Feb 2015 & 外伝 二 エンドロール&あとがき
冬の定番、劇団プレモ座によるギリシア神話、いかがだったでしょうか。
ヘレネス |
プロメテウスの火 |
エンドロール
原初の神々
- 天空の神ウラノス:4634 宇宙飛行士(special)
- 魂モード:4579 ホワイトゴースト(special)
- 大地の神ガイア:5445 遊覧船と妖精の女王より 女王
- 地底の神タルタロス:4694 フードの幽霊(special)
- 地中海神ポントス:fi?ures series 7 ボーイズ 12 海の神
- 混沌の神カオス(出演なし)
- 原愛の神エロス(出演なし)
- ガイアの<子>たち
- ヘカトンケイレス
- A:fi?ures series 3 ボーイズ 01 ドラゴンの騎士
- B:同 カスタム
- 想像図:ZOIDS RZ-052 ガンブラスター
- キュクロープス
- A:4653 グラディエーター(special)
- B:4270 古代ローマ軍のコロシアムより剣闘士
- C:4270 古代ローマ軍のコロシアムより剣闘士
- 想像図:モビルスーツ
現行ではFUSION Works GUNDAM STANDartに相当 - type1 MS-06 ザクⅡ
- 標準仕様通常機
- 寒冷地仕様司令官機
- 砂漠仕様通常機
- type2 MS-06 ザクⅡ
- シャア専用
- 寒冷地仕様通常機
- 砂漠仕様司令官機
- type3
- MS-06 ザクⅡ
- MS-09R リック・ドム
- MS-07H8 グフ・フライトタイプ
- ギガンテス(出演なし)
- ティターンズ(以下、12柱解説)
ティターンズ
- 農耕の神クロノス:
fi?ures series 2 ボーイズ 02 スペースエイリアン - アダマスの鎌:7121 鳥と農家の道具のセット(add-on)
- 巨神モード:6004 ドワーフとジャイアントトロール
- 大地の神レアー:
4592 原始人(special) ブロンドガールカスタム - 海洋の神オーケアノス:
fi?ures series 4 ボーイズ 12 ブルーエイリアン カスタム - 水の女神
テティステーテュース:
fi?ures series 4 ボーイズ 12 ブルーエイリアン 潜水艇カスタム
4478 海底探検ポッド - コイオス:4590 エイリアン(special)
- ポイベー:
fi?ures series 2 ガールズ 05 ジャングルの少女ジェーン カスタム - クレイトス:3282 スペースエイリアンクルーザー
- 太陽の神ヒューペリオン:3095 ダークフライヤー
- テイアー:魔女カスタム
- 記憶の神ムネーモシュネー:3737 ヘビ使いの女
- 季節の神テミス:7463 妖精と小鹿(add-on)
- イーアペトス:4604 スケーターロボット(special)
- コイオスとポイベーの子たち
- レートー:4530 魔女(special)
- アポロンとアルテミスの母
- 星座の女神アステリア:
fi?ures series 1 ガールズ 02 花の妖精 - ペルセースとのあいだの子 魔女ヘカテ:4550 真夜中の魔女
- クレイオスの子
- 星空の神アストライオス:4594 魔法使い
- 風と星の父
- ヒューペリオンとテイアーの子
- 太陽神ヘリオス:4244 エジプトの二輪戦車
- 月の女神セレネ:fi?ures series 3 ガールズ 07 インドの王女
- 暁の女神エオス:fi?ures series 4 ガールズ 06 天使 カスタム
- イーアペトスの<子>たち
- アトラス:4881 特別捜査官
- メノイティオス:
5296 トップエージェントとバランスレーサー(special plus) - 先見の神プロメテウス:
fi?ures series 5 ボーイズ 06 宇宙飛行士 - 後悔の神エピメテウス:4479 深海ダイバー
- パンドラ:fg 4-09 ライフガード
- テミスとゼウスの娘たち "ホーライ三女神"
- 秩序の神エウノミアー:7463 妖精と小鹿(add-on)
- 正義の神ディケー:4197 お花の妖精と葉っぱの二輪車
- 平和の神エイレーネー:7463 妖精と小鹿(add-on)
- ムネーモシュネーとゼウスの娘たち "詩神ミューズ"
- 叙事詩のカリオペー:fg 2-01 ティンカーベルと書物
- 詩王オルフェウスの母
- 英雄詩と歴史のクレイオー:fg 公式カスタムと巻物
- 悲劇と挽歌のメルポメネー:fg 2-04 ヴァンピレス
- 抒情詩のエウテルペー:fg 公式カスタム
- 独唱歌のエラトー:fg 吟遊詩人カスタム
- 合唱と舞踏のテルプシコラー:5449 森の妖精スーリヤ
- 占星術と天文のウーラニアー:5605 バンドとコンパス二つ
- 喜劇のタレイア:fg 公式カスタムと石のラッパ
- 讃歌と雄弁のポリュムニアー:4530 魔女(special)
オリンポス
12神- 天空と雷帝の神 主神ゼウス:4270 古代ローマ軍のコロシアム
- 雷霆:同 石像より
- パイロットモード:
fi?ures series 4 ボーイズ 10 パイロットより - ゼウスの正妻 貞淑と嫉妬の女神ヘラ:型番不明 魔女
- 大地の女神デメテル:4270 古代ローマ軍のコロシアム
- 海原の神ポセイドン:4901 NORDSEE限定品 海の神
