Jun 2015 - Chapter 4
ヨーグルトとクミス、それにワインの歴史についてはよーくわかったものの、いっこうに「蘇」のナゾに迫ってくれないマルヴァ博士とヤキモキする崔准教授。いったい、「蘇」はいかにして、熟れ鮨からチーズへ変容したのか??そろそろ答えは明かされるのか?
『PBC 地球伝説 - ちいさなちいさないきもの』 お話はまだまだ続きます。
第四章 遥かなる乳酸菌の旅
(ブルガリアヨーグルトにグルジアワイン。面白かったな。
…でも、いったいいつになったら「蘇」の話に…
あ、あれ?またウシが?そしてこんどは、ブルガリアの人たちじゃなくって、あれは、、、インドの?)
インドの山奥で!
乳酸菌が!?
…崔さん、何言ってるんですか。インドでも、乳酸菌はもちろん、大活躍してたんですよ。
なにせインドは、スキタイが侵入した地ですし、ペルシアとも隣接。そして、ウシやウシの乳を聖なるものとする文化のある地域。
牛乳の発酵食品がないほうが、フシギじゃあありません?
た、確かに…。
そもそもインドの神話、ヴェーダでは、世界は、"乳海撹拌/Samundra manthan"と呼ばれる行為によって天地が創造されたとされています。
え!乳を撹拌!?
そう、よく気が付かれましたね。さすがは人類学を専攻する崔准教授。そうです。乳を撹拌するという行為は、ブルガリアにおけるヨーグルトの製造と同じ。トルコ語におけるヨーグルトの語源とも同じ。そしてスキタイによるクミスも、また。つまりまさに、乳酸発酵を促しうる行為なわけです。
この"乳海撹拌"は、神々の不老不死の霊薬と呼ばれた"アムリタ"を製造するために、デーヴァ神族がアスラ神族の力を借りて行った作業だとされます。完成したアムリタをめぐってのラーフ、ケートゥ、そしてヴィシュヌ神とチャクラムの神話が近年では有名になっていますが、これ、牛乳の乳酸発酵のことですよね。
ええ、だってインドのアスラ神族といえば、お隣のイラン/ペルシアのゾロアスター教の光の神、アフラ=マズダーであるわけですから、インドとイランとが共に行っていた行為、すなわち、、、
そう、恐らくはBMACあるいはアンドロノヴォ文化まで遡れる、乳酸発酵です。ちなみに乳海撹拌は、枝ではなくて山を使って^_^;かきまぜていますが、これ、山野にLactobatillus属が遍在していることを考えれば、当然、発酵しちゃうってことがわかりますよね。牛乳をかき混ぜて固形化してつくるものにはクリームもありますが、山でかきまぜたらクリームではなくてヨーグルトができるはずです。
な、なるほど…。いや、山でかき混ぜはしなかったと思いますが、、ということは、誰しもが求めていた"アムリタ"の正体は…
ええ、おそらく、ある種のヨーグルトでしょうね。
まーじーかー!!
『ツグマ・フォース サカの神酒』で知られるかのソーマ(ハオマ)の描写でも、マオウ科と思われる植物のほか、牛乳、バターなどがもちいられるともあり、古代インドでヨーグルトとハチミツが神々の食べ物とされていたという見解もあり、まあ、専門的なことは省略しますがおそらくアムリタは牛乳の発酵食品であることはマツガいありません。
そして、こうした古代インドの牛乳の発酵文化は、ヴェーダ、バラモン、つまりはヒンドゥー系の宗教だけではなく、仏教においてもまた採りいれられていきました。
「酪」という文字は現代では、クリームあるいはチーズまたはクミス(馬乳酒)を表すとされていますが、この「酪」、実は例の「蘇」と並ぶ、古代のニッポンにおける酪農乳酸発酵食品なんです。
へ~
崔さんは、"五味"という言葉を聞いたことがありますか?
