Dec 2014 - p02/p24 -
第二章 ノヴゴロドの青年
はじめてのお使い
アロギアさまに頼まれたお花はこれでいいかな?
ん?あの声は?
…うー、どうもこのキエフだノヴゴロドだっつーところはメシも酒もマズいな。田舎はキライだ。もっとうまい酒はないのか!
おいクラーク、あまり暴れるな。ここは海の上とは違うぞ。
うるせーよ。おれはキゲンがわりーんだ。最近稼ぎがなくてよお。それもこれも、デーンのやつらの…
おい、お前、おれの顔を覚えてるか!
あー?知らんぞ、お前みたいなガキは。うせろっ
おいクラーク、こいつあの時の…
お!ああ、あの妄想コゾウか!どうした、じじいのとこから逃げ出したか?
妄想コゾウじゃないっ!オレは、オレの名はオーラヴ。ハーラル美髪王の末裔、オーラヴ・トリグヴァソンだっっっ!母アストリッドと養父ソロルフの仇、ゲロウ共、覚悟!
う、うぎゃーーー!
な、何しやがるコゾウ!斧なんかどっから持ってきやがった!
キャーキャー
キャーキャー
ノヴゴロドの剣
アロギアさま、アロギアさま…。こわいよ、おれ、おれ、ヒトを…
こぞうを出せ!こぞうを出せ!乱暴モノのこぞうを出せ!
アロギアよ、何事だ。
で、殿下。じつはかくかくしかじかで。
うーむ、末恐ろしいこぞうだな。
しかし勇ましいことも義に熱いこともよきこと。ここはわたしが。
ブツブツ。アロギア公妃が後見とおっしゃるなら…。しっかり見張ってくださいよ。ぶっそうな。
…ア、アロギアさま。あ、ありがとう。
オーラヴよ、お前はもうこどもではない。親の仇を討つほどの血の気の多さ、わしの兵を預けるゆえ、奉公せよ。叔父シグルを見倣ってしっかり働け。
オーラヴどの!
キャーキャー!
オーラヴさま!
こっち向いて!
オーラヴさまはイケメンね。兵士の信頼も厚いそうよ。
お父さまとお母さまを海賊にコロされ、ドレイに身を落としていたなんてのも、心惹かれるわ。
それに、何でもホントはノルウェーの王子さまだってウワサよ?ウワサだけどね。
確かに、短く刈り込んではいるけどあの美しく輝く髪とおひげは、話に聞くハーラル美髪王のような。
あの人はきっといつか、大業を成し遂げるわね。
うーむ。
やつめ。
モテ期か…。
これはいかんな…。
旅立ちの時
ア、アロギアさま。な、なぜ?
夫が、ヴラジーミルがそなたを警戒しています。そなたはがんばりすぎた。兵や民の人気を集めすぎた。夫はあなたを恐れています。それに…。
アロギアさま、しかしわたしはあなたのお傍に…
なりませんっ!それ以上言ってはなりませんっ。わたしはあなたにもう会いたくない。すぐ、ここを去りなさい。
ア、アロギア、さ、ま…
..To be continued.