2014年12月7日日曜日

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第七章 離別    



帰還


ああ、オーラヴ。無事で。

無事どころか、大勝よ。おやじ殿にも面目が立った。デーンやノルウェーがもはやオーディンもトールも祀らないというのはなんとも居心地がわるいがな…。

フクザツな心境ですね。
ゲホゲホ。

!?ゲイラ?どうした?


なんでもありません。このところ少々具合が。

い、いかん。もう休め。

ああ、わたしは天国に行けるでしょうか。

ワルキューレたちは女を連れていったりしないぞ。…っと、すまん。つい。

いいのです。いつかあなたも、わたしたちの新しき神に祈ってくれるでしょう。わたしの平安のため。


めったなことを言うんじゃない!




-翌日-


ゲイラ…。

そんな…。







葬儀


-そして葬儀は静かにあげられた-

  -それはあまりにも早い 別れであった-


婿殿よ。ゲイラをよく愛してくれた。また先の戦での働き、オットーに対してワシの優位を勝ち取ってくれたようなもの。礼を言う。しかし最近、ヤツからそなたの改宗についての催促がうるさい。ヒニクなものであやつの眼にとまってしまったらしいな。改宗させてみずからの軍の将に取り立てたいそうだ。

義父どの、ミェシェコ殿、ありがたきお言葉なれど、わたしはまだふんぎりがつきません。新しき神を受け入れたゲイラも、このように若くしてこの地を去った。救いの神とやらはホントウにおりましょうか?


-或る夜-

(あれはキケンじゃ。オットーめは、あやつが改宗すれば、あれを手なづけたうえでこのヴェンドを乗っ取らせようと考えておる。逆に改宗せねば、異教徒の婿を持つ国としてこのヴェンドを攻める口実にするだろう。わしの子、ボレスワフにヴェンドを継がせ、さらに強き国とするには、やつはジャマだ。)



ザザーザザー


出港


義父殿。あなたの考えはわかる。わたしでもそうするだろう。恨みがないと言えばウソになる。ゲイラの眠るこの地を、わたしは愛している。しかし…。おのれっ。わたしはまた、流浪の身となるのかっ。オーディン!トール!わたしの心に平安は訪れないというのか!
うぁぁぁぁぁぁぁ!

お頭。神々のワルクチを言っちゃあ、嵐で船が沈みますぜ。傷心はわかりますが、そろそろ元気出してくださいよ。


お頭。こんどはどこまで征きますか?スウェーデン?デーン?そうだ、いっそこのままノルウェーを乗っ取っちまうのはどうです?いまならあのハーコンのじじいも凹んでるんじゃ?

いやいや、ハーコンのやつ、結局またオーディンの祭祀をはじめたらしくて、あっちでは人気よ。でもって、藍牙王とはモメてるらしくって、デーン&ラーデ連合は崩壊。いまあのあたりは一触即発って感じで、ヤバいらしいぜ。


じゃお頭、どうせならお頭の産まれたっていう、もっと西まで行ってみましょうや。ブリテンでしたっけ?あっちのほうまで。世界はひろいぜ!ゲイラさまのようなべっぴんさんもいるってもんだ!

おいっ!

あ、すいやせん…。


いや、いい考えだな!おれたちのこの舟は強い。征けるとこまで征ってみようか。おれたちの救いも、そこにあるだろう!


おーーーー!

(にいさん、かわいそうに。。。早く元気出して。。。

でもよかったな。なんだかみんな、兄さんについてきてくれてるな。兄さん、すごいや。)



.. To be continued.