五味ですか?ニッポンには五味という姓の方がいますよね。わたしも一度お会いしたことがありますが。。
ええ、もともと五味とは、仏教において、牛や羊の乳の精製の過程における五つの段階を示す語として、ニッポンに入ってきました。『大般涅槃経』すなわちマハーパリニルヴァーナ・スートラに出てくる、"五味相生の譬"というのがその由来になりますが、これは仏教におけるさまざまな教えの尊さの度合いを、酪農製品に例えたものです。
そこにはチウゴク語で「從牛出乳 從乳出酪 從酪出生蘇 從生蘇出熟蘇 從熟蘇出醍醐 醍醐最上」、ニッポン語で訳すと「牛より乳を出し、乳より酪を出し、酪より生酥を出し、生酥より熟酥を出し、熟酥より醍醐を出す、醍醐は最上なり。」と書かれています。
なるほど、「乳」「酪」「生酥」「熟酥」「醍醐」という五つの段階があるというのですね?あれ?醍醐っていうと…
そう、ニッポンの天皇の名前にも二度ほど登場していますが、むしろ、「醍醐味」っていう言葉のほうが有名ですよね。
ええ、土俵際の駆け引きは相撲の醍醐味!ネリチャギはテコンドーの醍醐味!ですね!
…ま、まあそんな感じで。。。
つまり、"醍醐味"というのは、酪農製品の中でも最上級である「醍醐」の味だってことなんですね。
はい。醍醐天皇はその味を好んだことから、この諡号が贈られたと言われています。
で、その「醍醐」っていうのはいったいどんな食べ物だったんですか?
それが、、、実はまだわかっていないのです。
ええっ?
長い長い歴史の中、その製法は喪われ、いまも多くの方々が、醍醐がなんだったのか、研究をしています。バターのようだ、いやカルピスだ、ヨーグルトだ、レアチーズである「(生)酥」を熟成させ(た「熟酥」をさらに熟成させ)たものだ、などなど。まあ五味の説明からは確かに、酪を酥にしてさらに熟成させると醍醐になるわけですが、、
違うんですか?
わたしは三つ、あるいは四つの可能性があると考えています。
(1)まずひとつは、ニッポンで定説、通説となっている考え方。これは、ニッポンの法律集である延喜式という書物に、租税として規定されていた「蘇」の作り方が記録されており、それに従った理解です。これによると「蘇」とは、ラムスデン現象によって牛乳に形成される膜を箸や竹串を使ってすくい取って集めたもので、カッテージチーズのような味わいがあるとされています。[詳しくはこちら]。
この場合、「生蘇」がよりフレッシュなチーズで、「熟蘇」はそれを熟成させたもの。そして最後に「醍醐」は更にその発酵を進めたチーズだと考えられます。しかしこの考え方ではいまだ、「醍醐」がどのようにつくられるのか、それに「蘇」の基となるという「酪」は何なのかについては明らかにされていません。
うーん、チーズ説は苦戦しているわけですか。。でも、かき混ぜるのに使った箸、竹串ってのはおもしろいですね。そこにLactobacillusがいたかも…。そいつが発酵を進めたために、「蘇」がだんだんと熟成したとか…。
へー、さすが崔さん、おもしろい。そこは研究の余地がありそうですネ。
(2)二つめは、英語圏で受け入れられている考え方でしょうか。「酥」は、英語圏では、バターのことだと考えられています。この場合、「酪」をクリームだとする同じく英語圏の理解とも一致します。まずは牛乳を撹拌してクリームを作り、そこからバター(「生酥」)を作り、さらにそれを熟成、すなわち発酵させていくことで、発酵バターとしての「熟酥」、そして「醍醐」という段階を進んでいく。この場合、「醍醐」は、南インド地方で作られる、純粋な乳脂肪たる発酵無塩バター、"ghee"を指している可能性が考えられますね。"ghee"のgの音と、「醍醐」のgoの音のつながりも気になります。
な、なるほど!
