風の神ノトス、そして明けの明星エオスポロスほかすべての星々を産むこととなる一族だ。彼らは天空の星と風とを統べた。


ヒューペリオンは最初の太陽の神だ。"高みを行く者"を意味するこの神は、天体の運行と季節の変化をこの星にもたらした。

※正しくはヒュペリオーン。geneの好みでヒューペリオンと表記していますが長母音の位置が違っています^_^;


ヒューペリオンを夫に迎えたのはテイアー


二人のあいだには、太陽を運ぶ四頭立ての馬車を駆るヘリオス(車上)、月の女神セレネ(右前)そして暁の女神エオス(右奥)が産まれた。





つまりヒューペリオンとテイアーは、太陽と月と明星の両親であり、と同時に、娘エオスと婿のアストライオスを通じて、風と星の母方の祖父母となる訳だ。


(こちらが暁の女神エオス)

※ところでこのあたり、当時はまだ、宵の明星すなわち夜に輝く金星と明けの明星 a.k.a. 暁の明星とは、別々の星と考えられていたように思います。夜に輝く金星はヴィーナスすなわちアフロディーテですので。






続く弟はイーアペトス




イーアペトスには四人の息子があった。

※ここでは人造人間イーアペトスなのでこの四人はバイオロイドか?


その名は
アトラス(右)、
メノイティオス(左)、


プロメテウス(右)、
エピメテウス(左)。

後に人類に火と文明を与えたプロメテウスは、イーアペトスによって創造された神である。

※人類に火を与えたプロメテウス。どうやらBBQ好きらしく、トングを装備(笑)






そして末弟ウラノス

その妻となったレアー


やがて、オリンポス12神のうち第一世代とも言える六人の男神女神を産み出す二人である。










残る二人は女神のテミスムネーモシュネー







(こちらがテミス)

(ヘビの人がムネーモシュネー)


季節の移り変わりとそれに象徴される秩序、正義、平和を司るテミスと、記憶の神ムネーモシュネーは、


ずっと後に、神々の王ゼウスの妻となり、


それぞれ秩序・正義・平和の神、



そして9人の詩神(ミューズ)を産み出す。






人類を律し、

また癒すのは、

この二人の姉妹の子たちというわけだ。


右:秩序のエウノミアー
中:正義のディケー
左:平和のエイレーネー

※季節から秩序、正義、平和っておもしろいですね。季節が順序だって、秩序よく、回る。それこそが正義。それこそが平和。ってことですね、古代ギリシア人の秩序観は。







※記憶の女神から産まれるのが芸術。そう、叙事詩、英雄詩、歴史、天文学はすべて、過去に起きたことを覚えているからこそできる技。舞踏、歌唱、器楽、演劇、演説も、記憶があるから習得でき、再演できる。すべては記憶の賜物。うーん、深い。

叙事詩のカリオペー
(書板と鉄筆を持つ女神)


詩の女神は後に、詩人と歌い手の王オルフェウスを産む。


英雄詩と歴史のクレイオー
(巻物を持つ女神)


※中央です。


悲劇と挽歌のメルポメネー
(仮面、葡萄の冠、靴をまとう女神)

※顔が裏表あるので仮面…


抒情詩のエウテルペー
(フルート…は無い^_^;)

※右側です。


独唱歌のエラトー
(竪琴を持つ女神)


合唱と舞踏のテルプシコラー
(竪琴を持つ女神)

※アナザー竪琴。




占星術と天文のウーラニアー
(コンパスを持つ女神)

※星柄だけに!



喜劇のタレイア
(ラッパを吹く女神)



讃歌と雄弁のポリュムニアー
(永い外套とベールをまとう女神)

※中央のトンガリベールハット魔女です。


ガールズバンド♪!

