2014年12月13日土曜日

Dec 2014 - p13/p24 - 


第十三章 シグリッドとスヴェン    



複雑な事情


これはこれは、シグリッド殿。エイリーク殿を亡くされたとか。お悔やみ申し上げる。

スヴェン殿、ありがとう。



これはあなたの妹君の産んだ子たちだ。

ハーラルです。こっちは妹のスタンツラウエ。


クヌートだよ~♪

いまスタンツラウエと?

ええ、彼女の本名、シフィエントスワヴァにちなんで名づけました。ちょっと訛りすぎですが、そうか、わかりますか?
あ、そうそう、確かあなたも本名は同じシフィエントスワヴァでしたな。こちらでは妹君のことはグンヒルドと呼んでいるから、マツガエることはないが。


で、妹は?



…。ご存じなかったか。


わしはいまチト、ミェシェコ殿と、わしの妹のタイラのことでモメててな。実は妻は、グンヒルドは、、実家に帰したのだよ。お恥ずかしいことだがな。


ヴェンド公ミェシェコ(中)、妻ドブラフカ(左)、次女グンヒルド(右)

そうですか。ではあなたは父の敵ですか。まあ、いいでしょう。わたしは気にしません。むしろちょうどいい。

ん?


オーロフや。ハーラル君、クヌート君、それにスタンツラウエちゃんと遊んであげなさい。あなたの従兄弟妹(イトコ)たちですよ。

はい、母上。


しかし気丈なお方だ。グンヒルドと面影は似ているが、中身はまったく違うようですな。してこたびは?



単刀直入にいいましょう。スヴェン殿、かのオーラヴ・トリグヴァソンのことは聞いていましょう。

ええ、何でも最近われらと同じく新しき神に改宗されたとか。ヒニクですな。そもそもわが父が新しき神を奉ずることになったのは、彼のせいなのですが、その彼がようやくいまになって改宗とは。しかしなんでも強引な方法で半島の改宗を進めているそうで、あまりよき評判は聞きませんな。人々の心はそう簡単には変わらぬこと、彼が一番知っているだろうに。


やつはゆがんでいます。やつに何があったか、わたしは知らないし知ろうとも思わない。やつが何者なのか、まことに美髪王の裔なのかどこぞの馬の骨なのか、それもどうでもよい。ただわたしは、夫が築いた国、夫の先祖たちが大切にした神々を守りたい。この息子、オーラフのためにも。


で、わたしに何をせよと?


彼を討っていただきたい。


これはこれは、いまの我が国にその力がありましょうや?あの彗星のごとき王を討つ力が。




女王の構想


…ラーデです。ラーデと手を結ぶのです。

ラーデ?ヤールのエイリーク・ハーコナルソンですか?


しかしやつらは先代のハーコン以来、わが父ハーラルに敵対した仇。そう簡単にわたしと結びましょうか。しかも、あなたとヤールは旧き神を信じる同志かもしれんが、わたしとオーラヴはいまや同じ新しき神を信ずるものとなりました。


タダでとはいいません。妹に代わり、わたしがあなたの妻となりましょう。

(マジで!?[それはチョーうれしいかも!!シグリッド、チョーかわいいし!])



さすれば父とのあいだも取り持てます。

あ、そっちね。。。
やっぱり。。
…うん、そうだね。。

??


そして、あなたと妹の子たち -ハーラル、クヌート、スタンツラウエ-


…を強くたくましく育て上げ、やがてはこのデーン、わたしのスウェーデン、そしてオーラヴのノルウェーやブリテンをも束ねる大帝国の主となすことを約束しましょう。


かの南の帝国にも負けることのない、海の大帝国を、ともに築きましょう!


ラーデと、そしてわたしと組んで、ノルウェーもスウェーデンも…


…そしてかのヴェンドラントもあなたの同盟者とすればよい。




いまや兄ボレスワフは日の出の勢い。やがてヴェンドは王国として独立し、皇帝からも恐れられる存在となりましょう。その力があなたに加わるのです。


もちろん、ヨムスのヴァイキングどももわたしが説き伏せてまいります。






な、なんと…。途方もないことを考える女だ。


わたしを誰だとお思いですか?ヴェンドラントのミェシェコとボヘミアのドブラフカの血を受け、凍てつく北の地をエイリークと共に切り開いた女。


祖父であるボヘミアのボレスラフ残酷公と騎馬の民ブルガールの出の祖母ビアゴタの誇りをも受け継ぐこの私の視野は、ひろいのです。






東の果てで…



ミェシェコ一家 - 若き日の姉妹
二人の
シフィエントスワヴァ

その姉妹は共に育ち





やがて姉は
ありのままの姿で




北へ…


The cold never bothered me anyway♪







(うーむ。勇ましい女だ。ミェシェコ公とドブラフカ姫の娘ということはスラヴの改宗者の娘であろうに、嫁ぎ先で北の神々に染まったか、これではまるでワルキューレそのものではないか。。。




いや、ホントウはミェシェコの娘というのはウソで、エイリークがすり替えただけの、かの地の氷の女王なのではないか?まあよい。ヴェンドと再び結ぶためにも、ミェシェコの娘という評判が重要、か。)


気に入った!!
よし、ここはひとつ、旧き神々と新しき神々のあいだを取り持つ婚儀としよう!(バツイチ同士だが…。)いや、荒っぽい手で改宗をせまるオーラヴはやがて新しき神々の評判を貶とすものとしてわれらの障害になろうからな。いまのうちに芽を摘んでおくのは賛成だ。なーに、人の心のことはすべて時が解決する。


やつは少々、急ぎ過ぎた!



.. To be continued.