- サーファーモード:4863 ビーチバギーより
- 追記:妻アムピトリーテー:4816 海の魔女
- 竈の女神ヘスティアー:3838 魔女
- ゼウスの娘 戦神アテナ:4651 クレオパトラ(special)カスタム
- ゼウスとヘラの子 鍛冶師ヘパイストス:ジャンク品エジプト青年
- ゼウスとヘラの子 軍神アレス:4270 古代ローマ軍のコロシアム
- ゼウスとレートーの子 月の女神アルテミス:5448 森の妖精ダイアナ
- ゼウスとレートーの子 太陽の神アポロン:4272 古代ローマ戦士と馬
- ゼウスとマイアの子 伝令ヘルメス:fb 4-06 ローマの騎士
- ゼウスと王女セメレーの子 酒の神ディオニュソス:3174 海賊船
- ウラノスの<娘>にしてゼウスの養女
美と愛の女神アフロディーテ:fg 6-04×5445 カスタム
冥府の夫妻
- 冥王ハーデス
- 農耕モード(ハーデス本体):4603 ハロウィン(special)改
- 怪神モード(タルタロス):4694 フードの幽霊(special)
- 冥府モード(ウラノス):4579 ホワイトゴースト(special)改
- 海神モード(ポントス):fi?ures series 7 ボーイズ 12 海の神
- アダマスの鎌:7121 鳥と農家の道具のセット(add-on)
- 冥界の女王ペルセポネ
- 妖精モード(ペルセポネ本体):fg 6-08 妖精
- 女王モード(ガイア):5445 遊覧船と妖精の女王より 女王
(株)モンスターズ
- テュポーン
- 頭部:4592 原始人×4696 ドラゴンプリンス(共にspecial)
- 尾部:6261 ボアコンストリクターと大トカゲ
- 蛇首1:3737 ヘビ使いの女の大蛇
- 蛇首2:ネイティブアメリカンセットのガラガラヘビ
- 蛇首3:4530 魔女(special)の蛇杖
- エキドナ
- 頭部:5239 ブリスターセット 吸血鬼カップル
- 尾部:6261 ボアコンストリクターと大トカゲ
- 双頭の犬オルトロス
- fi?ures series 2 ボーイズ 10 犬と男の子の犬
- 3890 中世鎧騎士と犬
- 地獄の番犬ケルベロス
- 5408 オオカミと森の戦士のオオカミ
- 4644 オオカミ戦士(special)のオオカミ
- 5101 マンモスハンターとテントのオオカミ犬
- スフィンクス
- 上半身:4530 魔女(special)
- 下半身:4270 古代ローマ軍のコロシアムのライオン
- ネメアの獅子
- 4270 古代ローマ軍のコロシアムのライオン
- ラドンあるいはコルキスのドラゴン
- プレモマガジン ブラックドラゴン
- レルネーのヒュドラ
- 6261 ボアコンストリクターと大トカゲ
- 3737 ヘビ使いの女の大蛇
- ネイティブアメリカンセットのガラガラヘビ
- 4530 魔女(special)の蛇杖
- 4651 クレオパトラ(special)の蛇冠
- コーカサスの鷲
- 7171 ハゲワシ(add-on)相当
- キメラ
- 獅子頭:4270 古代ローマ軍のコロシアムのライオン
- 山羊頭:4785 ヤギの家族と少女(special plus)のヤギ
- 蛇の尾:3737 ヘビ使いの女の大蛇
- 蛇女デルピュネー
- エキドナと同じ
- クロミュオーンの雌猪パイア
(出演なし) 所蔵プレモに猪なし!オシイ!!ホシイ!!!- 追記:6316 Forest Animalsより雌猪とウリボウ
その他の神々と英雄
- 牧神パーン:
- 山羊半身:4785 ヤギの家族と少女(special plus)のヤギ
- 魚の半身:4901 NORDSEE限定品 海の神 付属の魚群
- 英雄オリオン(友情出演):外伝 一より
- 英雄ペルセウス(友情出演):外伝 一より
- 英雄イアソン(出演なし):2015年1月演目参照
- 英雄ヘラクレス(出演なし):2015年1月演目参照
- 詩王オルフェウス(出演なし):2015年1月演目参照
- キノコ君ことベニテングタケの精(特別出演):
4194 キノコの妖精の隠れ家
あとがき
ギリシャ神話。幼い頃からgeneのお気に入りモチーフのひとつであり、ここ"pax fantasica"がはじまるきっかけとなったテーマ。冬の定番演目。2015年は、ひつじ年演目の『スキタイの子羊 異伝~アルゴー号探検隊~』に続いて、連続。
制作のきっかけとなったのは、演目の5話め、ハーデス異伝を思いついたことでした。
それは、2014年10月、ハロウィンプレモを並べていた時のこと。はて。なぜシニガミというのは鎌を持っているのだろうか。。魂を刈り取るから?
にしても、カボチャのオバケも農具を持っているし、これは何やら。。そういえばハロウィンは、収穫を終え、秋が終わって冬が来るころのお祭り。ギリシアの冥界の神ハーデスも、その妻をめぐって冬の起源を語る物語があったなあ。
ん?待てよ!!!
と思い立って調べてみると、案の定、鎌は、重要な意味を持っていました。ハーデスの祖父にあたるウラノスを、ハーデスの父クロノスが打ち破ったときに使われたが、鎌だったのです。そして、そのクロノスは農耕の神。後にローマ神話のサトゥルヌスと同一視された、大地と農耕の神だったのです。
とすると、ハーデスの"地下の国を統べる"というのも、そもそもは土の中、つまり、植物が育つ土を意味しているのでは?冥界の神、シニガミ、農耕、農具、冬という一連のモチーフには関係があるのでは??
