2015年11月28日土曜日

Nov 2015 - 1898年、そして旅立ち 


アフリカのアーサーを襲った悲報。いったい、ジョースター家に、カニンガム家に、何が!?スーザンがみたものとはいったい…暗雲立ち込める、アーサーの日記。そこには、驚くべき事件の真相が書かれていた。


- 1898年、そして旅立ち - 


1898年10月24日

港に身を潜めていたスーザンとワタシに、来客があった。絶望に暮れていたワタシにとってそれは、思いもかけない、嬉しい来客だった。

なんと、



ジョセフィンが生きていたのだ!

ああ、神よ。

あなたはあの天使のような子を、奪ってはいかなかった。感謝します。





10月25日

夜が明けて、すべてを聴いた。

まず、アフリカからワタシをここまで連れてきてくれた、海賊の兄弟たちよ、感謝したい。ジャン、ピエール、それにアル・ハザード。キミたちに幸有らんことを。

彼らは、ワタシを探しているジョセフィンに偶然出会い、ここまで連れてきてくれたのだ。

しかし、彼らが連れてきたもうひとりの人物がもたらした報せを、ワタシはいまもまだ、信じられないでいる。


彼の名はアブドゥル・スモーキー。かつてわたしがマダガスカルで出会った、貿易商だ。彼はわたしの話を伝えようとジョースター卿の元を訪れ、たまたま事件に出くわしたのだという。

彼が訪ねたのはちょうど事件が起きた直後だった。彼は、焼け落ちる館から少女、つまりジョセフィンを連れ出し、しばらく街でかくまっていたという。

そして彼の話は、スーザンの話と、一致していた。


ワタシは、どうしたらいいのだ。



11月3日

これから記す体験を、ワタシは生涯、忘れることはないだろう。

すべては、わたしからはじまった。

わたしがあのように、心を決められぬ幼い男でなかったなら。

わたしがあのように、心を引きずる弱い男でなかったなら。

わたしがあのような、呪われた品を持ち帰ることがなかったなら…


あの日わたしは、ジョセフィンとスーザンを伴い、

いまや空き家になっているというカニンガム邸に赴いた。

そこには、当然兄の姿はなく、しかし、


カミラがいた。





カミラ!ホントウなの?ホントウにカミラが、お父さまとアーサーのお兄さまを!?

ジョセフィン、下がるんだ。

イヤーー(>_<)



あら、アーサー。しばらくね。



わたしはあの時を

忘れることはないだろう








ウ、ウワー!!!(>_<)


キャーー!(>_<)

イヤー!(>_<)



…フフフ…


…アーサー…

わたしは、マチガエたりはしなかったのよ。わたしは、あなたを信じていた。なのにあなたは…。


…アーサー…

…アーサー!!

あなたはわたしの気持ちを知っていて、なぜ、なぜ、置いて行ってしまったの!!

なぜわたしを奪い去らなかったの!?








ア、アーサー?

う、うう、わ、わたしは、、おれは、アニキを、アニキを、、


兄?あの人を言い訳にしないで!!

あなたははじめから、わたしの気持ちにも、あなた自身の気持ちにも、気が付いていて、それでいて、逃げたのよ!!

そしてそのせいで、あなたの兄も、そしてあの子も、それからわたし自身も、こんなめにあわせた!!


いいえ、わたしはあの時から、決めていたわ。そう、初めてあなたに出遭った時からね。なのにあなたは…





でも、感謝もしなければならないわね、アーサー。あなたが持ち帰ったあのガラクタの中に、わたしにこのような、新しいわたしを見出させてくれる、品があったとは…

そう、あれは…獣の…


ジョセフィン、スーザン、逃げろっ!


いや、逃げるぞっ!





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1899年1月4日

きょうワタシは、この国を旅立つ。

そして二度と、戻ることはないだろう。

スーザンとジョセフィンも一緒だ。ワタシは二人を、生涯をかけて守ると誓った。

そして、いつかはカミラも。


ワタシがおかしたおろかさは、償われなければならない。弱さと、臆病さと共に。


カニンガムの名は、封印する。

そもそもワタシの名ではないのだ。

ワタシの名は、、、

兄と私の誇り高き名は、、


獣を商う屋台を意味する、

スピッツワゴン。


そう、スピッツワゴンだ。


しかしこの名も、

結局はカミラに追われる。

スーザンとジョセフィンに

危険を及ぼす。

新大陸に渡っても、

安心はできない。

そこでワタシは、

名をあらためた。




スピードワンコ。


ワタシの新たな名は、スピードワンコだ。

本名S.W.の誇りを元に、しばしこう名乗ろう。

迫りくる愛の獣よりも、

速く駆け抜けんがため。



そしていつかまた、兄に恥じぬような男になれたときにはスピッツワゴンと、あるいは、ジョースター卿への敬意を表しきれたときにはカニンガムと、名乗ろう。その日までは。。。

さあ、もう怯えてはいられない。悔いてもいられない。ワタシは、探し当てなければならない。カミラの心を獣にしたのは、ワタシ自身だ。しかしいったいワタシが持ち帰った何が、彼女をあのような凶暴なものに豹変させたのか。そして、カミラはいまどこに…。カミラを元に戻す手立ては…。ワタシは、生涯をかけて、探し出さなければならない。

まずは、スーザンの故郷へ、赴こう。


・・・日記はここで、終わっていた。