Dec 2013
2013年からはじめた、劇団プレモ座による演目も、(外伝をのぞき)9つめ。
年の終わりを飾るのは!?・・・大河群像劇『欧亜戦記』の続編!
その名もズバリ!『続・欧亜戦記! -女王陛下と7人の皇帝-』
はい、ベッタベタでいきます。
そしてこんどもおおげさだ!!
ともかくはじまりはじまり~
大陸の秘宝をつかみとるのは誰か!? |
その後の世界 -300年後-
皇帝ボナパルト |
『欧亜戦記』第二部から
およそ300年後。
世界はその姿を
大きく変えていた。
もういまは
草原を疾駆した遊牧の民も
海原を長駆した海商の船も
みあたらない・・・
いまやヴィクトリアのものとなったかつての東インド会社の船をのぞいては!!! |
ふしぎなちからで世界を統べた女王ヴィクトリアとそのライバルたち |
左から皇帝ボナパルト、テレジア大公、神聖皇帝ヨーゼフ=マクシミリアン、フリードリッヒ大王、ツァー=アレクサンドル、メフメト宗主、シャー=ジャハーンとムムタズ妃の夫妻、族長ヌルハチ(のちの天子兼大ハーン兼マンジュシュリー・・・。)
ヴィクトリアが召喚しているのは・・・ジン!?
三大陸の交わるところに古くから存在する精霊か!?
するとその野望はッ!!
時代の波に乗り遅れた
一つの帝国と
時代の波にうずもれた
二つの帝国
やがて
大戦のさなかに消えゆく・・・
かつて三大陸に
臣下を持った帝国を
わずかな騎兵で
乗っ取った
東北の雄
しかし国は老いたか・・・
なんだか煙たいな・・・
西方一の名家の娘
太陽の沈まぬ国も
いまは昔・・・
カオのいい夫
でもちょっと頼りない・・・
こちらも大戦のさなかに・・・
最終決戦だ!!
マリアとヨーゼフを
おさえつけ
ヴィクトリアと
アレクサンドルに
挑戦だ!!
・・・しかしそれは
一瞬の徒花
四大天使はこんどは誰にほほえむのか
それは長い長い歴史のおわりのはじまり。
テムジンにはじまった「世界」の歴史のひとつの局面。
"pax fantasica"、近代編、それは
ユニオン=ジャックの旗の下に!!!そして紅茶の香りの中に~~!
エンドロール
- 女王ヴィクトリア : 3033 王宮プリンセス
- 皇帝ボナパルト : 4611 お城の番人(special)
- テレジア大公 : 5242 伯爵とプリンセス(ブリスターセット)より プリンセス
- 神聖皇帝ヨーゼフ=マクシミリアン : 5242 伯爵とプリンセス(ブリスターセット)より 伯爵
- フリードリッヒ大王 : 4689白鳥の騎士(special)改/弱
- ツァー=アレクサンドル : 4683 コサックの戦士(special)改/強
- メフメト宗主 : 5295 ランプの精と魔術師 より 魔術師
- シャー=ジャハーン : 4595 お城の兵士(special)
- ムムタズ妃 : fi?ures series 3 ガールズ [エジプトの!?]王女
- 族長ヌルハチ : 4539 東洋の王子様(special)
- 小道具協力
- 欧亜の秘宝 : 海賊セットほか、 6216 宝箱と宝石箱(add-on)など
- 王侯たちの宝冠 : 海賊セットの宝物、おとぎ話の王冠などより
- ジン(友情出演) : 5295 ランプの精と魔術師 より ランプの精
- ボナパルトの白馬 マレンゴ : 6257 3頭の馬(add-on) より
- ヌルハチの栗毛馬 : 6257 3頭の馬(add-on) より
- 四大天使
- ミカエル : fi?ures series 4 ガールズ 6 天使
- ラファエル : fi?ures series 4 ガールズ 3 妖精
- ガブリエル : fi?ures series 1 ガールズ 2 花の妖精
- ウリエル : fi?ures series 2 ガールズ 1 ティンカーベル
あとがき
あれから300年。ずいぶん顔ぶれが替わりましたねー。
19世紀~20世紀初頭となります。
今回はまああらかた流れがわかっている時代のことですし、実名ありであとがき書いちゃいます。
と言いつつ実は時代考証はけっこうくるっちゃっていますね。。。実際にはこんなにいっせいに世界が動いたわけではありませんし^_^; それに服装も・・・(それを言うなら前作の草原の民も、けっこうやばかったですが。)
女王ヴィクトリア
まずは(プレモでも人気のヴィクトリアン・スタイルで有名な)ヴィクトリア朝の"インド帝国"誕生 から。ネーデルラントの東インド会社との競争に敗れジャワを去った英国の東インド会社は、次第にカルカッタ、マドラス、ボンベイなどのインド亜大陸へと拠点を移す。やがて、お茶とアヘンの貿易をはじめ、やりたい放題・・・。今回登場の"pax fantasica"版女王ヴィクトリアも、ずばりこのヴィクトリアがモデルです。ムガル皇帝