…まあ、あくまで妄想の世界、空想の世界ですが。
ともかく、ハーデスの正体を、おそろしい冥府のシの神としてではなく、冬のあいだ土の中ではぐくまれる生命の象徴ととらえることで、ギリシャ神話の逆解釈を成り立たせることができそうです。
それに、冥府に降り、ハーデスとペルセポネの夫妻に謁見したオルフェウスもまた、シと再生を象徴する神。
こうして、ゼウスをはじめとする、天空の神や太陽と月の神、戦の神、鍛冶の神など、原インド=ヨーロッパ語を話した古代民族の思想を色濃く受け継いだと思しきオリンポスの12神以外に注目することで、ギリシャ神話の裏解釈をしてみることになりました。
ティターンズ
となると最初に登場するのは、オリンポスの神々によって打倒された先代の神々である、ティターン神族です。
農耕神クロノス、大地母神レアーをはじめとする12の神々とその眷属。ポセイドンに先立つ海の神オーケアノスとテーティスや、ゼウスと因縁を持つイーアペトスの一族など、魅力的な神々がそこにはいました。
クロノスが父ウラノスを打ち倒す伝説、そのウラノスの予言によって同じ道をたどることとなるクロノス、それを避けるためにこどもたちを次々と飲み込むクロノス。ゴヤの『我が子を喰らうサトゥルヌス』は、わたしたちに原初的な恐怖を感じさせてくれる作品であり、父を打ち倒す男の子の古典的な原動力であるエディプス・コンプレックスの一側面、つまりは碇ゲンドウと碇シンジの関係の原型とも言えるわけですが、こいつを、プレモで表現してみました。
しかーしそこは、中二病患者のgeneが創るお話。藤崎竜版『封神演義』に倣って、"超古代文明説"的、"古代宇宙飛行士説"的な解釈でビジュアル化してみようということになり…^_^;
ティターンズのうち、男神たちはエイリアンや宇宙飛行士、潜水士、近未来戦士たちで表現しました。具体的にはクロノス、コイオス、クレイオスはエイリアン(♂)、イーアペトスがアンドロイド、ヒューペリオンとアトラスとメノイティオスが近未来戦士で、プロメテウスが宇宙飛行士、エピメテウスが潜水士になっています。
女神たちは地球の原初をイメージさせるキャラでいこうということで、普段は女媧や西王母を演っている方々や妖精を中心にすえました。テーテュースだけはエイリアンになっています。
ティターン12神から産まれた星の神、月の神、暁の神、太陽の神などの自然神は、それらしきモチーフの意匠のプレモでファンタジックにしあげました。各世代に太陽神がいたりするので使い分けに苦労しましたが、まあなんとかじぶんのイメージ通りには仕上がりました。
ティターンという言葉はむしろ、タイタンとかチタンという表記で知られていますね。巨人や、大きなものを表す英語として現代に伝わっており、大きな輸送車両や、豪華客船タイタニック号の名に使われています。現代人はティターンズといえばむしろエゥーゴとかあっちを思い浮かべるかも^_^;
オリンポスの神々を奉じる部族が半島に入り込む以前の信仰だったり、その周辺地域の伝統宗教だったりの神が採りいれられたものと考えられますが、中には何の神さまなのかさっぱりわからない、単に系譜上の存在だけになりはてているものもあります(コイオス、クレイオスなど)。
天体の神としてもオリンポス世代とは異なる構成になっていますが、ヒューペリオン(正しくはヒュペリオーン。銀河英雄伝説のヤン提督の旗艦ヒューペリオン(またはヒューベリオン)の音が好きなもので^_^;)やその子ヘリオスには、チャリオッツで運ばれる等、天体そのものというよりも、天体の運行をより直接的に表現したものがあったり、東方や地中海南岸・東岸の文明の影響を感じさせるものがあったりします。
ヘカトンケイレスとキュクロープス
当初、この二つの種族は何か大きめのトイを使って表現しようと考えてました。というのも、2014年11月演目ではサイクロップスを演じさせた6004のジャイアントトロールを、クロノスの巨神モードの表現に使うことに決まっていたので、プレモのなかには既に、巨人族を表せるものがなかったからです。具体的には、超像可動とか。いえ、実を言うとそもそもは、ティターンズ自身をJOJOの超像可動や武装神姫、figma(BRS、ストレングス等)で演る案もあったくらいで^_^;
が、なるべくプレモでやるのがベスト。というわけで、百手→武装が多い、単眼→眼が隠れている、という解釈を行ってそれぞれ、武器マニアな重装歩兵(笑)とフルフェイスヘルメットの剣闘士で表現。
手元に複数体あったということも、オーディションを通った理由ですね。
お遊び要素をなくすのがちょっとだけもったいなく、後世に伝説が独り歩きしてその姿がマツガって伝えられた、という"スキタイの子羊"的な解釈で、ZOIDSの超重武装機体ガンブラスター(リンク1、リンク2)とか、
三体の単眼巨人=ジオン公国系のモノアイのモビルスーツ、というビジュアルも入れておきました^_^; よしなに…。
なお、英語ではサイクロプスないしサイクロップスですが、本来のギリシア語ではキュクロープスのほうが発音が近いので、この演目ではそのように記載しています。
詩神ミューズ
幕間的な要素のその一。ゼウスと記憶の神ムネーモシュネーとのあいだの娘たち、ミューズ。
普段このブログでは竪琴を持ったモード系の妖精である「5449 森の妖精スーリヤ」をミューズと呼んで使っていましたが、実はこの度調べてはじめてミューズというのは複数人、具体的には最大9人いるのだということを知りました。museではなくmusesが本来。ゆえに、バンド名はTHE MUSES!
しかもちゃんと一柱一柱に、司る芸術とそれを象徴する道具が決まっているというきめ細かさ。これは表現しないではいられません!
