2016年1月16日土曜日

Jan 2016 MONKEY FANTASTIC! 03 


ナゾの昆虫系ヒューマノイドやホーンブラザーズ、その主人、太上老君グランド・オールド・マスター。因縁のライバル、ジローとナタ。ややこしいキャラの登場でしばし中断してしまったゴクウの旅。はたしてゴクウは、オニキスたち一行の元に戻ることができるのか?そしてオニキスたち一行はどこに?

『Space Journey to the West』、第三回配本、いよいよ物語は脇道から戻ってその核心に迫ります。それでは引き続いて、はじまりはじまり~





第十一回 炎の山に魔物が集う の巻

ゴオ
ゴオ
ゴオ

燃え盛る炎…

そこは…

おうし座のタウラス王国の首都、アルデバラン。燃える恒星にほど近い、熱き惑星。

ヒト呼んで… 

マウント・ファイヤー…。


そこには、海賊王キング・バッファローに従う、彼らがいた…



焼ーけたSun tannedの
         ハーダにー♪

レディ・ブロンズ、レディ・カッパー、いいわヨ。もっとワラワを讃える歌を、高らかに歌い上げなさい!さあ、扇もケイキよくジャンジャン振って!

ハーイ、公主サマっ。



彼女の名は、プリンセス・アイアン(鉄扇公主)。

海賊王バッファローの第一夫人にして、彼がまだキャプテン・バイソンと名乗っていた頃から、太陽風を帆に受け星の大海を共に旅してきた戦友。その肌は、外宇宙の紫外線を浴びまくって浅黒く焼けていた。

そう、彼女はその黒い肌が、自慢だった。ゆえに、お付きの女たちも日焼ガールズで揃えていた。彼女たちは、レディ・ブロンズとレディ・カッパー。姉妹である。青銅、赤銅の肌を持った、歌い手にして踊り子。プリンセス・アイアンお気に入りの、喜び組だった。彼女たち三人はそろって、クラブ…ではなく懐かしのディスコ好きだった…。チャーンチャーンチャチャチャ♪ チャーンチャーンチャチャチャ♪

しかしこのところアイアンには、ちょっとした、いやかなりのフマンが溜まっていた。その原因は…

そう、キング・バッファローの寵愛の行方だ。


第二夫人、プリンセス・ジェイド(玉面公主)。

畏れ多くも前天帝家と同じ名をみずからにつけたこのナマイキな女も、元は海賊だったらしい。いつの頃かどこからかアルデバラン星系に現れ、そのただただカワイイだけの容姿で王を虜にした。

当然、糟糠の妻と呼ばれるべき立場のアイアンは面白くない。

ジェイドは顔が白く、アイアンは黒い。「面白い」「面白くない」という言葉はここからうまれた(…なワケあるか!!)

プリンセス・ジェイド。幼い頃には転校してきた同級生に初日からコーヒーをぶちまけたこともあるほどの性悪な彼女の正体は、、、、玉面狸、すなわち、ハクビシンだった(たぶん)。



第十二回 魔物、相争う の巻 


あら、お義姉さま。またそんなところで取り巻きたちとパーティなの?これだから元ギャルは…

国王陛下は着々と計画を進めていらっしゃるというのに、そんなことでよいの?

ジェイド、おだまりっ。このナマイキ娘め。たかが第二夫人のあなたが国政に口を出すとは何事かっ。

そうですよ、ジェイドさま、それは越権ですよ。




それにワラワは、ちゃんと王陛下の力になるため、こうして常々力を磨いておるわ。そなたも聞いていよう。我らが王国の野望を挫かんとする輩がいま、このタウラス王国に潜り込んだというウワサを。いつ何時きゃつらが攻めてきても、バッファローさまのお力になれるようにじゃな…

あーら、そう。ウワサ、ウワサね。ウワサならこんなのも聞いたわ。侵入者の一行には聖なる女僧侶がいる、そやつを喰らえば不老不死となる。で、プリンセス・アイアンさまはその女を狙ってるってね。国王陛下に献上すべきものなのに。

お義姉さま、そんなの、根も葉もないウ・ワ・サですわよね~

あ、あたりまえじゃっ。わらわを愚弄するか?このブレイものめっ。

いーえ、ですから、ウ・ワ・サ、ですわ?ケラケラケラ(笑)


おのれ、ジェイドっ!

アイアン殿下、ここはわたくし、カッパーにお任せください。この扇の秘術で、このような成り上がり者など…

姉さま、カッパー姉さま、ワタシ、ブロンズも助太刀いたしますわよ?ジェイドさまは手ごわいと聞いていますが、アイアンさまのためにここで礎になれるならわたしも本望です。ワタシの歌声の魔力で、ジェイドの動きを停めてみせますわっ。




(って、あー、アイアンさまもジェイドさまも、どっちもコワーーーい!この前、国王陛下に誘われちゃったけど、丁重にお断りしておいてよかったワ。こんな二人を同時に敵に回してうまく立ち回っていけるほど、ワタシ器用じゃないものね…。それに、正直、陛下とはいえ、オトコに頼って生きていくなんてワタシはイヤよ。この歌と踊りで、いずれは銀河の大スターになってやるんだからっ!そのときはこんな生活とはおさらばして、カッパー姉さま、姉さまにも楽をさせてあげるからね。もう少しの辛抱よ…。)



キーッ!

