2014年12月23日火曜日

Dec 2014 - p23/p24 - 


第二十三章 エマ賛辞    



父の教え


エマさま、ハーテクヌートさま、おなりです。

陛下、どうなさいました?

父上、ひさしぶり!


ハーテクヌートよ、聞け。おまえには妹グンヒルダのほかに、二人の兄がいる。彼らを大切にせよ。


はい、スウェーデンのスヴェン兄さんと、イングランドに居るハーラル兄さんですね。あの美女のエルギフさまの産んだ。


いや、うむ、彼らもおそらくそうだが…(そうじゃないウワサもあるんだよね…)

おそらく?


いや、違う。わしの言うのはノルマンディーに身を寄せておるエドワードとアルフレッド、あの二人のことだ。


と、殿…。



え?しかし、あのお二人は…(チラっ。)

そうだ、確かに二人はわしの子ではない。そのエマと、先の夫、エゼルレッドの子だ。イングランドとノルマンディーの子だ。デーンの者ではない。いまや捨てられたような存在。しかしな、ハーテクヌート。彼らには彼らの道があり、思いがある。それをいつも考えるのだ。さすれば彼らは必ず、おまえの力になる。逆におまえが自分ひとりのことしか考えなければ、彼らはお前の敵となろう。


…。

わしにもかつて、同じような義兄がいた。育ての母シグリッドさまが、わが父スヴェン・フォークビアードの元に嫁ぐ前に、スウェーデンの名高き王、エイリーク・ザ・ビクトリアスとのあいだに成した子、わが父に従ってシェートコヌング(従属王)と不名誉に仇名された、オーロフ殿だ。

幼き頃より、わしやハーラル兄上、それに妹のスタンツラウエを実の弟妹のように可愛がってくれた。


わしはその義兄オーロフ殿の力を借りてイングランドを平定し、こうして義母シグリッドの望んだ帝国を打ち立てた。にもかかわらず結局、オーロフ殿のことを大切にできなんだために、オーロフ殿、いや、のみならず師と呼んだのっぽのトルケルにも、去られるはめになった。自業自得じゃな。


エルギフの子、お前が兄と思っているスヴェンとハーラルは危うい。むしろ、エドワードとアルフレッドを大切にしなさい。立場の異なる彼らのことを思いやることはお前にとってもよき結果となろう。そして、共通の母エマの元、兄弟三人力を併せ、グンヒルダを護り、そしてこの地を護るのだ。


はい、父上。必ずや。


殿。いえ、あなた…。




"クヌート一家"

クヌート

エマ

エドワード
アルフレッド
ハーテクヌート
グンヒルダ

エルギフ

スヴェン (スウェイン)
ハーラル (ハロルド)





さらば、クヌート


-1035年-

崩御!

大王クヌート殿下、いや、北海皇帝クヌート一世陛下、崩御!!


あなた…


父上…


お父さま…


父上、この帝国は、僕が守るよ。そして家族も。エドワード義兄さん、アルフレッド義兄さん、グンヒルダ、それに母上も。


あら、ワルいけど、ノルウェーとイングランドはうちでもらうわよ。
あなたたち、デーンにかかりっきりじゃない。帝国すべてなんて荷が重いんじゃない?うちのスヴェンとハーラル、いいえ、スウェインとハロルドにまかせてよ。


うう、こんな時に…

あら、こんな時だからこそでしょ、エマ妃のお子はおしとやかなこと。フフフ。




だまりなさい!この無礼者、小さき者めっ

父の、母の、その御心はさらに広いというのに、まだこの世界を割ろうとするか!ヒトがみな、穏やかに楽しく暮らす世を作ろうとせぬものは、いますぐここから立ち去れ!おのれのことしか考えぬ愚か者め。汝の隣人を愛せぬ者に、将来(さき)はないわっ!わたしたちは、わたしたちは、5人で未来へ進むのよ!

グ、グンヒルダ…












さらば、クヌート大王





アルフレッドとエドワード

なんだろうね?

今頃こっちの島に来いってね?



ところで…



舟を降りてからまったく前が見えないや…

いや、だから、またメット逆向き…。


ガサッ

ガササッ



何者だ!?


アルフレッドーーー!

(ま、前が見えないよ~(T_T))


おのれ!
やめろー!
うわーーーーー!









ハーテクヌート殿...おれは、おれは、弟を護れなかった…


エドワード殿。これからはおれを兄弟と思え。そして二人で、デーンとイングランドを盛り立てよう。とりわけこのイングランドは、われらの共通の母、エマの地。われら二人、母とその祖国を守ろうぞ。


ハーテクヌート殿…いや、殿下…(ホントは僕が年上だけど…この際そこは眼をつむろう…おいてもらえるだけマシさ。アルフレッドのぶんまで生きよう…。)








"エマ一家"

エゼルレッドとの子
 エドワード
  後のイングランド王

クヌートとの子
 ハーテクヌート
  後のデーン王
 グンヒルダ
  後の…




.. To be continued.