というわけで、ガールズグループを組む時にはよく呼ばれる妖精や魔女やフィギュアカスタムをひっぱり出し、楽器や書物やコンパスやいろんな道具を集めて、一応、Wikipediaに表記されているとおりのmusesをビジュアル化しておきました。
ついでにお遊びとしては、「5605 バンド」などから楽器を持ってきて、ガールズバンドとしてみました。なにせ母が、太古の芸能人ともいえるヘビ使いの女性なので。遠くインド亜大陸からアレクサンドリア方面を経てここギリシャの地までやってきました。たぶん。一点シッパイ。キーボードを出していたのに撮影できていません!ポリュムニアーの向こう側にあると思ってください^_^;
アトラスとプロメテウス
幕間その二。表現してみたかった神といえば、アトラスとプロメテウス。どちらも、罰を受けているシーンですね^_^;
ティタノマキアー敗戦の責任をなぜか一手に負わされて、その双肩で地球を支える羽目になったあわれなアトラス。これ、どうやって支えているかといいますと、まず4881と5296にひとつずつ付いているハンド吸盤を二つとも4881に持たせて、角度を調整してその上に地球儀を置いています。この地球儀は何と立体パズルでして、紙でできているので軽いのです。ただ、バランス的に撮影には耐え難かったので、プレモ座の劇場である本棚の後ろにちょっともたせ掛けています^_^;
人類に火を与えてくれたプロメテウス。
この刑罰は、かなーりザンコクシーンとなるのですが^_^;この逸話はけっこう有名な気がします。しかしフシギなことに、幼い頃に読んだときはまったくザンコクだという気がしませんでした。責めているのがヒト型ではなくて鳥だというところが理由でしょうか。むしろ東洋の地獄の描写の方が百倍怖かった。
これって、ペルシアなどにあった鳥葬の文化を表現しているのでしょうかね。火との関係からも、ちょっと気になります。
奇しくも、宇宙服とフェイスキャノピーをはずして素顔をさらしたプロメテウス(笑)
オリンポスの神々(一)
そして、正統なるギリシア神話の主役級とも言える、オリンポスの神々。主だった12神を中心に、ハーデス、ペルセポネ、そしてゼウスの子たちが織り成す魅力的な物語こそが、ギリシア神話の醍醐味のひとつ。
第一世代ともいえるのは、クロノスとレアーのあいだに産まれた六人から。ハーデス、ポセイドン、ヘスティアー、デメテル、ヘラ、そしてゼウス。ただし本編にも書いたようにハーデスは通常12神には数えられません。
第二世代は主にゼウスの子たち。ヘパイストスとアレスは正妻ヘラの子ですが、ぱっとしないと言われるヘパイストスと、乱暴者でキラワレモノのアレス。。。ヘラは内心はらわた煮えくり返ってます^_^;
その理由は、ゼウスがひとりで創造したとされるアテナがデキる子ちゃんだったから!ギリシア有数の都市であったアテナイの名でもあることからもわかるように、12神の中でもピカイチの人気を誇ったのがこのアテナでした。
同じ戦の神でも、智略を司るアテナは、暴力と狂乱を司るアレス(燃え盛る凶星たる、火星Mars)よりもはるかに愛されたそうです。
た・だ・し、そんなアレスも美女には大人気!やっぱりいつの時代も顔なのか?特に、荒くれ者で乱暴で顔のいい男に美女が惹かれるのは、ヒト族のサガなのか?(笑)
美と愛の女神といわれるアフロディーテ、つまり金星Venusですが、この方、生まれ方から浮気の仕方まで、とにかくエロエロですよね!!^_^;
本編に記載した通り、ウラノスの「泡」から産まれたので母はいません。そして、夫であるヘパイストスの同父同母弟であるアレスと恋をします。
そういえばまさにきょう2月21日、地球からみた火星と金星が大接近!各地の天候にも依りますが、みなさんご覧になりました?あれこそが、アフロディーテとアレスの浮気の神話が生まれたきっかけなのでしょうね。
うーん、それにしてもヘパイストス、母にも疎まれ、妻にも裏切られ、なんてかわいそうなんだあ!!(T_T)
ということで、本編最終章のテュポーンとの戦いで、重要な役目を演じてもらいました。実際、テュポーンがエトナ火山に封印されたとされる一方でヘパイストスもまたエトナ火山に住む神と考えられており、一説には、火山や炎の荒ぶる側面を表したのがテュポーンであり、それを文明に役立てていく知性を表したのがヘパイストスと言われています。
プロメテウスの智の火と、ヘパイストスの匠の火。これこそが、人類文明を支えていたのでした。
ヘルメスは、後にオリオンが追いかけまわしたことでも知られる天空の美女軍団にしてギリシアの羽衣天女たちことプレイアデス七姉妹の長女マイアとゼウスのあいだの子です。ゼウスはヘラの元をこっそり抜け出してマイアに遭いに行き、そのことをなんとかヘラに隠し通しました。こうして産まれながらにして盗賊とウソツキの才能を持っていたというヘルメス…。
でもなんだかんだで結局ヘラにも可愛いがられることとなり、こちらも同じく、後にテュポーンとの戦いで、重要な役割を果たすのでした。
俊足の神として知られ、太陽系第一惑星水星/Mercuryにあてられる彼。軌道半径が小さいからすぐ一周回りますからね。トラックが小さいのはズルい。。。最大の惑星が父Jupiter、最速の惑星が子Mercuryというわけです。
ヘルメスのビジュアルで有名なのは翼の生えた黄金のサンダルですが、そんなのは無かったので^_^; Mercury=Quick Silver=水銀=銀色の甲冑の軽快な青年に演じてもらいました。いちおう、ランニングポーズで(笑)
伝令、商人、盗賊、地上と地下のあいだで魂を運ぶ者、など道に関わる神さまです。
地味と思ってましたがちょっと見直しました。そんなわけで、"production 75"のほうでも、第二のアンドロイドをMercuryすなわち水銀Quicksilverを冠する者としたとかしないとか。
月神アルテミスと太陽神アポロンは、ゼウスと、ティターンズ第二世代たるレートーとのあいだの子。太陽神としてはヒューペリオン、ヘリオスに次いで三代目、月の神としてはセレネの後継ということになるのでしょうか。
この二人はとにかく、オリオンとの絡みで有名です。
暁の女神エオスと逢引していたオリオン。にもかかわらずプレイアデス七姉妹を追いかけまわしていた気の多いオリオン。オリオンとの恋に忙しく仕事を怠けたエオス。不思議に思ってエオスの神殿を訪れる月神アルテミス。アルテミスとオリオンの出会い。しかし、アポロンはオリオンを快く思わず、謀略によってアルテミスみずからの手でオリオンを亡き者に(T_T)
やがて天に上って星座となったオリオンの元には、月に一度だけ、アルテミスが逢いにやってくる…
これ、冬の天体ショーそのものな神話なんですよね!