キーッ!!



おう、わが愛しき妻たちよ、キゲンはどうだ?何やらさわがしい声がしたが?

はっ。あの声は、バッファロー陛下!?

陛下っ。

おいおい、アイアン、堅苦しい呼び方はよせ。おまえとおれのあいだじゃないか。昔のように、バイソン、アイアンと呼びあおうや。

ああ、陛下、いえ、バイソン、懐かしいことを。

それよりここは少し熱くないか?こんなんじゃあ宇宙の時が速く進んでしまう。もっと冷やせ。ほれ、これを使って…。

(ああ、バイソン。気持ちは嬉しいのだけど、それに計画のこともわかっているのだけど、わたしはこの火で顔を照らしているのが好きなの…。

そう、あなたは変わってしまったのね。昔のあの、熱い魂の塊だった、猛々しくも美しい燃える猛牛はもういない、凍てついた心で、すべてを止めようとしているのね。いったい何にそんなに、怯えているの。。。でもいい。わたしはあなたを信じ、あなたと共に戦っていくから。)


そーら、ジェイド、バナナ・ファン(芭蕉扇)だぞー!!これで涼しくなるぞー。

キャッ❤
陛下、カッコイイ❤
ジェイド、涼しいのが好きよ。

って、
そっちかいっ!!
バイソン!!(>_<)


(ああ、アイアンさま、カワイソウに。でもわたしもそろそろ、ジェイドさまに乗り換えた方がいいのかしら?この乱世、賢く生きていかないとね…。)

バッファローさま、アリガト❤

でもちょっと涼しくなり過ぎかな?なんだか悪寒がしてきたわ、、、っていうか、誰かにじーっと見られてるような?

う、もしかしてこの視線は…こ、紅孩児、、サマ、、?(うーあの子はニガテよーー(>_<))




(玉面。。ジェイド。。か、カワイイ。。オヤジにはもったいないゾ。これはとっとと聖なる女とやらをつかまえて、不老不死を手に入れ、クーデターでサクっとオヤジを追い落として、この姫もこのボクちんが…)

オイコラ、紅孩児!プリンス・クリムゾン=カーフ!!孔子…じゃなくって、子牛のカーフ!!おまえ、なーにわしのカノジョをじーっとみとるんだ、このマセガキめっ。見るな見るなっ。まったく。。

そうよ!カーフ!そんな性悪女に興味を持つなんて、アクシュミな息子ね。先が思いやられるワ。そんなところ降りて、ママのところに来なさいっ。


(ふう。二人とも、うるさいなあ。もうすぐボクちんの天下になるんだから、そんときは…)



おうし座のタウラス王国、主星アルデバラン星系、炎の惑星。

そこに巣食うやつらは、ひと癖もふた癖もある、フクザツカイキな、

訳あり家族だった…。


第十三回 一行、途方に暮れる の巻 


おっしょーさーん。

お師匠、どうするんです?

…(T_T)


また泣いてる…

そうしてても、ゴクウは帰ってきませんよ?

ここにこうしてキャンプをはってゴクウのアニキを待ってもう15年。まったく帰ってくる気配がないですよ。もう、もしかしてゴクウは…

おい、ハッカイっ。

ハッカイ!なんでそんなこと言うのー!(T_T)

ホラ、またお師匠がよけい泣いちゃうから…。

ご、ごめんよ。。

しかしオニキス、彼らの言うことも正しい。こうしてここで待っていてもラチがあかないし、こうしているあいだにも、かのキング・バッファローとその一味は…。


もー!ジェイドラゴンまで分別ありそうな声でそんなこと言って!ゴクウはゼッタイ帰ってくるのよ!だって、一緒に旅をする約束をしたもんっ!

…もんって…


ああ、ゴクウのことだ。しんだりはしてないだろ。だけど、ここで待ってて、帰ってくるもんだろうか?せっかちなあいつのことだ、もうすでにアルデバランに行ってたりして…

うんうん、ありうるね!

そういうわけだ、オニキスよ。ここにこうして坐していることが、観世音菩薩の望むことでは決してあるまい。救世主たる娘よ、さあ、気を取り直して立ち上がるのだ。

グスグス(T_T)


ふう。15年も泣いてて、飽きないものかねえ。


おや?



スクッ!


お!
おお!

おおお!


立った!


そうね、あなたたちの言うとおり、ゴクウはもう、先に行ってるかもしれないわね。こんなところで泣いてちゃ、笑われるのね。よし!そうと決まれば、わたしたちもアルデバランに行こう!ジェイドラゴン!こんどは座標をマツガエたりしないでね!!

…あ、ああ。覚えていたんだね、15年も前なのに…

よし、それじゃあ…




















ドドド

ブブブ

ブーン








第十四回 一行、件の敵に遭遇する の巻 


むむっ。

国王サマ。


うむ、感じるか?

