外伝 二 - 炎の神話 -
さて。神々の世代交代を中心に描いたギリシア神話演目。なんだかハーデスの影に隠れていまひとつパッとしなかったゼウスですが…もちろん単なる遊び人ではなく、れっきとしたオリンポスの主神にして、ちょうどいま天に輝く太陽系第五惑星"Jupiter"。最大の大きさと最高の輝きを誇る、まさに天空の王者です!
というわけで、ゼウスの名誉挽回も兼ね、ひさびさの"外伝"、いきます。
というわけで、ゼウスの名誉挽回も兼ね、ひさびさの"外伝"、いきます。
しかし!!そこはあくまでハーデス推しのこのブログ^_^; 結末は少々アレンジさせていただいて、ハーデスの語るもうひとつのギリシア神話と繋げてみましょう。
では、出でよ、(株)モンスターズ!
外伝 二の一 - 怪物の王 -
なぜなら…
おのれ、ゼウスめ!またしてもわたしのかわいいこどもたちを!!
キーーー!
…そう。オリンポスの神々が着々とその権威を高めていく中、ゼウスは、ガイアの一族にとって、特にガイアのこどもたちにとって、天敵のような存在となっていた。
はじめに"ティタノマキアー"ではティターンズを討ち果たし、冥界の底であるタルタロスに幽閉。次いで、-本編では語られなかったが-"ギガントマキアー"なる第二の戦いでは巨人ギガース族を殲滅。
果たしてゼウスは知っていただろうか。
えーい、ゼウスめ、にくらしい!何が天空の神だ、何が神々の王だ!あのこぞうめ~
よし、こんどはこちらから仕掛けてやろうぞ。わが産み出せし最強の怪物をもってな。
最初の夫だったウラノスとのあいだの子たちはダメだった。でも、こんどの夫、"タルタロス"とのあいだの子たちは一味違うわよ。みてなさい、ゼウス!
みなさい!この、雲突くほどの雄姿を!
数え切れないこのヘビたちを!
(いや、この写真じゃ、蛇頭、三つでしょ…数えられますヨ)
テュポーンよ!
そしてその妻となる妹姫、すべての怪物の母となる存在、エキドナよ!
エキドナ…
共に、ヒトの上半身とヘビの下半身を持った怪物。
とりわけテュポーンは、その頭は星々に届くほどであり、またその尾たる蛇の身体も、のばせばその頭まで届いたという。
頭部あるいは指からは百もの蛇が生え、翼で覆われたその身体は、いかなる神をも震え上がらせる迫力を持っていた。
…もとい…
怪物たちの父と母、
テュポーンとエキドナ!
テュポーンとエキドナ!
やがてその言葉通り、テュポーンとエキドナは数々の恐ろしい怪物たちを産み出す。
ここに、その一族を紹介しよう。
ここに、その一族を紹介しよう。
2.智の魔獣スフィンクス
女の上半身に獅子の下半身。道往く人にナゾかけをしては、答えられなければ喰らってしまったという恐ろしい魔物。
智慧と知識の守護者でもある彼女は、理性的ではあるがやはり、恐ろしい存在であることには変わりない。
なぜかセクシーダイナマイツ気味…。
あと…
アテナに似てるというご意見は承りかねます^_^;
まあ、どっちも賢いってことで。
3.ネメアの獅子
…。地味。以上。
いやいや、何物にも破かれぬ強靭な肌をした巨大なこのライオンは、後にゼウスの息子である英雄ヘラクレスを苦しめることとなるあの獅子。
ただのライオンじゃ、ないんです。
何といっても黄道十二宮にも数えられる、かの「獅子座(Leo)」ですから。
そして、決して、決して、スフィンクスの下半身ではないんです。ええ、一獣二役ですが(正確にはこの後も含めて三役…。)
地獄の番犬ケルベロス
恐らくオルトロスよりも有名なのはこちら。
地獄の番犬。
うーん、なんとも中二受けするフレーズ。
好きな楽器は弦楽器♪
「こと座(Lyra)」
冥府の門番として、ハーデスとペルセポネに愛され、かの詩王オルフェウスの神話においては、竪琴の音にうっとりと眠ったというオサレな一面も持つ、パッと見コワモテ、実は純情派。
しかし油断は禁物です。
なお一説によるとケルベロスの父はテュポーンではなく双頭犬オルトロスだとも。
5.大蛇のような龍ラドン
あるいはコルキスの龍
ラドン。ゴジラと闘ったりはしませんし、放射線治療に使える温泉だったりもしませんが、これまた恐ろしい蛇。
黄金のリンゴの樹を守護する任務に就き、後にネメアの獅子同様、英雄ヘラクレスと対決することとなります。
天にあっては「りゅう座(Draco)」となっています。おそらく、本来は翼はないと思われます。
そして、コルキスにて金毛羊(Golden Fleece)の樹を守護する龍もまた、テュポーンとエキドナの子。
※あるいはこの二つの龍は混同されたものか?