天体としての神々
オリオン座は冬になると東の空から昇り、一晩中かけて西の地平に沈みます。つまり、まるで、東に昇る暁の女神と逢うようにして去っていくわけですが、、、その道中、おうし座の背中のところにいるアトラスの娘プレイアデス七姉妹(M45プレアデス星団)をずっと追っているわけです。
オリオンがみえるようになるのは秋分を過ぎ、冬至に向かう季節。夜明けは徐々に遅くなります。つまり、エオスがオリオンとの恋にかまけて朝起きてこなくなるわけですね(^_^)
不思議に思ったアルテミスが暁の神殿(東の空)に寄ってみると…というのは、下弦の月が明け方に昇ってくることを言っているのでしょうか?東の空にうっすら昇る夜明けの月は、西の空に沈んでいくイケメンのオリオンを知り、恋に落ちるのでした。
こんな季節は、太陽にとっては出番なしな季節。寒いのなんの。ちょうど、オリオンの裏側にいるわけです。(あ、とすると砂漠のサソリと太陽神には関係があるかもしれませんね。)
冬の狩人オリオンと太陽のアポロンの対立は悲劇を産みますが、星座となったオリオンの元にはアルテミスが月に一度(満月となって)やってきます。
ちょっとオリオン!あなたまたプレイアデスたちのこと追いかけてたでしょ!?
はい…。おそらくことしも、来年も、その先も…。
一日に約12度ずつその位置を変えて東に向かって動く月。アルテミスは束の間の逢瀬を愉しんだ後はすぐに、逢えない哀しみに痩せ細りながらオリオンの元を去らなければなりませんが、星座であるオリオンとプレイアデスたちは一日に1度ずつしか動かず、しかも両者はその位置関係を変えないため、、、明日も、来月も、来年も…。
ちょっとオリオン!なんでついてこないのよ!なんなの、その女の子たちは!
演目では、オリオンとアルテミスのみならず、数々の神々が冬の夜空を彩ります。
主神ゼウスは、ローマにおけるJupiterとして、太陽系で最も大きく最も明るい惑星、木星ですが、ちょうどここ数年、Jupiterはオリオン座の周辺にいます。ことしは少々東に寄っていますが、冬の天体観測の主役のひとつとして、見まごうことなき輝きを放ちます。
木星には多数の衛星がありますが、基礎的な望遠鏡でも見えるいわゆるガリレオ衛星のうち、カリスト、イオ、エウロペはゼウスの妻にちなんだ命名。もうひとつのガニメデはゼウスの近侍を務めた美少年の名なんだそうです^_^; ゼウス、りょ、両刀か?(ちなみに、この近侍君が不シの酒ネクタールを給仕するのに使っている壺が、みずがめ座/Aquariusです。)
ほかにも、メティスや、テミス(衛星名としてはテミスト)、そしてムネーモシュネーと同一ではないかと思われる記憶の詩神ムネメー等の名を冠した衛星があります。さすがゼウス王、大家族!(し、しかし、ヘラはないのか?ヘラは??)
ここまでで記したとおり、太陽系の内惑星としては、水星/Mercuryはヘルメス、金星/Venusはアフロディーテ、火星/Marsはアレスがそれぞれ充てられています。
東洋における水星、金星、火星…という呼び名は、チウゴクの陰陽五行説(木火土金水)に依ったものですが、火星と金星は、その色もまた、ギリシア・ローマの神々と合致しているように思います。
土星は?と思われる方もいるかもしれません。実はこちらはティターンズから。そう、大地と農耕の神であるクロノスに相当するローマのサトゥルヌスが、土星です。土星=SaturnというのはNASAのロケットでも知られた名前ですが、このSaturnは、ラテン語のサトゥルヌス(Saturnus)が英語化したもの。決して、魔王サタンとは関係ないのですが、SatanとSaturnusの音の近さゆえに、クロノス/サトゥルヌスの姿がだんだんと恐ろしげな魔神へと変化し、例のゴヤの絵画のような捉え方をされたのは、否めない面もあるでしょう。と、同時に、大地の神、農耕の神が、地下の神、冥府の神へと変貌していきました。
その冥府の神ハーデスは、ローマにおいてはPlutoに充てられますが、これまた悲劇の神にして悲劇の星。そう。発見以来ずっと、太陽系最遠にして最小の"惑星"、楕円で公転面のずれた軌道を持つ不思議な"惑星"、と考えられていたPlutoこと冥王星ですが、近年、長い長い論争の結果、惑星ではないとすることに決定したとか。いまやdwarf planet(準惑星)と定義されているそうです。
うーん、冥王星を守護星とするとされるさそり座のgeneは、スコーピオンのミロと共に嘆いております(T_T)