(3)三つめは、このいずれでもない新しい考え方。それは、「酪」を、チーズでもクリームでもなく、ヨーグルトではないかと考えてみることからはじまります。いや、もっと正確には、クミスと。
英語圏では、「酪」の文字を、チーズ、クリーム、あるいはクミスを指す文字だと理解しています。もしクミス説-いえ、正確には馬ではなくて牛の乳を使ったクミス的ななにか-を採るなら、そこにはLactobacillus属の細菌の作用が想定されます。これをより熟成させることで、「生酥」「熟酥」そして「醍醐」となる。あるいは「醍醐」とは、Lactobacillus属による乳酸発酵と、酵母菌によるアルコール発酵が共にある段階まで進んだもの、つまり、ラッシーのようであり、ヨーグルトのようであり、クミスのようなものであったかもしれません。
現在インド圏で、「ダヒ/dahi」と呼ばれる一種のヨーグルトが作られています。たとえばベンガルやバングラデシュで愛されているデザート、mitha dahiがそれです。これ、かの有名なラッシーの材料にもなるインド及び南アジア一帯の伝統的な乳製品なんですが、古代の時代には神々に供する"panchamrita"(アムリタ!)を構成する五つの食物のうちの一つとして作られていたものでそた。ちなみに残る4つは、ハチミツ、砂糖、牛乳、そして"ghee"(バター)です。ここからも、インドの宗教儀式における重要な乳製品として、ヨーグルト系の"dahi"は忘れてはならないものだったといえるでしょう。「醍醐」のdaiは、"dahi"の転訛の可能性がありますね。
ほほう!「醐」="ghee"も面白いですが、「醍」="dahi"のほうがもっとそれっぽいですね。
ええ、dahiは地域によっては、doiなどとも呼ばれており、hの音が抜ける過程があったことは証明され得ますしね。
五味の考え方では、順に精製を重ねていくことでより高級な乳製品が産まれるように書かれていますが、これは経典の議論を進める上での方便のようなリクツかもしれません。もしかすると5つの乳製品は、別個の製法で作られるものであり、その味の優劣、あるいは人気のあるなしを語ったものかもしれません。
この場合、ミルク、カッテージチーズ、通常のチーズ、バター、発酵バター、ヨーグルト、アルコール発酵ヨーグルト、などが候補として考えられるでしょう。
うーん、なかなか、どれと結論を出すのが難しいですね。
※ちなみにdahiは、英語ではBuffalo Curdとも呼ばれますが、curdはフレッシュチーズの一種で、乳酸菌ではなくレンネットなどの酵素により凝固したものですので、本来はまったく別物。このcurdという言葉は、たとえば豆腐を表すsoy bean curdという語にも表れるように、ベンリに転用されている語なので注意が必要です。むしろダヒは、テュルク諸族のヨーグルトと似ているいう人もおり、例えば英語版Wikipediaではヨーグルトの一種として紹介されています。
お、お姉ちゃんっ!?
さきほどの音韻転訛にしても、「醐」の音と"ghee"の音を結びつけるのは少々難しいかと。
現在フーと発音される「胡」という文字は、いわゆる漢音では"ko"、呉音では"gu"、"go"と読まれていたようですね。ニッポンの仏教用語では呉音が使われることが多いですが、これはかなり旧い時代にニッポンに伝わった音ですよね?実際には、『大般涅槃経』が伝わった頃には、チウゴクにおいてgの音で読まれてはいなかったのではないでしょうか。
またご存じのように「胡」という文字は、胡人、胡服、胡弓、胡坐、東胡、湖など、中央アジアから北東アジア方面を示す言葉に使われます。"ghee"はインドでも南の方の地方で作られるもの。仮にこの"ghee"が、南インドから北インド、そしてクチャなどのシルクロード諸都市を経てチウゴクやニッポンに伝わったのだとしてそれ故に「醐」と呼ばれたのだとして、それならばなぜ北インドや中央アジアに"ghee"が残っていないのか、フシギです。
そうですね、ボクも、「醐」="ghee"説よりも、「醍」="dahi"説のほうを支持したいところです。それにしてもマルヴァさんもファラウェイさんも、人類学者のボクも顔負けですねえ。漢字の知識も豊富ですし、まるで、発酵学者と経済学者というよりも発酵史学者、発酵言語学者みたいですね!
…それ、褒めてないですよね…。
ところで崔さん、「醍醐」のナゾはさておき、「蘇」のナゾについては既にここで解き明かされているのにお気づき?
え!?い、いつのまに!!
さきほどの『大般涅槃経』、よーくみてくださいな。
- 「從牛出乳 從乳出酪 從酪出生蘇
從生蘇出熟蘇 從熟蘇出醍醐 醍醐最上」 - 「牛より乳を出し、乳より酪を出し、
酪より生酥を出し、生酥より熟酥を出し、
熟酥より醍醐を出す、醍醐は最上なり。」
あ!漢文の方は「蘇」って書いてあるのに、訳した和文では「酥」になっている!?
ええ、その通りです。この文字、「蘇」と「酥」は、音も、またその一部に「禾」を含む点も同じ。つまり、どこかで入れ違ったのではないでしょうか?