(父さんも応援するぞー)










…っと、ずいぶん脱線したようです^_^;

きょうのお話はティターンズ姉妹とゼウスのあいだに将来育まれる家族の話…
……ではなくてっ、ティターンズそのものの話でしたね。

では、ここらで本題に戻って。




ティターンズの12神と、


その父ウラノス、そして母ガイア。


神々の一家は仲睦まじく暮らしていた…訳でもなかった。。。









コラ!ちょっとあなた!なんでいつも空飛んで遊んでばっかりいるわけ?ちょっとは仕事してよ。この大地を、畑を、ちゃんと耕してよ!


あー、うるさーい。おれは天空の神。こうして空を見回って、星と、雲と、雨を、整えないとだな、お前の言うその大地とやら、畑とやらも、枯れ果ててしまうんだぞ。


だからって荒れ放題にもしておけないでしょ!?ちゃんと耕して、そして刈り取って!


あー、やだやだー。大地に降りて働くなんて、やだやだー。古代ギリシア人は労働には興味がないんだよね。

なに訳わからないこと言ってるの!



はあ。ダメだ。あの男はヒモ体質だわ。

母さん…泣かないで。

おお、クロノス。おまえは見どころがあるわね。ちょっと待ってなさい。母さんはちょっと工作をするわよ。

え…


トンテンカンテントンテンカンテン


ホラ、できた。これをごらんなさい。これは「鎌」よ。すべてを刈り取る、「アダマスの鎌」。あなたにあげるわ。これでしっかり農耕をしなさい。

わーい!わーい!鎌だー!

あと、あなたひとりじゃ大変でしょうから、お手伝いのできる弟たちも作るわね。


ガチャガチャガチャガチャ



ヘカトンケイル 実際の姿


できた!クロノス、これをご覧なさい!


キュクロープス
実際の姿


おい!おまえこそなんだよ!黙って何だかやってると思ったら…

キュクロープス
後世の誤解その1


あ、父さんだー!


ガンプラか!?ゾイドか!?

キュクロープス
後世の誤解その2




何をこっそり作ってんだよ。それ一体なんだ!?

キュクロープス
後世の誤解その3




何って、あなたが働かないから、代わりに大地を耕したり、その道具を作ったりできる子供たちを産んだのよ。こっちが百手巨人ヘカトンケイル、それからこっちの三人は鍛冶師のキュクロープスよ。あなたよりずっと役に立つわ。

ヘカトンケイル
後世の誤解




気に入らなーーーい!仕舞え~!幽閉!

ちょっと何するのーー!



もう許せないわ。これじゃこの星は荒れ放題よ。こうなったら…

オーケアノス、コイオス、クレイオス、ヒューペリオン、イーアペトス、それにクロノス!六人ともおいで!


いいこと?ここにわたしが創った何でも刈り取る「アダマスの鎌」があるわ。あなたたちこれを使って、あの怠け者の父さんのお〇ん〇んを刈り取ってきなさい!

え~ それは痛ーーーい!ムリっ!


クロノス!あなたはどうなの?鎌をあげたでしょ?

…う、うん。。わかったよ。。

よし!いきなさい!






(眼をつむって…)えいっ!

イッテーーーーーー!

クロノス、お前何すんだ!
あーーーー!なーーーーいっ!


…ぐっ。。。カマだけに。。。…




…こうして投げ捨てられた天王ウラノスのソレからは、ブクブクと「泡」が吐き出され、世にも美しい女の子が一人産まれた。この絶世の美女こそ、後に美と愛の女神として崇拝され、数々の浮名を流すことになる、アフロディーテである。しかし、それはまだまだ先の話…(なんなんだー、この神話はいったい、なんなんだー。^_^;)



父さん、ワルいけど、幽閉だよ!

おまえ~、いいだろう、代わりに呪いだ!おまえもまた、おれと同じように、息子によってその王座を奪われ、命を失うっ!いまそう決めたっ!おれが決めたっ!つまり、呪いだぞ!

うわーーーー!!!


息子よ、クロノスよ、くらえ、オヤジの呪い光線!!!ヴビビビ~~~!


い、いやだーーー!







こうして、天王ウラノスの時代は終わった。




ヒモヤロウだったかどうかは定かではない。しかし、母ガイアの助けを受けた末子クロノスによって、父ウラノスは、その生涯を閉じた。