Dec 2014 - p04/p24 -
第四章 デーン討伐
南の皇帝
そのころ、ドイツでは…
陛下、このところ、デーンのやつらが騒いでおります。
教会は襲うわ、僧侶を追い払うわ、とにかくやりたい放題。辺境の地ではやつらが侵攻してくるというウワサが流れ、民も浮き足立っております。
中にはせっかく洗礼を受けておきながら、やつらこわさに再びあの旧き神々を祀るものまで出る始末。
ふーん。
それはコマッタね。
せっかくいい教えを広めてあげてるのに、わからずや君なんだねえ。
よし、やっちゃうか!
ははっ!!
おふれ!
おふれ!
ザクセン、フランク、フリースラントならびにヴェンドラントの諸侯に告ぐ!
皇帝はデーン討伐の軍を挙げられるっ。
敵はデンマーク王ハーラル・ブルートゥースとノルウェーの実力者ラーデ伯ハーコン・シグルザルソン。異教徒どもを蹴散らし、神の教えを更に北の地まで届けるのだっ!
オーラヴ出兵
ゲイラよ、そなたは愛しい。しかし私の中に流れるのは北の気高き血。父や祖父や曾祖父が尊んだ、そなたの言う"旧き神々"は、わたしにとっても大切な力。オーディンやトールを祀るは、やがてノルウェー王位を取り戻さんとするわたしにとっては大切なこと。
はぁ、そうですか。わかりますが、わたしはいずれ神のお怒りが、わたくしやあなたの上に落ちぬかが心配です。父も、母の国の影響で改宗しました。よき教えなのですが…。
ゲイラよ、それでも私はそなたを愛しているし、義父殿も尊敬している。こたびも義父殿に代わり、皇帝の命を受けての出兵に応じるつもりだ。敵はわたしと同じ神を奉ずる北の者たち、何やら悩ましいが…なに、ノルウェーをほしいがままにしているハーコンなにがしはおれの敵にまちがいなかろう!
ややこしいですね。ご武運を。
.. To be continued.