確かに…。マツガエやすそうですね。でも、漢文で「蘇」、和文で「酥」なのは何だか逆な気がしますが…。
ええ。そこはわたしもフシギでした。もしかすると、『大般涅槃経』がインドからチウゴクを経てニッポンに伝わる過程で、一度チウゴクでは「蘇」の文字が使われたものの、当時「蘇」を熟れ鮨の意味として使っていたニッポンでは、違和感があり、ほかの「酪」や「醍醐」とあわせた「酥」に直したのかもしれません。(※漢文・和文の参照元がWikipediaのみなのでいつどの文字が使われたのか不明…。)
なーるーほーどー。
いずれにせよ、本来、チーズを表すには「酥」の文字が適切だったところ、「蘇」の文字が誤って使われる場合があったために、徐々に、蘇はチーズである、というマツガった理解が広まったのではないでしょうか?
ええ!そうですね!わたしもそう思います!鮒寿司でもタマゴの部分はチーズのような味がします。恐らく、両者が混同されていったのでしょうね。でも、本来は、チーズは「酥」であり、「蘇」は熟れ鮨だった。なーるーほーどー。
…ところで、、、崔ディレクター、、
わたくし、このテーマはニッポンの奈良時代から平安時代が舞台になるとお話しておいたはずですが、このセットは、、、これ、明らかに戦国時代ですよね。。。
キヨマサ、マサノリ、
それにジブ&ギョーブ…
う、スミマセン…
平安貴族とかいなかったので…
あと、あそこにまだツァー・アレクサンデルさんがいらっしゃるのは、なぜ?
う、うむ、わし、トルコとニッポンのことになるとどうも気になってな…。すまぬ…。
まあ、いいんですが。。。
ここでもう一度、古代のインドからチウゴク、そしてニッポンにおける酪農乳酸発酵品について振り返ってみましょう。
注目すべきは「酪」です。
クリームなのかチーズなのか、それともクミスすなわち一種のヨーグルトなのか。
重要なのはその音、つまり漢字のつくりの部分です。これ、「各」の文字はインド=ヨーロッパ語におけるlacを表したものだと思うのですね。ラテン語でミルクを表すlac、lactis、と、チウゴク語の「酪」。これが一致している。
あ!ホントだ!
ここにわたしが、「酪」=ヨーグルトの可能性を考えたきっかけがありました。乳酸発酵の最も基本的な姿であり、五味の中でも初期段階におかれている「酪」。それは、単に牛乳をかきまぜてできたクリームではなく、おそらく乳海撹拌でうっかりできちゃったヨーグルトであり、アムリタであり、さらに遡るなら、インドとイラン、いや、インド・イラニアンとヨーロピアンが別たれる以前のBMACから持て来ったLactobacillus属の種菌による発酵だったのではないでしょうか。有名なインド・ヨーロピアン・マイグレーション。その中心地にあるのは…
確かに!そこはLactobacillus delbrueskii subsp. bulgaricusの故郷、バルカン、黒海、カスピ海地域!
どうでしょう?
インド文明、ヒンドゥー、そして仏教における酪農発酵食品の基本形は、実はバターやチーズではなく、まずヨーグルトだった、と考えることはできないでしょうか!
ハイっ!おもしろい!
ただ、、、牛乳を撹拌して泡立ててクリームを作り、それを発酵させてバターにして、熟成させる、ということも可能ですし、バターそれ自身の歴史もヨーグルトに負けず劣らず旧いもの。
そしてlac=酪だとしても、lacはミルクのことだったのだから、それはあくまで、「インド・ヨーロピアン系の牛乳の発酵食品を指す」という以上のことは言えないわね。
それだけでは、定説となっている「酪=クリーム、酥=バター」説をカンゼンに否定できるわけではないと思いますヨ、マルヴァ。まだまだ研究不足ネ。
マ、、いや、おばあちゃん。
(確かに。。鍵は、乳海撹拌の枝にブルガリクスあるいはその縁者がいたのかどうか、か…。)
マルヴァ。あなたカニンガム=ウォルフ家はみんなリケ女なんだから、漢字や歴史にばっかり夢中になってないで、菌株の分離や同定を行って研究してみたらどうなの?
…う、たしかに…。それもそうか…。
(ば、番組撮影中に仮説に没頭しないでくださいっ!)