1月演目にて、イアソン率いるアルゴノーツたちと闘ったのがこのドラゴン。つまりこの方もまた、オルフェウスの竪琴のファンの一人。ファンクラブ会員番号的にはこちらのほうが若い?
6.多頭龍ヒュドラ
"レルネーのヒュドラ"と称される龍。
百の蛇の頭を持つとも言われます。
これまたヘラクレスの敵となる怪物。
天にあっては「うみへび座(Hydra)」。
7. コーカサスの鷲
本編にも登場した、ティターンズ一派にしてゼウスの怒りを買ったプロメテウスの臓腑を喰らい続ける恐ろしい鷲。
なお、こちらは「わし座(Aquila)」
…という説もあります。
8.キメラ
そして最後のこども。
スフィンクス、ケルベロスと並んで有名なのがこちらキメラ。
獅子の頭、肩からは山羊の頭、尾は蛇。
後に、伝説や科学などの諸分野で、合成獣や合成植物がキメラと称されたように、西の複合生物の祖とも言える存在。東のヌエにも匹敵。
※そうなんです。この、プレモを複数体同時に撮って合成獣であると見做す、という"pax fantasica"流の撮影方法は、11月演目におけるヌエからはじまりました(笑)
なんとこうみえて女の子。末娘だそうです。
※の割にはキメラの獅子頭といえば大抵オスライオンの描写なのはなぜ!?なぜ!?
以上、われら…
モンスターズインク!
…いやいやいや
ともかく、
怒れる大地母神ガイアが深遠なる大地"タルタロス"とのあいだにもうけた怪物王テュポーンとその妻エキドナ。そのあいだには、こうした数々の伝説の魔獣が産み落とされた。
異形の一族である。
そして、
いざ、リベンジの時は近づいていた…。
はい、ではもう一度!
人面蛇身!有翼!!
テュポーン&エキドナ!
|
地獄の番犬ケルベロス
双頭のオルトロス
多頭龍ヒュドラ
蛇龍ラドン あるいはコルキスの龍 |
ネメアの獅子
(写真再掲)
スフィンクス
コーカサスの鷲
(写真再掲)
そして…いま一度… 天まで届く巨躯は 怪物の父テュポーン!! |
テュポーンとは!?
後に台風/Typhoonの語源ともなったことから、嵐の神、風の神、雨の神、海の神と誤解されがちな彼ですが、実は…
燃え盛る火山の神!!
(カナリア諸島はテネリフェ島のテイデ山をのぞくと)ヨーロッパ最大の火山、紀元前にも再三の大噴火を繰り返し、いまもまだ活動を続ける、3,000m越えの活火山、シチリア島(古典ギリシャ語ではシケリア島)のエトナ火山こそが、テュポーン!!
つまり、天まで届く頭、数多の蛇の首は、突き上げられる火山弾!同じく長大な蛇の尾は、流れ出る溶岩流と土石流!翼持てる姿は?そう、噴出する噴煙!
天を焼き尽くし、星を破壊し続けたというその力は、エトナ山の噴火によって、空が見えなくなった時代の脅威を描写したもの!(…ではないかと…by gene)
やがて、テュポーンはオリンポスに戦いを挑む。すなわち、エトナ山の噴火の被害が遠くギリシャにまで到達し、アテナイも危機に陥ったのだ。
炎弾!噴流!世界は燃え上がる!その猛威は全宇宙に及んだ!!
うーん、これにはオリンポスの神々はもちろん、天空の神であるゼウスもマイッタ!!
消火班、出動!
外伝 二の二 - 神々の王 -
真昼なのに
暗くて前が
見えないぞー
でかすぎるぞー
by ゼウス
テュポーンの猛威の前に、オリンポスの神々も背筋を凍らせました。怯えるあまり、獣の姿に変えてエジプトまで逃げ出す始末。
※ゆえにエジプトの神々は獣の頭部を持っているとも言われるとか。うーん、geneの手元にプレモエジプト編があればアヌビスを持ってこれたのに!残念!もとい、これ、実際にギリシャからエジプトへの疎開があったということでしょうか??