はい。


わたくしも感じますわ。ついに、あの、ウワサの彼らが、いや、彼女らが来たようですワ。

ボーディサットヴァのアヴァロキテーシュヴァラ。やつが差し向けた、新手の討伐軍かと思いきや、たったの4人と一頭でこっちに向かっているとか。カーフよ、クリムゾン=カーフよ。報告は正しいのか?


ええ、父上。ボクちんの配下のベルゼバブとプロポリリス。15年ほど前、やつらと遭遇したそうです。ふがいないことに一蹴されたようですが、相手は大軍ではなく、4人と一頭だった、いや、ヒトは女が一人、あとはサルとブタとカッパ、それにウマだったとか?ヒャハハ。

父上、恐れることはありますまい。ボクちんたち一族、そのような輩に滅ぼされるとも…

ん??



ブブーン

ブブーン

ブブブーン


なっ、なんの音だ!?

はっ!

何か現出するぞ!

警戒しろー



ヒヒヒーン!

ドカカッ!

うわっ

馬、しかも翼ある天馬だぞ!


おおっ!着いたか?ここはどこだ、ハッカイ?

ゴジョウ、わ、わかんないよー。

はっ、みんなあれをみて!?

うむ、こんどこそズバリだったようだな。



って、ジェイドラゴン!いきなり敵地?敵の眼の前!?(@_@。

いいではないか、手間が省けて。

いやいやいやいや、ゴクウを探すのが先じゃないのかーーーー。

ちょっと、あんたたち、ヒトさまの王宮に騎馬のまま、下乗しないで乗り込むなんて、なんてはしたないっ。

お行儀がなってないわね、この、レディ・ブロンズとレディ・カッパーの礼節姉妹に、しつけてほしいのっ!?



(う、うわー。か、かわいい女の子だぞー\(^o^)/)

おい、ハッカイ、何やってんだっ。


この、、、ブタ!ヘンな眼でわたしたちをみないで、この、、、着ぶくれのヘンタイ!!


ヘ、ヘンタイじゃないよー(T_T)着ぶくれだけどー(T_T)






あーら、よそ見してる場合じゃないんじゃない?カッパのおじさん。あなたの相手はこのワ・タ・シ。

なんだなんだ、このムンムン女は?こいつも敵か?

ワタシは、ジェイド。プリンセス・ジェイド。またの名を玉面公主。カッパ、最後にワタシの美しい顔が拝めて、おまえは幸せね。

や、やかましい、このっ。

味わいなさい、玉面流ナイフ術、"剣の舞"!!



ジャッキーン!!

う、うわーーー!こ、こいつ、顔がいいだけの女の子かと思ったら、つ、強い…

うう、ゴクウに続いて、おれを一撃で吹っ飛ばすなんて…

おれ、いいとこないな(T_T)

フンっ。張り合いのないオトコだこと。やっぱりバッファローさまのような強いお方でないとね❤

ブタさん、あなたも覚悟はいい?

くらえー、シスター…


…悩殺ダンス!!

フリフリ
フリフリ


うーわー❤❤
力が抜けるーーーー
やーらーれーたー❤(T_T)

でも、、、わるくない…ガクッ

いっちょアガリー!

禁欲のコブタちゃんなんて、ちょろいちょろい❤

(おかしい、4人と一頭と言っていたが、ひいふうみい、カッパとブタをヒトと数えるとしてだが、それにしても一人足りないではないか?もしかして伏兵を?)

国王陛下、油断はなりませぬ。何やらおかしいのです…。

んー?

プリンセス、プリンセス・アイアンよ。そなたはその名に似合わず、心配性よのお。鉄の心臓かと思ったら。

いえ、ワラワめは怯えているわけではないのです。ただ、陛下の身を案じ…。

よいよい、どうせ、サルがみあたらんとかいう話じゃろう?わしも気付いておる。ちょうどよいではないか、わしやおまえが、身体を動かすネタが残っているということだ。

は、はあ。くれぐれも、お気を付けなさってください、陛下。

そうだな、ワハハ。

…しかし、何かひっかかるな。サル?サル?はて、なんだったかな…ま、いいか。



第十五回 孫悟空、星空にて道に迷う の巻 


…その頃…



ゴクウは…


…迷子になっていた…


おーい、サマーソルト号、ここどこかわかるかー?おっかしいなあ。あっちがこいぬ座とやらのプロキオンで、そっちの明るいのがおおいぬ座だったか?シリウスだろ?むこうにベテルギウスがみえて、あ、なんか三角形になってるや。あはは。

おいおい、地球から見てるのかよ^_^;

いや、それはおいといて、あっちはリゲルだし…うーん。。。アルデバランって、どこにあるんだ??

おーい!お師匠ー!オニキスーー!ゴジョウ!ハッカイ!ジェイドラゴーーン、どこだー!返事しろーーー。



ゴクウは、カンゼンに迷子になっていた。

はてさて、ゴクウよ。なかまの窮地を救えるのか?

(つづく)