と、ところでマルヴァさん、さきほど登場した「クミス/kumis/馬乳酒」ですが、、、あれって、おもしろいですね。乳酸菌による発酵と、酵母による発酵。乳酸発酵とアルコール発酵。その両方が同時におこるなんて。あれって、チウゴクや韓国、それにニッポンには伝わらなかったのですか?乳酸発酵の作用を活用したお酒というとボクは、マッコリを思い浮かべますが…。
いい質問ですね。乳酸の味わいがハッキリとわかるマッコリだけでなく、ニッポンの日本酒作りでも乳酸発酵は役立っていますね。
ただ、馬の乳から作るクミスの製法と、米を醸造して作るマッコリや日本酒の製法は、まったく異なるものですので、直接の関係は考えにくいと思います。むしろわたしは、クミスは、「酪」あるいは「醍醐」として、チウゴクやニッポンに伝わったのではないかと考え始めました。
え?というと?
かつて、そして現代も。
草原を旅したモンゴル系やテュルク系の諸族は、馬の乳を撹拌させ、種菌を加えて発酵させた酒、すなわち馬乳酒/Kumisを愉しみました。
これがいったいいつごろから始まったものなのか、定かではありません。
乳酸とアルコールを同時に生成する、ある意味、発酵のハイブリッド。崔さんのおっしゃるように、これにはLactobasillus属の細菌と酵母の両方が関わっています。
そして、この馬乳酒は実は、かなり早い時代に、仏教と結びついてチウゴクやニッポンにもたらされていたのではないでしょうか?
ええっ?
チウゴクへの仏教伝来では、亀茲(クチャ)にいた仏僧鳩摩羅什/Kumarajivaをはじめ、シルクロード諸国の影響が極めて強かった。
それに、ニッポンにおける仏教の伝来は、崔さん、あなたの故郷でもある韓国全羅南道にあった百済を経てなされたとされていますね?
ええ。そういう記録があります。実際はどうだったかわかりませんが。
その後、いわゆる奈良時代を通じて、ニッポンにおける仏教はどうなりましたか?
えーと、確か、最初の伝来が記録上538年で、その頃はチウゴクは南北朝時代で、ニッポンには南朝と北朝の両方から仏教が伝わって、仏像の型式なんかも二通りあって…あ!まさか!
そう。その頃のチウゴクの華北地域は、拓跋鮮卑の建国した北魏、そしてその流れを汲む東魏、西魏、次いで北周、北斉へと続いていった時代、ちょうど隋の建国の前ですよね。
そうです、そして、拓跋部を含む鮮卑とは…
ええ、モンゴル系の部族です。また、外戚として知られた独狐部は鮮卑化した匈奴。それどころか、隋の楊氏、唐の李氏もまた、北方の遊牧民族系の一族だったと言われていますね。
と、ということは、、、チウゴクやニッポンへの仏教伝来、そこにおける「酪」「酥」「醍醐」などの伝来を支えたのは、テュルク系やモンゴル系の騎馬民族で、ゆえにそこには、クミスの存在が見え隠れする、、、と、こういうわけですか??
そのとーり!だ・か・ら・。。
なるほど!だから、「醍醐」は、
酉是酉「胡」、なんだっ!
そうっ!
(き、決まったワ)
マルヴァ、、、そんなに焦らないで…。
う、うん。
…ところでマルヴァ博士。。
タイヘンおもしろい仮説をたくさん聴かせていただいたのですが、、、例えば「醍醐」が本来は何と呼ばれるものだったのかって、それ、『大般涅槃経』のサンスクリット語あるいはパーリ語の原典にあたればわかるんじゃ…。
「醍醐」って、漢字、その元になった語がなんなのか、どうして調べなかった…
え??
ボク、何かヘンなこと聞いた??
。。。
わーたーしーはー!サンスクリット語が読めないのよっ!
「菌」っていう字が、穀物を発酵させてる姿、つまりコウジカビのことだって気付いて興味を持って、チウゴク語とニッポン語はベンキョウしたけど、インドまでは手が回らなかったのよ!!そこ、指摘するなーー!!Wikipediaも、インド諸語版読めないのよ!!ワルいかっ!
え?
え?
言っちゃまずかったの??
このー、鈍感!
気付いてよ!
え、え~そんな~
コラー!崔!待て!
ひー
たーすーけーてー
オーガスタさーん、
ユージェニーさーん、
ファラウェイさーん、
ファイアさーん!
ひ~(T_T)
お姉ちゃん、研究サボって漢字と事典ばっかり読んでるからよ。
ちゃんと実験室で、菌たちと向き合わないとね。
チャンチャン