結局、後に残ったのは、ゼウスと、その娘アテナ、息子ディオニュソスだけ…。
お父さま!なんなのこのていたらくは!お父さまもそんな震えて!情けない…神々の王が聞いて飽きれます。これではティターンズもギガンテスもあの世で大笑いしていますわよ!まったく…
う、う、面目ない…
そうだそうだ~オヤジ~なけさないぞ~何やってんだ~
(う、、ディオニュソス、おまえは単に飲んだくれて酔っぱらいすぎて、何が起きたかわかってないだけだろーが、このバカ息子め…)
お父さま、ブツブツ言ってないで少しいいところ、魅せてくださいます?
う、、うん。アテナはパパにも厳しいんだね。。。
当然です!
おや?お父さまあれは…?
あ、あれは、牧神パーンか…
あのバカ…何やってんだか…上半身はヤギ、下半身はサカナ?もしかして、山に逃げるか海に逃げるか迷って決断できなかったと?で結局山に逃げて、サカナの鰭で四苦八苦しながら岩山を登っていると??
わははー。バカだバカだー。
ヤギと煙とバカは…
ディオニュソス!やかましいぞ!
そろそろ酔いを醒ませ!
…へーい。
…まったく。。
慌てるあまり半山羊半魚の姿と化してしまった牧神パーン。
「やぎ座(Capricornus)」です。
とにかくお父さま、なんとかしてください。これではギリシアは、いえ、世界はおしまい。このまま闇に包まれたままです。さあ、いまこそ、そのお力を解き放つとき!
解き放つときkyyyyy!…ヒック…ヒック
あーーーー!わかったわかったわかった。まあ任せとけって。
テュポーンよ!我はゼウス!怪物の王と神々の王、いずれが力ある存在か、闇と光、炎と雷、いずれがこの世界を統べるにふさわしいか、いまこそ決めようぞ。いざ尋常に…勝負!!
キュクロープスの雷霆よ、
頼んだぞ!
雷撃!!
バリバリバリ!
…。
なんかかすった?
かゆいね…
カイカイカイ…
…。まったく効いてないみたいだね…(T_T)
ではこんどはこちらの番。
炎!
煙!
岩!
そして闇!!
戦いは全宇宙にまでおよび、世界は焼き尽くされ、崩壊した。混沌と闇の世界が、秩序と光の世界に取って代わらんとしていた…そう、ゼウスは劣勢だった…。
う、うわーー!!
痛ーーーーい!
…ぐっ
イタイ…
イタすぎる…
なんだか腕も脚も動かない…。何がどうなってるんだ…?
ゼウス、絶体絶命のピンチ!
だがその時!アイツが戻ってきた!
シュタタタタタッ!
プレイアデス七姉妹の長女たるマイアとゼウスとのあいだの子。
ゼウスが正妻ヘラの閨から夜中こっそり抜け出したことで盗賊の才を、マイアとの仲をヘラに隠し通したことでウソツキ詐欺師の才を授かった、ゼウスの伝令たる俊足の神、若きオリンポスのスプリンター。
その名はヘルメス!!
…なんだか犯罪者っぽい言い方をしないでください(T_T) by ヘルメス
とにかく!
俊足のヘルメス、参上!!
俊足のヘルメス、参上!!
オヤジ!どうした!?
あー、こりゃダメだ。手足の腱が切れてるよ。っていうか無くなってるよ。これじゃ動けないわな。
…って、冷静に言ってる場合か、おれ!やばいよこれは!オヤジの腱を探さなきゃ、テュポーンを止められないぞ!
てーへんだ!
てーへんだ!
てーへんだ!
てやんでい!
腱はどこだ!
腱はどこだ!
腱はどこだああ!
シュタタタタ!
シュタタタタ!
…おや?
やあ、君は、いつも牧場でボクと駆けっこしていた牧神パーン君じゃない?なんなのその情けない格好は…。それじゃあ走れないでしょ。なんでまたサカナなんかになったのさ…。
え?テュポーンが怖くて慌ててたらそんななったって?
…バカ…
って、そんなことより、たいへんなんだよ。オヤジが、ゼウス王が、脚と腕の腱を切られて奪われたんだ。つまりオヤジもいま身動きできないってこと。君、何か知らない?
ベエエエ…
ベエエエ…
いや、ヤギ語はわかんないよ。ちゃんとギリシャ語で喋って…
…うん。
…うん。
…うん。…なーにー!
知ってるって!?
オヤジの腱がどこに持っていかれたか、知ってるって!?
頼む、パーン!そこまで案内してくれっ
…そして頼む、パーン!