冥王星と同じく外惑星に属するのは、天王星と海王星。これはもう文字通りで、天王星/Unanusは天王ウラノス、海王星/Neptuneは海王ポセイドンの名をもらった星です。
いずれも、肉眼では見えない星ですので、近世以降になってから名付けられました。海王星はみごとな蒼の星で、その名に恥じていません。
あまり東洋ではなじみのない原初の神ウラノスと、ティターン神族の主神クロノスですが、どちらもちゃんと、惑星として天に輝いています。
特に土星。昨年初めて、望遠鏡で土星の輪を観測したのですが、思っていた以上にコミカルと言いますか、昏い夜空の中にぽかんと浮かぶ姿、その輪は小さく、かわいい印象でした。まったく、恐怖の惑星というイメージではありません。それでも、火星、土星、冥王星は占星術では凶星とされるんですよねー。(木星=太歳もちょっとそんな面あるか…。主神たち、なぜか怖がられる^_^;)
このほかにも、太陽神の三世代(ヒューペリオン、ヘリオス、アポロン)、月神二世代(セレネ、アルテミス)、暁の女神エオス、風の神、季節の神など、多数の天体・季節関係の神々が登場しました。
地中海に面し、東は黒海東岸から西はイタリア半島沿岸まで植民都市を拡げたギリシアの人々や、その後継者たるローマの人々は、先行するエジプトやフェニキアの人々と共に、毎日毎夜天体を観測し、航海や農耕に役立て、そして、まだメディアも未発達な古代の世界において、星空を行き交う天体たちにさまざまなドラマを見出し、寒い冬の長い夜の、ささやかな楽しみとしたのでした。
オリンポスの神々(二)
さて。話かわって、その夜空の劇団の中でも人気の美女プレイアデス七姉妹と、その異母姉妹にあたるヒュアデス七姉妹(ヒアデス星団)、ヘスペリデス姉妹に育てられたのが、酒の神ディオニュソス。
ゼウスとニンゲンの王女セメレーとのあいだに出来た子ですが、この浮気もまた、ヘラをキレさせます。キレたヘラはなんともヒドいことに、ディオニュソスを産む前にセメレーを焼き〇してしまいます…うげーーー。
父ゼウスと兄ヘルメスによってなんとか命を救われたディオニュソス。しかし、ヘラの怒りは収まらないため、産まれながらにしてヘラに追われる存在となり、東方のあちこちをさまよったと言われます。そんな中、彼は葡萄からおいしくて気分の良くなる飲み物を造り出す技を覚えました。そう、醸造です。
醸すぞー
この酒の技ゆえか、あるいは兄アレスに似てチョイワルなイケメンだったのか、美女侍女軍団に育てられたせいで年上女子に慣れていたのか、ともかく彼は行く先々で女たちにモテ(?)、酩酊と陶酔と狂乱を好む狂信的な教団を形成します。
エヴェリィナイ パーリィナイッ!
うーん、元祖クラバー?元祖DJ?元祖イビサ島?
秩序を重んずる体制からは煙たがられたこの教団。やがて、ディオニュソスの従兄弟であるテーバイ王ペンテウスはその信仰を禁じディオニュソスを捕えようとします。しかし、狂信的な女たちの集団(マイナス)は逆にペンテウス王を襲い、八つ裂きにしてしまったとか。。
我は、神なり!
キャー!!!ディオニュソスさま~
と言ったかどうかはさだかではありませんが、さまざまな奇跡をおこしてみせたディオニュソスはやがて、冥界へと降って、亡き母セメレーを復活させることにも成功し、神々の列に加わります。
一説には、ディオニュソスがオリンポス12神に加わりたがっていることを知った叔母のヘスティアーはみずから引退を宣言し、その座をディオニュソスに譲ったとか。竈から酒蔵への政権交代?
どうも、もともとは神殿などに独占されていた醸造技術が民衆の中に普及し、場合によっては体制を批判したり打倒したりするエネルギーにまでなり、低い身分出身、あるいは東方の異文明出身の者が、ギリシアにおいて一定の力を得て行った過程を神話化したもののように思われます。
それにしてもこの教団はすごい…。
みなさま、男女問わず、お酒はほどほどに…。
アムピトリーテー(追記)
オリンポス12神の登場シーンに追記しました。
海神ポセイドンの妻とされる、海の女神群"ネレイデス"がひとり、アムピトリーテー。
…ポセイドン、デメテルに続きこのアムピトリーテーとの結婚もかなり強引だったとか…。
ネレイデス、ネーレイデス、あるいはネーレイスと呼ばれる彼女たちは、ティターンズのふたりオーケアノスとテーテュースの娘ドーリスと、海の老人ネーレウスとのあいだに産まれた、50人とも100人とも言われる娘たち。つまりティターンズの孫にあたります。
ちなみに"ネレイデス"の母であるドーリス自身も、50人とも100人とも言われる"オーケアニデス"のひとりです。海神、子沢山(笑)。察するに、海の泡とか?
