2015年11月28日土曜日

Nov 2015 - 1892年12月 

路上で商売を営む兄弟。どうやらこの日記の書き手は、その弟のほうであるらしい。かつてのゴロツキが更生して商売をはじめても、世間の風当たりは強いようだ。そんな男が出会ったフシギな娘。男の名は、アーサー、娘の名はジョセフィンと言った。


- 1892年12月 - 


12月23日

なんてこった。おれとしたことがいったい何をやってるんだ。

つい、あの娘のうちに行ってしまったなんて。。しかも、、ハラがヘってたからだなんて、誰にも言えねえ。

それにしても、あのうちは…

なんてデカいんだ!!




あれは、この界隈じゃ知らないモノのいない、変人だが大金持ちの、ジョースター卿とかいう貴族の館じゃあないか。どうりであのガキ、はぶりがいいわけだ。聞いたことがある。ジョセフィン・ジョースター。親父に似たのか、虫やらキノコやらが好きな変わったお嬢がいると、酒場で誰かがウワサしていた。あのガキがそうだったんだ。

あの屋敷なら、ブタやヤギやヒツジくらい、いくらでも飼えるだろう。馬だって何頭もいそうだ。そうか、おれたちが売ってるニクどもは、やつらにとってはこどものオモチャってわけか。やれやれ。


それにしてもデカかった…。あまりにデカいんで怖気づいて帰ってきたなんてことも、誰にも、もちろんアニキにも言えやしねえ。館に行ったことも黙っておこう。


12月24日

…ついに、館に入ってしまった。


メシは、なぜだか野菜ばかりだったが、うまかった。


いや、それよりも…

…。



…カミラ、と言った。


あのガキのガヴァネスなんだろうか。

はじめ、てっきり姉かと思ったが、あの口調は、使用人の口調だし、そういえば服も地味な色合いだった。屋敷の娘ではないということか。

それにしても、、、


美しかった。

ガヴァネスなんかしてるからには、チュウトハンパにカネ持ちの商家か、あるいは落ちぶれた貴族の娘なんだろうが、ジョースターのガキに劣らない、いや、それを凌ぐあの気品と賢そうな眼。

そうか、だからおれは、姉だと思い込んだんだろう。


カミラ。

また会えるだろうか。

…いや、何を言ってるんだ、おれは。バカバカしい。