対するシャー=ジャハーンとムムタズ妃は、タージマハルを建設したムガル皇帝と愛妾からお名前をいただきました。しかし実在のジャハーンとムムターズ・マハルはもっと古い時代の人。また、シャーという称号からもわかるようにムガル皇帝はペルシア語系(やトルコ語系)の言語を話す、アフガン地方出身の一族。だからこんな風貌だったはずはないです。。これだとむしろベンガルあたりの藩王(ラジャ)たちでしょうか。「4611 お城の番人」、ナゾです。いったいどこのお城をイメージしているのか。。察するに、この風貌をどこと特定したくなかったメーカーの思惑か。。。冷静に見ると東アフリカかもしれません。ちなみに「ムガル」とは「モンゴル」のペルシア語形。つまり、ムガル帝国は、テムジンの帝国と同じ名で呼ばれていたということになります!建国者たちは、テムジンの末裔であることを、権威のよりどころにしていたんですね。ムガル。とても複雑な成り立ちと構成の国で、geneは何度読んでも覚えきりません・・・。かんたんにいうと、イスラム教徒のトルコ系モンゴル軍事貴族がペルシア語も使いながら中央宮廷を取り仕切り、地方のヒンドゥー系の(後の)藩王たちを支配していた帝国が、東インド会社に切り取られ、最終的にヴィクトリアに献上され、大英帝国の一部となった。(正確にはヴィクトリアが"皇帝"として君臨した同君連合。)・・・。かな。ややこしやー。
五族の首領
続いては族長ヌルハチ。名前は清朝建国の立役者から(実際には北京入場前に戦死してらっしゃいます。合掌。)実在のヌルハチは16世紀と17世紀のはざまの人物でして、この時代にはずっと後の子孫になっていました。この衣装はいわゆるチャイナ服。女性のチャイナドレスの男性版ですね。前あわせで裾が割れ、パンツと併用するスタイルはもともと漢民族にはなかった文化。男女ともに騎馬で生活を送っていた満州族(かつての女真族)のスタイルが、清朝時代に貴族文化として重宝され、漢民族にも伝わり、いつしか中国を代表するファッションとなりました。饅頭などのパンや餃子の多い北京料理とともに、モンゴル高原や東北地方・沿海州の文化が中原に持ち込まれたよい例と言えそうです。このチャイナ服、じつは江戸時代の日本にも伝わっていました。その名も「蝦夷錦」!!またの名を「山丹服」。当時、アイヌの人々は沿海州や樺太のニヴフ、ウィルタと交易をおこなっていました。ニヴフやウィルタは貂の毛皮を清朝に届け、逆に清朝からは官服、つまり満州風の服や満州特産のワシの羽をゲット。アイヌは彼らに米、鉄、酒などを渡し、これまた官服をゲット。さらにさらにこれが和人にとどけられての「蝦夷錦」。ところで「山丹」とは交易の相手の北方民族を呼んだ呼び名だそうですが、、、北から来てめずらしい品をもたらす人が「サンタ」ってなんかいいですね!!
蝦夷錦は、上野の国立博物館で実際に見ることができます。かなーりかっこいいですよ!ぜひ一度ご来館ください(ご訪館かな。。)。
さて。清朝のあるじは有名な愛新覚羅家の当主。この方、5つの民族に5つの資格で君臨していたとも言われます。つまりいまの漢族には、天子つまり皇帝として。モンゴルの人には大ハーンとして(実際に清の玉璽は、明朝からではなく、高原に逃げてホソボソ続いていた元朝から引き継いだものだそうです)。チベットにおいてはいわゆる菩薩の化身 文殊皇帝として。また新疆のトルコ語を話す人々にもそれなりの資格で。そして、自身の出身である満州族族長として。つまり、大清帝国もまたひとつの同君連合だったという解釈もあるそうです。
それにしてもすごいのは米国限定発売、「5849 ブリスターセット」。マンダリンプリンスと忍者、と言われれいますがこの忍者、fi?uresのそれとは違ってまったく忍者っぽくありません。衣装、棒術、ともにあきらかに大陸の拳法家。。ということは、清朝皇族と義和団!?うーむ、ドイツ的にはまた微妙なパッケージを作ったものです^_^; 米国の知育マーケットでは需要があると思ったのかもなあ。。
ハプスプルク、ホーエンツォレルン、ロマノフ、そしてオスマン
テレジア大公と神聖皇帝ヨーゼフ=マクシミリアン。モデルはオーストリア大公兼ハンガリー女王にして神聖ローマ皇帝妃であったあのマリア=テレジアとその夫フランツ=シュテファンです。皇帝の名前はgeneが好きなドイツ名"ヨーゼフ"と"マクシミリアン"に変更^_^; 実在の神聖ローマ皇帝の名でもあるフランツ=ヨーゼフとも迷ったのですが・・それだとビッテンフェルトっぽい(そっちはフリッツですが)・・・^_^;^_^;フリードリッヒ大王は、プロイツェン王国の同名の大王より。かつてのドイツ騎士団/テュートン騎士団の流れを汲む北方の新興国ですが、いま一歩、出遅れました。。。これ、「4689 白鳥の騎士」がなんともかんとも歯がゆくてどうしてもカスタムしたくて創作しました。実のところ彼を作り始めたころが本演目のきっかけです。なんであんな白鳥のおまる的な感じなんだ、、4689よ・・・。王冠をかぶせ、盾を取り払ったところそれなりに見られる姿になりました。盾の代わりにヘルメットを下げています。この姿は、なんとなく古くさい、中世騎士の世界を近代までひっぱっちゃったね、ということでフリードリッヒとしました。でも実際はオーストリア=ハンガリーに比べると、近代化されたアーミーやビューローを持ってたそうです。