Les Nereidesというフランスの宝飾品ブランドがありまして東京でもお店がありますが、このブランド名の起源となっているのがネレイデスです。
以前、カシオペア、アンドロメダ、ペルセウスの演目をやった時には、ポセイドン的なプレモがいなかったこともあり、アムピトリーテーとして魔女に登場してもらっていました。本来は、あの神話においてカシオペアをこらしめようとするのはアムピトリーテー一人ではなく、彼女も含むネーレイデスたちのようですが、あの時のイメージでアムピトリーテー=魔女となっていたgeneは、新たに入手できた「4816 海の魔女」に再演していただきました。
海馬、つまりHippocampusのモデルとも言えるタツノオトシゴと、ウツボ、そして怪魚を連れた4816。
ホメロスの『オデュッセイア』によればアムピトリーテーは海の巨大な怪魚や怪獣を多数飼っているということであるのでピッタリ。なおこのたびは、くじら座/Cetusとなったあの怪物は登場していません。
左上が旧アムピトリーテー 左下が鯨ケートー |
怪物たちの系譜
そして、怪物と言えば…
物語の最後を締めくくったのが、外伝、『炎の神話』。
ゼウスの見せ場と偽って(?)制作されましたが結局ゼウスはやられキャラで終わり、おいしいところはタルタロスことハーデスに持っていかれてしまったのは、さそり座のgeneが制作する"pax fantasica"ゆえの悲劇と、ゼウスさま、どうかお許しを^_^;
怪物たちの系譜は、神々の系譜と同じく、詩人ヘシオドスの『神統記』("Theogony")に依っていますが、一部、アポロドーロスの『ビブリオティーケー』の記述も採用しています。
特筆すべきはやはり、Father of All Monstersとも言われるテュポーンでしょう。天にも届く巨躯、無数の蛇の頭、鳥の翼。その力は神々の王ゼウスをも圧倒し、一時はゼウスを絶体絶命の危機に陥れます。
本編でも書いた通り、台風の語源ともなった怪物ですが実際には、その描写を読み解くとわかるように、シチリア島のエトナ火山を神格化した存在だと言えます。
エトナ火山はちょうどギリシア文明が最盛期であった時代に三度ほど噴火しているようで、ヨーロッパ最大の火山、最も活発な活火山、地中海の中央に位置する地中海最大の島シチリア島にあることなどから、エジプト、フェニキア、ギリシア、ローマ、アラブなど各世界において非常に注目されたものと考えられます。
テュポーンは、最初の大地母神ガイアと深淵の神タルタロスを両親として産まれたとされますが、これは大地と地の底とから産まれ出る溶岩と噴煙という姿に合致。
繰り返しますが、エトナ火山の制御しがたい荒ぶる力強さを表したものが怪物テュポーン、そしてその炎の力を文明化したものが炎と鍛冶師の神ヘパイストスだというのが一般的な解釈です。
対するMother of All Monstersことエキドナについてはさまざまな説があり、ガイアとタルタロスの子であるテュポーンの妹であるというアポロドーロスの解説のほか、たとえばヘシオドスは(ポセイドンとメドゥーサの子でペガサスの兄弟である)クリュサオルと(オーケアノスとテーテュースの娘であるオケアニデスのひとりたる)カリロエーとのあいだに産まれた、あるいは海神ポントスの産んだ兄ポリュキュースと妹ケートーとのあいだの子だ、と記しています。まあ、とにかく原初的な怪物女ってことで。
本編では、オルトロス、ケルベロス、ネメアの獅子、スフィンクス、ラドンあるいはコルキスの龍、ヒュドラ、コーカサスの鷲、キメラ、そしてデルピュネーの母として描いていますが、一説には、ケルベロス、ネメアの獅子、スフィンクス、そしてクロミュオーンの雌猪パイアは、テュポーン封印の後に息子であるオルトロスと母子婚を行って設けたこどもたちだとも。うげ。
クロミュオーンの雌猪パイアはこれまた魅力的なキャラですし、プレモにもちゃんと猪がいるのですが、まさかまさかの、ここまで来てgeneは所蔵していません(T_T) クリスマスセットにも北米セットにもいまだ入っていない。入っているパッケージを何回もみかけているのですが、ほかが手持ちとかぶりまくっているので買っていないという実情です(T_T)
ブタならいます\(^o^)/
パイアよ!お食べ!
追記:
おまけ
ついに購入しました、猪!
ドイツ→ニュージャージー→オレゴン→トーキョーと地球を半周してやってきました、雌猪パイア!!
「6316 Forest Animals (add-on)」より
ウリボウもセットで。
干支にはまにあわず、ブタにその座を譲っていましたが、
ここに、登場~
エキドナ。もともとは葡萄の畑を守る女神であったとか。葡萄を食べにくる小動物や家畜を蛇が追い払うから??
こどもたちについては詳述しませんが、オルトロスといえば、テュポーンともども、FINAL FANTASY VIのおかしな敵キャラとして知っている人も多いのでは。geneも、双頭の犬だったというのは初めて知りました。
ケルベロスはオルトロスよりもはるかに有名でしょう。それもこれも、オルフェウスさまのおかげ。ハーデスとペルセポネの飼い犬として、地獄の番犬と呼ばれた三つ首の魔犬ケルベロスも、詩神オルフェウスのつま弾く竪琴の音色にはついつい気持ちよくうたた寝をしてしまいました。
ヒュドラ、キメラは数々のファンタジー作品やゲームで著名。スフィンクスは、「はじめは四本足、次に二本足、最後に三本足」のあのなぞなぞで有名です。ラドンは某怪獣映画では翼のある怪獣の名前に使われました。
なお、ラドンとコルキスの龍ですが、いったいどちらが本来のテュポーン&エキドナの子なのか、geneはわかりませんでしたが、思うに、黄金の林檎を守るラドンと、黄金羊の毛皮を守るコルキスの龍とが、どこかで混同されたものではないかと考えています。あるいはどちらにもそもそも個性などなく、黄金を守る龍、という形だけがあったのか。
いずれも、ギリシア世界のみならず、その後の世界、ことに20世紀の中二病世界には多大な影響を及ぼし、神々、英雄、そしてゲーマーたちに数え切れない試練を与えてくれました。といっても実は、ギリシア神話の世界でこの子たちと闘ったのは主にヘラクレスとオルフェウスなんですけどね。あとイアソンもちょっと。オリオンは実は別の獣とむにゃむにゃ…
天体としての怪物
そしてふたたび。夜空の話。神々のみならず、ここに登場した怪物たち、テュポーンとエキドナの子孫たちもまた、夜空を彩る名脇役たちとして後世に名を遺すこととなりました。
最も知られているのは、黄道十二星座のひとつ、しし座/Leo、でしょうか。英雄ヘラクレス(ヘルクレス座/Hercules)の試練として差し向けられ、そしてコロされたネメアの獅子。ヘラクレスにコロされたモンスターたちは星座となる定めにあり、この獅子もまた、空に上げられました。しかも!こんな主役級の位置に!ラッキー!
同じくヘラクレスに敗れたのはレルネーのヒュドラ。こちらは、、、うーん、和訳マツガエたんですね、ザンネン、な感じの、うみへび座/Hydra、となりました。西洋の星座が移入された当時、Hydraというモンスターについてはあまり知られていなかったのでしょうか。。。現在では、1月演目と縁の深いレイ・ハリー・ハウゼンの『アルゴー号探検隊』における特撮ヒュドラほか、各種ファンタジー作品などで有名になりました。11月演目にも登場!なお、『風の谷のナウシカ』にもヒドラと言われる人造生物が登場しますがビジュアルはまったく別物です。肉体の一部を切り取られても再生するという性質が受け継がれています。
うみへび座。なんと現在、星座の中で最大(の領域)!