…もうちょっと早く走って…(T_T)
(しばらく走り…もとい泳ぎ?続け…)
はあはあはあ。
この島か…。まさかトライアスロンだとは思わなかったよ。鎧を着ての水泳はキツい。君が魚の尾を手に入れていたのはこのためだったんだね。。バカにしてわるかったよ。さすがは我がライバル、パーン。水陸両用にエヴォルヴィングしたんだね!
で、こいつがオヤジの腱を?って…
う、うわっ!お、おまえはエキドナ!?テュポーンの妻のエキドナ!?
…あ、そう。違うの。ホッ。
デルピュネー?君もあの二人の娘で、エキドナと同じ半女半蛇の姿なの?ややこしいなぁ。でもそんなら怖くないや。わるいけどその腱、返してもらうよ!牛スジとマツガエておでんに入れたりしないでよっ
よし!奪還!
シュタタタタッ!
おおおっと!行き過ぎた!
バックオーライ、
シュタタタッ!
オヤジ!取り戻してきたぜ!起きてくれ、もう一度、立ち上がってくれ!
立て、立つんだ、ゼウスーーーーー!
おおおおおお!
ヘルメース!父さんを呼び捨てにするなーー!だが、わしを復活させてくれて、ありがとうな!!(T_T)
お、オヤジ、あたりまえだぜ(T_T)
よーし、これでもう一度闘える。
いざ、リベンジ!!
バリバリバリ!
バリバリバリ!
ゼウス、、、やるわね
by ガイア
エキドナ、キメラ、ヒュドラ、そして鷲も参戦。
※神話ではテュポーンはひとりで戦っています。すみません。
怪物どもよ、タルタロスへ
去れ!
ピカピーーーー!
ぐ、ぐわーーー
ギャギャア
ギャギャア
by 鷲
まずいわね。。。さすがにテュポーン父さまもこれではまずい。。。
も、最早これまでか。。。おばあ様、ここはひとつ…ご英断を!!
by スフィンクス
その時!!!
それが、ふたたび、顕れたのだった。
外伝 二の三 - 大地の王 -
オオオーーーン!! |
な、なんだなんだ!? こ、これは!! またか~!? |
待て、ゼウス!
お、お前は、ハーデス!?またその怪神モードか?どうしたんだ!?ウラノスとの融合で、おとなしい冥界のジジイ神になったんじゃなかったのか!?
我が名は…
我が名は…
"タルタロス"!!
なにっ!?
冥府の更に底、地下のそのまた地下に存する、永劫の闇、深き深き地、昏き昏き地、ティターンズ、ギガンテス、ヘカトンケイレス、キュークロプスらが封じられし、この世の深遠。奈落。それこそが我、"タルタロス"!!
なんだと・・・!?
我は、きさまの兄にして弟であるハーデスの内に潜みしもうひとつの人格。ハーデス自身すら気付かぬ深き深き心の奥底に眠る第二の人格。その名も"タルタロス"。
ハーデスが産まれるよりもさらに前にこの世界に存在し、かの大地の神クロノスが次なる大地の神ハーデスを産み出しし時、その心と融合を果たした、深き冥府の神。
な、なんだと…。ハーデスのうちに"タルタロス"が… はっ!ということは!?
そうだ、ゼウス。さすがに察しが良いな。かつて、冥府において原初天空神ウラノスとの融合を果たしたハーデスは、いまや其の身のうちに、ハーデス、ウラノス、そしてタルタロスという三つの人格、いや神格を併せ持つ神へと進化したのだ。Evolving!!
…ディンドンディンドン…
Evolving!!
…そんな…
そして察しのとおり、ガイアとタルタロスの婚姻とはすなわち、ペルセポネとハーデスの婚姻と相似形。大地母神と大地の神の結びつきは時空を超えて繰り返されるッ。
テュポーンは、エキドナは、、、
わしら・わたしたち
の子なのだよ、
ゼウス。
ま、まじか…
それで、ガイアには、ウラノスとタルタロスという二人の夫がいるようにカンチガイされたのか…。実際は、ウラノスも、タルタロスも、いまや共にハーデスの中に宿った魂…。そして母なるはペルセポネ…
Yes,
I am!!!