なおこの両国は、プレモの本国、ドイツ連邦共和国のベースとなっていますが、この当時、プレモ本社のある地はこのどちらの王家の領地でもありません。
ツァー=アレクサンドルのモデルはもちろん、ロシア皇帝(完全な称号、なげーーー)。ギリシア帝国=ビザンツ帝国=東ローマ帝国の後継者をもって任じ、皇帝にして教主でもある絶対君主。うーん、いかめしい面構えにしあがりました。もとになっているのはなんと「コサック」。gene所蔵の二体めのコサック戦士ですが、帽子をテムジンにあげちゃったところ、草原くささがいっきに消滅!それならと、海賊の剣帯やゴテゴテ王冠を組んでいくと、あら不思議。ヨーロッパの田舎の君主っぽくなった(・・・ような気がします。)でもこの服は20世紀かな~。
最後に宗主メフメトは、オスマン帝国のスルタン=カリフから名前を拝借。よくオスマン・トルコ、なんて言われますが、実際にはトルコ語、ペルシア語、アラビア語など各種の言葉が話され、いまのギリシャやバルカン半島諸国をも含んだ、三大陸にまたがる多民族帝国でした。 東ローマ帝国に最後の引導を渡したのも彼らです。演じているのはなんと魔術師・・・。本来はジンを従えているわけですからどちらかというとアラジンとかソロモンとかいう名前がぴったりなのですが、、なんとなくこの服装は貫禄があり、魔術師よりも王様が似合います!!でも「4594 魔術師」と色や模様がお揃いになっているんですよね。ヨーロッパの魔術師と中東の魔術師ということでしょうか。どちらも現在の宗派とは異なる、古い教えの担い手です。
一瞬の皇帝
オオトリを飾るのは、大英帝国の最後のライバルともいえる、フランスの、歴史上ただ二人しかいなかった、"皇帝"。ベートーベンの逸話は有名ですね。革命の渦の中、彗星のように現れた英雄、あらため、皇帝に即位!モデルは元コルシカ島砲兵士官ナポレオン・ボナパルトです。白馬マレンゴにまたがり、峠を越えます!!ブリテン島とその植民地をのぞき、ヨーロッパの全域を支配した皇帝。
しかし、彼の野望をくじかんとする包囲網は、かつての敵同士の同盟という形で結実。いわゆる三帝会戦ことアウステルリッツの戦いに臨んだのは、神聖皇帝フランツ2世、ツァー=アレクサンドル、そして皇帝ボナパルト。 海上では著名なトラファルガーの海戦にてネルソン提督が、ブリテン島上陸作戦をくわだてるナポレオン軍を迎え撃つ!!
・・・かくして、砲兵士官の野望はついえ、
世界はヴィクトリアの旗の下へ・・・
ジンのパワー、おそるべし!!!
裏話
ずいぶんと長くなってしまったあとがきのまたあとがきです^_^;きっかけはすでに書いたように、白鳥の騎士とコサックの戦士の衣装替えから。実は一番大変だったのは王冠集めです。geneのもとにはほかにも王冠を必要とする人たちがいるのでぜんぶぶんどってくるのも気が引けて。。結果、いくつかは買い足すハメになりました。でもおかげで持っていなかったゴテゴテ王冠も手に入り、満足!!
れきしがすきなひとも、このあたりからはなしがふくざつになり、なんだかめんどくさいやっておもうばあいもあるのではないでしょうか。これをよんでくれたこどもたちがすこしでもれきしにきょうみをもち、リンクからいろいろよみふけってくれれば、geneはうれしいかぎりです。
前作『欧亜伝 -我が征くは草原の道、我が裂くは大海の波濤-』と本作『続・欧亜伝 -女王陛下と7人の皇帝-』、どちらもgeneの好きなWikipedia記事を載せてみました。
前作プロローグと第一部のあいだが約50年、第一部と第二部のあいだが300年、第二部と本作のあいだが300年以上となります。テムジン、ジョチ、フビライの流れはシャー=ジャハーンとヌルハチに。バイバルスの流れはテムジンの流れを受け取ってメフメトへ。西には新たな王たちも登場しました。
そしてウィリアム提督から女王ヴィクトリアへバトンはわたされていき・・・。
時はまた前へと 流れたッ!!
たてがみがステキです |
さいごにひとつ。
皇帝ボナパルトと
族長ヌルハチの馬。
2013年(2012年?)に
新しくなった馬だと
みなさん気づきましたか?
族長ヌルハチと皇帝ボナパルト |