ヘラクレスの犠牲者(笑)、三番目は、ヘスペリデスの黄金のリンゴを守った龍、ラドン。天においては、りゅう座/Draco、と呼ばれます。もっとも、こちらも龍の混同がおきており、いややっぱりアルゴノーツが倒した金毛羊の毛皮を守っていた方の龍(コルキスの龍)じゃないのかって説もあるそうです^_^;
まだまだヘラクレスにやられちゃった怪物は多いのですが、ここで登場したものではあとひとり。それはケルベロス。こちらはコロされてしまったわけではないのですが、生け捕りにされ、地上に引きずり出されたそうです。まぶしー!…ケルベロスが星座にはいないのは、コロされなかったから?いまだに地下にいる?
一方、ケルベロスをも魅了したオルフェウスの竪琴は、こと座/Lyra、として星座になりました。
そして、そのこと座の一等星ヴェガとともに夏の大三角を形作るのがはくちょう座/Cygnus/別名北十字星のデネブとわし座/Aquilaのアルタイル。
はくちょう座は、1月演目にも登場したふたご座/Geminiのカストルとポリュデウケス(ポルックス)を産んだとされるスパルタ王妃のレダ。これまたゼウスの愛人です。いや、愛人というかゼウスが一方的に手を出したというか…。
これに対してわし座はいろんな由来の説があるようですが、そのうちの一説は、プロメテウスの臓腑を喰らい続けるコーカサスの鷲だというもの。本来わし座はハゲワシではないと思うのですが、このプロメテウスの逸話ゆえにgeneはどうしてもこちらのビジュアルを思い浮かべてしまいました。
このほか、このたびは登場していませんが、2013年の外伝 一に登場したペガサス(ペガスス座/Pegasus)とメデューサ(ペルセウス座の一部にあたる変光星アルゴル)、海の魔物ことケートー[海神ポントスの娘です!](くじら座/Cetus)、オリオンと関係の深い、おうし座/Taurus、さそり座/Scorpius、ヒュドラとともにヘラクレスの犠牲者となったかに座/Cancerなど、ギリシア神話に登場する数々の魔物や獣が天空に昇っています。ことしは一年、季節ごとに夜空の神々探し、怪物探しをしてみるのも一興!?
ハーデス、ウラノス、タルタロス
さて。最後に、geneの創作、異伝の部分について。
ハーデスが大地を耕す農耕の神なのではないかということは最初に書きました。農耕神クロノスの本来の長男であり、後に地の底の世界を統べ、秋と冬と春に関わる彼は、シの神などではなく土の神だったのではないかと考えるわけです。
ただ、これとウラノスの融合というのは、まったく理由のない創作です^_^;写真を撮っていたら自然とそうなったといいますか、ホワイトゴーストを冥王に持ってきたかったがゆえにこうなったといいますか、ペルセポネーにガイアを乗り移らせて大地母神の位を継がせるために、オトコ側もそれにあわせてハーデス=ウラノスとしたといいますか^_^; まったく根拠はありません。
一方、ハーデス=タルタロスについては、それなりに理由があります。「ハーデスは冥界を、タルタロスはさらにその下の深淵を」というのは、後にキリスト教などが流行した後に、刑罰の世界としての地獄を、数々の神々や巨人が幽閉されたタルタロスになぞらえたことから、魂の行き着くところである冥界と、刑罰の地が、分離されたことによって生じたと思うのです。
タルタロスとハーデスは、それぞれ別の部族、別の文化、別の時代の信仰だったかもしれませんが、本来は、善悪の価値観などない、生命の行き着くところにして生命の芽生えるところとしての「地」を表していたにすぎないと考えます。微妙な違いはありつつも、共に大地の底を神格化したハーデスとタルタロス。ここでは、ガイア=ペルセポネを媒介として、ひとりの神となりました。
あ、海神ポントス=地中海の神も同一神ってのは、戯言です!!^_^; あれそれさんへのfi?uresシリーズ7再入荷によって入手できた7-12海の神。緑の肌のヘンなやつ。ただ、いまいち威厳のないその下半身ゆえにポセイドンにはしなかったgeneは、後に半魚人カスタムでもやろーかなと検討してましたが、やっぱりそれだけではもったいない!オーケアノスでもネーレウスでもポセイドンでもない海の神の役をあげられないものだろうか?と思いながら撮影していたところ、原初の神のうちの海神ポントスを描いていないことを思い出し、ここに採用。唐突な登場だったため、ムリヤリなこじつけを行って、ハーデスの第四の人格としました。ヒゲがウラノスと色違いです。
陸に暮らすハーデス。たまには海の男ぶってみたいお年頃?(笑)
…以上、ヘシオドス、アポロドーロス、そしてgeneの共作による、
異伝ギリシア神話、でした!
なお、神々や怪物たちの固有名詞のカタカナ表記ですが、かつては長母音なしで書かれるのが一般的でしたが最近は本来の古典ギリシア語の発音に近づけて、たとえばヘーラー、ハーデース、ヘーラクレース、など、かなり長母音モリモリで書かれるようになってきています。Wikipedia日本語版などがそのようになっていますね。ここでは、著名な神々については従前からの長母音なし、そうでないものについては適度に、一部はgeneの趣味で(ハデスでもハーデースでもなくハーデス、ヒュペリーオーンをヒューペリオンなど)勝手に変更していますので本来の表記とはズレが生じています。すみません。正確なカタカナ表記をお知りになりたい方はぜひ、Wikipedia日本語版、ご覧ください。
ではまた。