さてゼウスよ。
すべてがわかったところで、和平交渉、停戦といこうではないか。
テュポーンを、コロさないでくれまいか。
いや、それは…アニキであり弟でもあり、それにじっちゃんでもあるあなたの言うことは聞いてやりたいが、ハーデス。いやウラノス。いやタルタロス。(あー、ややこしいぞ。)あれはさすがにキケンすぎる。このままではわしらオリンポスだけではなく、世界も、いや全宇宙も崩壊してしまう。それではさすがに困る。
うむ。それももっともだ。ではこういうのはどうだ。
テュポーンは、なんじが封印してくれ。そうだな、あの山の下敷きにしてはどうか。かの、"シケリア"の島にあるあの巨山の下ならば、あの子も暴れるわけにはいくまい。
…あの子って…
あれをおとなしくさせられるのだ、ワルい話ではなかろう。それとも何か?おまえはあれを弑するだけの力があると??ニヤニヤ
…う、コンニャロ…
ハッハッハ
心配には及ばぬ。テュポーンをエトナ山の下に封じ、おまえの息子、ヘパイストスに見張らせればよい。やつは炎の扱いに長けておる。きっと、テュポーンともうまくやってくれるし、その炎の力をもってよきことに使ってくれよう。よい子だ、あれは。
ま、、まあ、ハーデスったら、ヘパイストスを褒めてくれるなんて、なかなかいい子じゃないの。それに比べてうちのダンナときたら、アテナばっかりひいきして…ブツブツブツ
そしてな、その代わりと言っては何だが、エキドナと、その子たち、オルトロス、スフィンクス、ネメアの獅子、ケルベロス、ラドン、ヒュドラ、鷲、そしてキメラは、無罪放免としてもらおう。
何が代わりだ!!なんだかそっちにばっかりいい条件じゃないか!?
いやいや、そうでもないぞ。彼女たちはお主や、神々や、人類のためにもなるのだ。
何っ!?
これより先、なんじやポセイドンは多くの英雄たちを、産み、あるいは育てるだろう。その中からは、人々を導く王も出る。
しかしな、力なき者や、分別なき者、勇気足らぬ者や慈悲無き者、あるいは未熟なる者が、その中に混じり込まんとも限らん。そのような時、何が必要となる?ゼウスよ。
…うーん、そうだなー…試練、とか?
そうだ。わしもそれがよいと思う。英雄たる者、試練を乗り越え、その力を示してはじめて、人々の信頼と神々の加護を得られるべき。して、その試練をおぬしはどのように用意する?
…なるほどー
そうだ。この者たちは、いわば試金石だ。登竜門だ。
やがて産まれる、ヘラクレス、オリオン、イアソン、オルフェウス、それにペルセウスらの試練として。わが妻ガイアと海神ポントスのあいだの子たるポルキュースとケートーの子孫たちや、もうひとつの獅子と共にな。。。
(って実は地中海そのものたる海神ポントスってのも、ハーデスのもうひとつの人格だったりして。イケメンで海の男なアニキ ポセイドンに密かに憧れたハーデスがみずから産み出したもうひとつの人格、ってね なにせ、「地」中海、Medi"terra"nean Seaだから。大地の中に包まれし海さ。 ペロッ)
うーん。。。なんだかうまく丸め込まれたような気はするが…よしっ、わかった!それで手を打とう。テュポーンは封印!そしてその家族は、無罪放免、これでよいな!
…ゼウスよ、ご理解、感謝する。
テュポーンはそもそもわれら大地より産まれし子。また大地に還るのが一番よいのだ。
テマをかけたな。
では、また会おう。
さらばだ…
封…
…印!!
…こうして…
テュポーンはエトナ火山の下に封じられた。
ヘパイストスはテュポーンとそれなりにうまくやり、
その炎の力を文明へと転じて鍛冶師となった。
そしてエキドナとそのこどもたちは、
この世界に放たれた…
やがて来る、英雄たちの試練の時まで…
わたくしは旅人を試しますわヨ
ホホホ
by スフィンクス
ギャギャア
ギャギャア
(もつもつ)
(火、返せ。火、返せ。)
by コーカサスの鷲
…。もうイヤ…。
by プロメテウス
- 外伝 炎の神話 -
- 完 -
ジャンジャンジャン♪
ジャンジャンジャン♪
アーアーアー♪
アーアーアー♪
ゼウス・ドーターズ・バンド "THE MUSES" |
バババーーーン♪(エンディングテーマ)
って、おい!結局おれは、いいとこなかったじゃないかーーー!?
ハーデスばっかり、いいカッコしすぎじゃないか~?
炎の神話?聞いてないぞ!雷の神話をやってくれ~
テュポーン!ヘパイストス!プロメテウス!は、謀ったな~
(ま、でも、アテナ、ディオニュソス、何よりヘルメス、ヘパイストスたち、つまりゼウスファミリーは、
ちゃーんと活躍シーンがあったでしょ?)
むかーしむかし あったと さ
おかしな家族が おったと さ
チャンチャン